1.
よろしくお願いします。
あっ。転生したわ。
そう思った後、目の前の鏡に映っている自分と思われる美少女をまじまじと見てまた気が付く。
あっ、乙女ゲームに転生した。
しかも、悪役に。
………………………………………
……………ふむ。悪役に…………。
悪役…あくやく、ねぇ?
悪役…なにそれ美味しいの?
さて、まず悪役であることのメリットを考えてみよう。
一.ヒーローとヒロインをくっつ
けることが出来る。
二.周りにバレるまで可愛いヒロ
インをイジメることが可能。
三.青春という名の黒歴史を謳歌
できる。
四.報復の時にヒーローや周りの
人々から冷たい目で見てもらえ
る。
五. イケメンが近くで見れる。
大体、この五つだろうか。
では、検証してみよう。
一.ヒーローとヒロインをくっつ
けることが出来る。
→なぜ他人のキャッキャウフフ リア充生活を応援しなきゃいかんのだ。却下。
二.周りにバレるまで可愛いヒロ
インをイジメることが可能。
→これも無いな。人をイジる趣
味はあってもイジメは駄目だ。
イジメは駄目、絶対。
三.青春という名の黒歴史を謳歌
できる。
→前世で十分経験しました。お
腹いっぱいです。却下。
四.報復の時にヒーローや周りの
人々から冷たい目で見てもらえ
る。
→絶対却下。私はドMではない。
どちらかといえばドSだ。
五. イケメンが近くで見れる。
→いらん。テレビの中にもイケ
メンはいる。二次元にもいる。
ノープロブレムだ。
検証結果:悪役をやるメリット
が一つも無い。
よし、フェードアウトしよう。攻略対象とヒロインちゃんは勝手にキャッキャウフフなリア充学園生活を楽しんでくれたまえ。私は、私の道ゆく。前世で読んでた小説によく出て来た悪役回避も傍観もしない。そもそもキャッキャウフフが繰り広げられる学園に行かない。えっ?何故かって?決まってるじゃないか。面倒な事になるからだよ。
ここで考えられるパターンは三つ。
パターン その一
学園に入学→攻略対象と出会う→気に入られる→纏わりつかれる→何時の間にか逆ハーレム→ヒロインが来る→なんやかんやで逆ハーレムが続く
パターンその二
学園に入学→攻略対象と出会う→好かれる→外堀を全て埋められて付き合うことに→逆ハーレム狙いの転生ヒロインが来る→あーだこーだあって攻略対象とは別れられない
パターンその三
学園に入学→攻略対象と出会う→良き友人関係を築く→転生ヒロインが来る→悪役にされる→ゲームのシナリオ通りに
大体、こんな感じだろうか。他にも馬鹿な攻略対象をざまぁして幸せになるとかざまぁしたら逆ハーレムになるとかヒロインと攻略対象に取り合いされるなど色々あるが、全て面倒なのだ。
面倒な理由?それはこの乙女ゲームを説明しなければ話せない。
この乙女ゲームの名前はたしか『キミは僕の光になる』通称 "キミなる"。
それでは、"キミなる"について説明しよう。
ありがとうございました。