スペース瑞雲中隊は今日も行く
ザザッ「こちら日向管制室、S瑞雲隊全機応答せよ」
「了解、瑞雲アルファ、感度良好、問題なし」
「瑞雲ベータ、同じく良好」
母艦からの無線に順番に応えていく艦載機たち。
「やれやれ今日も哨戒ですか。瑞雲オメガ、以上なし、と」
「こちら日向管制室。24番機、文句があるなら飛ぶ前に辞退しろ。ルーキーの貴様の代わりなどいくらでもいる」
「いやいや、飛ばせてもらってありがたいですよ。ありがたやありがたや日向様、瑞雲様」
「冗談はそれくらいにしておけ、哨戒範囲に入る。各機、二機ずつに分かれて散会、オメガはアルファと組んで動け」
「へいへい、了解ですよっと」
機内にラダーはあるが単なる飾りでしかないため、普通に操縦桿をアルファ機の方へ少し倒して一瞬加速、すぐさまアクセルを離し、噴射を切ってアルファ機と自機の相対速度と、ベクトルを計算させる。キャノピーからはなんとか視認できる距離、おそらく5km内だろうと思う。
相対速度を0以下に抑え、こっそり追加した追従モードにアルファ機を設定し、操縦席のリクライニングを最大まで倒してキャノピーに映る星空を眺めながら、腕を組む。
「世はなべてこともなし。平和だねえ。オリオン座とか見えるかな」
「……オメガ……応答せよ!オメガ機!」
あんまりにも退屈で寝てしまったらしい。何やら管制室が慌てている。
「ふぁあ、こちらオメガ機異常ありません。どうぞー」
いかんいかん、欠伸まで入ってしまった。無線通話時に欠伸キャンセルくんを作動させるのを忘れるなんて俺としたことが、なんたる失敗。
「そうか良かった、ではない!アルファ機はどこだ?」
「へ?アルファなら俺の前方……、今だと0.2光年先を先行偵察しているはずですよ」
「それを二機編隊というのかはさておき、まあいい貴様だけでも連絡がついたのは良しとする。オメガはただちに帰投せよ」
「はいはい、了解っと」
「返事は一回簡潔にと言ったはずだオメガ」
「いちいちめんどくせーなーであります、どうぞー」
と呟いてから一方的に無線をオフ。ぎゃーすか喚いてるであろう母艦目掛けてゆっくりと機体を180度旋回させ、母艦へと戻る帰投ルートを設定する。
「晩メシは何か美味いもの食わしてくれるかね」
ついカッなって書き殴った。全てはよみずいランドのせい