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気持ちが変わらないことはない


 黒柳徹子は僕が子供の頃からお婆ちゃんだった。三宅裕司のいかすバンド天国で「たま」が歌っていた。逸見政孝がガンで死んだニュースがしばらく流れていた。アメリカ横断ウルトラクイズでハラハラしていた。


 ミスターマリックのハンドパワーを本気で信じてた。UFO番組と徳川埋蔵金発掘番組に興味津々だった。ナタデココが人気だった。おぼっちゃまくんを見て笑っていた。ウッチャンナンチャンとダウンタウンととんねるずが面白かった。ゴジラのスーツが盗まれてショックだった


 幽幻道士シリーズは怖くてちゃんと見れなかった。夕方の再放送、北斗の拳もゼータガンダムもガンバの冒険もらんま1/2もキテレツ大百科もタッチも楽しかった。


 その頃の僕はファミコンが大ブームだった。大好きだった。ずっとやり続けるんだろうと思ってた。マリオ3が大ヒットした。テトリスが人気だった。ドラクエ3は社会現象を起こした。当時の家は畳部屋が多く、腹這いになってテレビの前で、兄がやっているドラクエ3をずっと見ていた。兄は勇者で僕は魔法使いから僧侶になり、やがて賢者となって世界を救った。



 多分、二人で世界を救ったのはあれが最初で最後だった。


 外交的な兄に対して、内向的な僕だったが、友達に恵まれたのは僕だった。


 近所に同年代が多く住んでいて、僕はいつも誰かと遊んでいた。僕はしょっちゅう幼馴染の「ゆうや」と遊んでいて、偶に兄がついてくることが有り、今思い返すと寂しかったのだろう。だが、当時の僕は兄に友達がいっぱいて、運動もできるから、人気者だと思っていたが、兄が誰と遊んでいて、何処にいて、何をしていたのか知らない。


 それどころか夏休みになると、僕の後をついてきては、僕に嫌がらせをしたのを思い出してみると、やっぱり兄は友達がいなかったのだろうか。他に兄との思い出は、夏休みの日課である平日10時から再放送されていた、ドクタースランプアラレちゃんを二人で見ていたぐらいかも知れない。僕はほとんど友達と過ごしていて、夕食の時には誰とどこで何をしたかを両親に話していたが、兄は何も話さなかった。


 そんな兄が死んでしまった。


 というのは真っ赤な嘘で健在だ。嫁を貰って家も買って子供もいるそうだ。そうだ、というのは母から聞いたからだ。僕と兄は小学生を上がる前に、段々と喋らなくなっていった。兄の愛情と呼ぶものは弟にとっては迷惑なコミニケーションで、僕と同世代か上の人ならば、段ボールで作られたゴールドクロスを着せられた人もいるだろう。


 姉と兄のやってくれる事の9割は、僕にとって嫌な思い出しかなく、会う度にそんな昔話を聞かされるのが嫌で、正月は実家に帰らなくなった。弟の全身の秘孔を突いたり、謎の発明で弟のおもちゃを改造したり、「妹が欲しかった」と言ってバケツ一杯の水を掛けられたら、憎まないことに無理がある。


 子供の頃はそんな兄や姉から離れたくて、早く大人になりたかった。


 ずっとそう思っていた。


 願いはもう叶ったけど、今はなんか違う。そう思っている。


★黒柳徹子

 小学生時代、私の学校に「鉄男の部屋」と呼ばれた体罰室があった。反論すれば恫喝とビンタで、どんな正論もぶっ飛ばすパワフルな時代。「ごめんなさい」の一言を絞り出さない限り、永遠とビンタと恫喝が続く。そういう教師は卒業式の日に「お礼参り」というリンチをされた人もいるそうだ。未だに昭和世代は理不尽な暴力性を秘めていて、パワハラ上司は昭和史の遺物。


★三宅裕司のいかすバンド天国

 アマチュアバンドがメジャーデビューの為に出演して毎週勝ち抜きをしていた。「たま」「マサ子さん」「FLYING KIDS」が好きだった。「たま」の「さよなら人類」は衝撃だった。「マサ子さん」の「「雨にヌレテモいーや」は今も時々口ずさむ。「カブキロックス」のボーカルはニコニコ動画も無い時代に、自身を「歌い手」と言っていた。ちょっと速すぎた人たちを紹介する番組だったのかもしれない。


★アメリカ横断ウルトラクイズ

 「知力、体力、時の運」を合言葉に広大なアメリカ大陸を横断しながら1,000問以上に及ぶクイズに挑戦し、ニューヨークを目指すという番組。「ニューヨークに行きたいかー!?」と煽る司会を覚えてる人は多いと思う。まったく関係ないけど1989年公開映画「13日の金曜」で「ジェイソン」も「一応」ニューヨークに行ってる。「一応」の意味を知らない人は、見てほしい。知ってる人はネタバレ禁止だ。ちなみにジェイソンは宇宙にも行く。ジェイソンVS超能力少女は必見だ。


★徳川埋蔵金発掘番組

 おっさん達が穴を掘り続ける奇妙な世界最大の土木番組。ゲーム「マザー」シリーズの生みの親「糸井重里」を発起人として、「水野家」という祖父・父・子の三代に渡って埋蔵金の発掘に挑戦する一族と発掘に向けたプロジェクトチームを結成。総額3億5000万円の費用が投じたが何も見つからなかった。しかし水野家は未だに掘っているそうだ。


★真っ赤な嘘。

 見えないのに赤いと知ってる謎の言葉。どうして嘘が真っ赤なのかは、大人になった今も知らない。そもそも見えないのに色を付ける文化? 価値観? 感覚はどうなのだろう? 擬人化というオタク文化があるが、この表現もオタク的なような気もする。嘘も運命の糸も赤いようなので、読者は騙されないように注意してくれ。


★秘孔。

 突かれると内部から人体が爆発する不思議スポット。子供の頃はシリアス漫画として見ていたが、大人になるとギャグ漫画として楽しめる不思議な作品。ケンシロウよりレイ人気が高かったのは、爪で引っ掻くだけの技が誰でもできたから。


★らんま1/2

高橋留美子による日本の漫画全38巻。水をかけられると女になってしまう主人公の群青青春活劇。パンダになってしまう親父もいる。読み返してみると、割とお下劣に感じるが、当時の女性がこういう作品も書いていたのは、兄弟が多かったからだと思う。今は一人っ子が多いようなので、兄や姉、弟や妹と暮らすというのが、どれだけ倫理観が薄いのかを理解してる人がいない為に、フェミニストや男女平等という考えが増えたのかもしれないと思っている。


★バケツ一杯の水。

 「人間、洗面器と洗面器一杯の水が有れば、相手の頭を押さえつけて溺死させることができる」と、同級生が豪語していたが、押さえ付けられても「飲み干す」ことができるのが、山木君のお陰で休み時間に解明された。人を溺死させるにはバケツ一杯の水が必要です。尚、水を男にぶっかけても女の子になったりしません。女子、やめてくれ。


★ハンドパワー

 手力。手でやってます、と宣言していた普通の力。人類の誰にでもあるチート行為。このエッセイもハンドパワーで書かれているが、チートっぽさは皆無。私はいい年して、まだ超能力をあきらめていない。テレポーテーションが本気でほしい。


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