3.
よろしくお願いします。
ルートをコンプリートすると解放される話。その内容を制作側のコメント付きで紹介しよう。
火影 淳ルートの場合
解放される話:
火影 淳視点の後日談
ハッピーエンドの後日談。主人公と火影のイチャイチャデート。主人公が男の人に絡まれた所を助けた後の火影の拗ね方が可愛すぎると乙女を悶えさせた。
制作側のコメント:声優さんの収録中にスタッフが悶え死ぬ事態が……。
風林 慎一ルートの場合
解放される話:
風林 慎一と主人公の過去編
二人は覚えていないが過去に出会っていたことが明らかに。鳥塚が風林にまったく興味がないことにショックを受けた風林が家を飛び出し、主人公と出会う。一緒に遊んだ後の風林の台詞に乙女が鼻血を出した。
制作側のコメント:慎一はクール系にならなかったら天然タラシになってましたね。
水瀬 守ルートの場合
解放される話:
魚谷 朝美視点の回想
一週間の自宅謹慎を受け、家の自分の部屋に帰った所から魚谷の回想が始まる。そして彼女が薔薇園の住人、つまり腐女子であることが判明する。水瀬と主人公の仲を邪魔した理由が"水瀬くんを学園のイケメン(攻略対象)とカップリングできなくなる!?"というものだったらしい。"でも、あの人とあの方のカップリングも……フフッ。"という最後に呟いた彼女の台詞を聞いた一部の乙女が薔薇園の住人になったとか、ならなかったとか………。
制作側のコメント:ちなみに最後のカップリングされた人物の正体は火影と光ノ宮です。
次は順番でいったら土田勇人だが後回しにして隠れキャラの場合を紹介しよう。
光ノ宮 蛍ルートの場合
解放される話:
光ノ宮 蛍の過去
全員の"光"とならなくてはいけなかった蛍の幼少期から中学までの話。周りの無意識の圧力と期待に成長と共に重荷を感じ、失敗を恐れる蛍の姿が見事に描かれている。素晴らしいシナリオと蛍の苦悩する姿に乙女が胸キュンした。
制作側のコメント:この話はよく出来たとスタッフの間でも好評です。
闇崎 昴ルートの場合
解放される話:
闇崎 昴と闇崎 政夜の話
二人の出会い、政夜が昴に執着するキッカケ、主人公を監禁から救った時の二人の会話、政夜の逮捕後の話で構成されている。政夜の最後までブレない昴への執着とヤンデレっぷりがこの話での最大の見せ場となっている。最後に見つめ合い、見せた政夜と昴の仄暗い笑顔に多くの乙女がノックアウトされた。
制作側のコメント:これって乙女ゲームですよ!!けっしてBLゲームではないですからね!!
さて、次はお待ちかね。土田勇人の場合だ。
それぞれのルートをコンプリートすると解放される話だが、土田勇人の場合は話を見る前にこんな注意が画面に現れるのだ。
《この話は、ゲームの印象及び攻略対象である土田勇人のイメージがぶっ壊れます。土田勇人がお好きな方、ゲームの印象を壊したくない方は閲覧することをオススメしません。》
注意を気にせず話を見ると、衝撃の事実をプレイヤーは知ることになる。
土田勇人ルートの場合
解放される話:
樫木 薙の話
薙は父、母、兄の四人家族。昔から色々な習い事をしていた。本編には全く出てこないが、実はハイスペック少女。土田と同じクラスになった中学三年生の時に彼の笑顔は偽物であると直ぐに気付く。土田がソレを察知し、監視するためと女除けの為に公衆の面前で告白。薙は無理矢理に近い形で周りに彼女にならされる。元々、土田の事は大嫌い。主人公と土田が仲良くなるのを喜んでいた。しかし、自分に非はないようにしたい土田が主人公を薙がイジメたとでっち上げ、最終的に学園を追い出される。
制作側のコメント:正義と悪は見る側面によって違ってくる。この話は、主人公が見ようとしなかった土田の真実です。
そう。土田勇人が樫木薙を無理矢理彼女にした挙句、好きな人ができたら陥れたのだ。彼の正体はとんでもない最低男。
ネットでもめちゃくちゃ騒がれ、樫木薙が土田勇人をざまぁする二次創作まで出ていた。
まあ、プレイしていた前世の私はぶっちゃけると土田勇人の顔も、性格も、『耳が蕩けそうになる甘い低音ボイス』とか評判だった声も嫌いだったから全く動じなかったがな。
だいたい私は乙女ゲームなんぞやらず、戦闘系のゲームばかりやっていた女子だった。女子らしくない私のことを嘆いた従姉が私から新作ゲームを取り上げ
「これをプレイしなさい!!コンプリートするまでこのゲームは返しません!」
と、渡してきたのが"キミなる"だっただけ。当然、新作ゲームを返して欲しい私は必死でコンプリートした。そして一ヶ月で"キミなる"を無事コンプリート。新作ゲームを返してもらいにきた私の"キミなる"をプレイした感想を聞いて、従姉はガックリと肩を落とした。
従姉「どうだった?キュンキュンした?一番好きな攻略対象は?」
私「いや、まったく。戦闘系ゲームの素晴らしさを再認識したよ。好きな攻略対象はいないかな。」
従姉「はあっ?!なんで?攻略後にツンデレになる土田勇人、いいじゃない!顔も性格も…特に声!耳が蕩けそうになる甘い低音ボイスっ!!あの声優さん最高だわ〜。」
私「あ〜。あの声優さんね。あの人の声、嫌いではないけど土田勇人バージョンの声は嫌いかな。土田勇人は顔も性格も嫌い。コンプリート後の解放される話を見て、更に嫌いになったよ。他の攻略対象も何がいいんだか。一番好きなキャラは悪役の樫木薙と鳥塚波美かな。あの二人はいいね。あっ、早くゲーム返して。」
従姉「好きなのは攻略対象じゃなくて、悪役っ?!もうっ!ゲームは返してあげるけど、新作を買うたびに"キミなる"関係のものをやらせるからねっ!」
こんなふうに従姉は私に"キミなる"の知識、特に土田勇人関係の知識を叩き込んできた。後半はなぜか"キミなる"テストとかいうものをやらされた。
閑話休題
簡潔にまとめると私がフェードアウトする理由は三つ。
一.悪役をやるメリットがない。
二.攻略対象の土田勇人が嫌い。
三.乙女ゲームより戦闘系ゲームLOVE。
こんなところだな。
よし。フェードアウトするのも決定したしこのゲームの設定なども整理出来たから、今度は自分の状況を把握してこれからのことを考えよう。
私は、改めて目の前の覗き込み自分の姿を眺めた。