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その瞳も、声も。あの空も、光も。

初出:自サイト

 見上げた空が眩しくて、反射的に手をかざす。

 薄く目を開いてもなお、光は私を拒んでくる。


 なんてズルイのだろう。

 彼の人は、広い空を独り占めしている。


 あの青い空を。

 どんな宝石も平伏するほどの碧さを。

 まばゆいほどの太陽は、

 空の覇者は、

 天空を制して離さない。



 抜けるような青は、私を嘲笑うかのように澄んでいて、

 愚かしい私は自分勝手に嫉妬して、呪詛を投げつける。


 消えてしまえ。

 手に入らない純粋さ。

 私にはないその清らかさが、憎らしい。


 浅ましくも願う心に呼応するように、広がりはじめる黒い雲。



 曇天。


 暗転。


 銀の軌跡。



 細く短い雨。

 道端の草を、茂る木の葉を、うっすらと叩く。

 耳に響く旋律。

 空から降りそそぐメロディ。



 なんてズルイのだろう。

 なによりも強い眼差しを、いとも簡単に閉ざしてしまえる雲。


 だけど、一番ズルイのは私。

 また光を求めている私。



 ほろほろと、涼やかな雨の声。


 ああ。

 願いよ、天に届け。




配布元不明のお題より。

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