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雨の日の魔法使い

作者: わろり

 日差しが眩しい。

僕は、道につったっている。

空を見ながら目をうるませている僕は、この場から一歩踏み出すことができない。

全力で走って、息が上がってくるしい。 僕はさっき、女の子に振られたばかりなんです。

悔しかったし悲しくて、気持ちの行き場がなくてとにかく走った結果が今の状態になります。

にしても、 日差しが眩しい。


この辺には田んぼばかりだなぁ。


このまま立っていたら、熱中症になりそうだ。今日の最高気温は31度だったかな。道民には結構な暑さだ、ちくしょう。


しょうがないから、とりあえず家に帰ろうかな。 明日、学校行くのいやだなぁ。


『てれてれってってって~ってって・・・・・・』

家に向かっていたら、ポケットの携帯がなった。相手は幼なじみの裕也だった。出る気分じゃないが、切るのも悪いのでとりあえず出るか。

「おーい、今なにしてんだよ?」

「なんも、これから帰るとこだよ。」

「こんな暑い日にどこ行ってんだよ。」

「コンビニ。なんの用?」

「今日俺ん家で焼き肉やるんだ、暇なら来いよ。」

「あー、悪い。今日は腹減ってねぇんだ。次たのむわ。」

「まじかよー、喜ぶと思ったのに。しゃーねーな、明日学校で。」

「おう。わりーな。」

そんな気分になれっかよ。


・・・


 朝だ。

特に何もなく、普通に来やがった。

大雨でも、大地震も、火山噴火でも、不謹慎ながら今の僕にとっては大歓迎だったんだが。

テレビを見ると、昼ごろに小雨が降るらしい。小雨かよ。


今日は、学校さぼってみようかな。たまにはそういう日があってもいいだろ、うん。

 まずは、学校に休みの電話いれなきゃな。 鼻をつまむ。

『・・・・ ピッピッピッピッピッピッ ピッ』

『ピッピッピッ・・ プルルルルルル プルルガチャッ』

「はい、こちら函館市立海岸高校でございます。」

「あ、3年の浅田です。風引いたんで休みます。」

「3年の浅田さんですね。学年団の先生に伝えておきます。お大事に。」

なんともそっけないお大事にだ。鼻をつまんだけど、鼻づまりっぽかっただろうか。まぁいいや。


登校時間を避けて、少しでかけてみるかな。


ゆっくり朝の準備をして、10時頃に家をでる。

今日は、すこし涼しい風が吹く、心地良い日だ。昨日が憎ったらしい。

電停に立って、風を感じるのが心地よい。この風とともに憎らしさも、そよそよと失せてほしい。


電車が来た。

乗り込むと、女の人とジジババばかりだ。 当たり前か。

でも落ち着く。すごく落ち着く。

運転席に近い席に座った。 向かいには老夫婦が座っている。ニコニコしている。

40分くらいたって、端っこまでついた。 降りて、少し歩こうかな。

清々しい空が広がる。昨日のもやもやは消えない。


疲れたから、喫茶店にはいった。

少し小洒落た喫茶店。


奥の席にすわる。 綺麗な店内だ。 僕のこころと正反対。


とりあえずカフェオレを頼んで飲んだ。

携帯には、裕也からメールが来てる。 すまんな裕也。 ちょっと優越感えへへ。

僕は、はやくもこの喫茶店が気に入りそうだ。

店員さんも優しそうだし、人もあまりいない。すごしやすかった。

30分くらいいると、雨が降ってきた。傘持ってきてないぞ。止むまで待つしかないのか。

ついてないな。


『カランカラン』


喫茶店のドアが開いた音だ。



あ。

入ってきたのは、僕を振った女の子だった。


焦る。どうしているのか理解ができない。今、もっとも会うのが気まずい相手。

全身から暑いのか冷たいのかわからない汗が吹き出てくる。

雨の音はどんどん強くなる。


彼女はぼくの向かいの席に座った。なんでだ。

「どうも。」

急すぎるよ。顔真っ赤だよ。俺もだ。


「昨日のことなんだけど、やっぱりね、、、。」



「私とお付き合い、してくれませんか?」

大雨が地面に叩きつけられる音が遠くに響く。彼女の声が鮮明に聞こえて。脳みそまで届いたのがわかる。


「はい・・・・・・。」


大きな雷の音がガツーンと響いて雨はもっと強くなった。僕は。息が止まるかと思った。冷や汗が止まらなくて死にそうだ。


なんで彼女はここにいるのか、僕には到底理解できないけれども、幸せなのは理解できる。

僕はこの喫茶店に来るのは初めてなのに、どうしてここにいるのが分かったのかな。

でももうよかった。 


僕は彼女に入れてもらって、一緒に電車に乗って帰った。

その日から雨の日が続いた。

僕の幸せな日も続いた。



end

読んでくださってありがとうございます。

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