色々あったけど
1999年。この前まで小学生だったのに気付いたら高校生になっていた。
99年は夏のノストラダムスの大予言があった。この時から21年後の話になるのだが
将来、僕のお嫁さんになる人は深夜に線路で死んだ猫を蘇らせようとしていたそうだ。
自分こそが神であり、線路で死んでいた猫を見つけて「甦れー!」と叫んだらしい。
当然、騒いでる変な女を近所の人が通報して僕の将来のお嫁さんは国家権力に保護されたと言っている。
あと年末のコンピューター西暦問題があったがどちらも世界を滅亡させることはできなかった。
僕のお嫁さんはその頃、精神病院にぶち込まれ「世界は私だけを残して滅んだんだ」と思っていたらしい。
影響を受けやすい人にとってはとても迷惑な予言と事件だったと思う。
その後にバスジャック事件や911テロが起きたりしたが原油が上がったりしたぐらいで僕たち高校生にはまるで影響がなかった。
IT革命なんて言葉が流行語大賞を取った年でその頃の携帯電話はまだガラケーだった。
J-Phone、TU-KA、DOCOMOの三社がimode、ezwebなどのサービスを提供し始めた。
と言ってもEメールが打てて、ネットのブラウジングはほぼ文字のみ。
Windowsは2000の時代でWindowsの中で黒歴史と呼ばれる悪しきOSが販売されたりもした。
そんな中、一個上の男がクラスにいた。ダブりではなく再入学。
彼はもともともエリート校にいたのだが、ある日の深夜。
盗んだバイクで走りだすわけでもなく、窓ガラスを割って歩くわけでもなく、
ふと「交番を襲おう」と思ったそうだ。
そう思ったら消火器を見つけて持ち出し、深夜の交番に消火器をぶちまけていたそうだ。
あえなく国家権力にお世話になり、お陰様でエリート校は自主退学。
僕と同じ底辺高校へと再入学を果たした。
この後の高校生活は色々あった。誰にだってそうであるように。
ただこんな変な奴が入学してくる高校だったので色々の部分は濃すぎて書けない。
例えば入学式から最悪だった。
金髪と赤髪の不良の間に僕の並び。このヤンキーは僕の頭越しでメンチを切り合い
入学式中どちらも一切視線を外さなかったし、僕の前にいた男は尻のポケットからナイフが出ていたし、高校の外には右翼の街宣車が止まっていた。
一触即発の空気の中、校歌斉唱では空しく伴奏が流れるだけで誰も歌っていなかった。
でもなぜかこの高校で僕はリーダーになり、そして最後は皆散り散りになった。
バブル生まれの甘ちゃんで努力も根性もない僕たちは受験勉強から逃げてフリーターという道を選ぶ。
最後に僕について一つだけ言っておくと受験勉強も就職活動もプロポーズもしたことが無い。
ありとあらゆる努力と労力を放棄し続けてきた。
今でいうならニートまっしぐら。僕は親から家を追い出されたのでホームレスまっしぐら。
しかし人生は不思議でニートにもホームレスにもならず
今、僕は会社役員をやっているし、結婚して面白いお嫁さんもいる。
けど僕は良い学校に行って、良い会社に就職して、花金はお洒落なイタ飯屋でデザートにティラミスとエスプレッソを食べる。
そんな大人にはなれなかった。
★ノストラダムスの大予言
本気で信じていた人もいたらしく、中には僕と同じように勉強もしない就職もしないで遊び惚けてた人もいた。その人は今スロプロになってそこそこ有名になった。
★コンピューター西暦問題
データベースやアプリケーションソフトウェアの暦を西暦の下2桁で表記していた場合、2000年を1900年と誤認してしまうことで起こると予測される諸問題を指す。
★バスジャック事件
2Chに犯行予告され、実際に起きた事件。別名ネオ麦茶事件。
★J-Phone
現ソフトバンク。J-Phoneからボーダフォン。そして柔らか銀行。
★Windowsは2000(ミレニアムエディション)
とにかく評判が最悪で「なかったこと」にされているOS。当時を知るパソコンオタクの中では、
「Most Error」とか言われてた。
★「交番を襲おう」
友達数名と襲撃して逃げ回ったそうだがパトカー十台以上。オマワリ50名以上により現行犯逮捕された。しかし少年法により無罪。
★バブル生まれ
現在、無能と呼ばれる30代中以上の社員。これよりさらに上になるともっと無能になる。会社のお荷物であり老害。キレやすく傷つき易いめんどくさい。
★けど僕は良い学校に行って、良い会社に就職して、花金はお洒落なイタ飯屋でデザートにティラミスとエスプレッソを食べる。
第一話参照。