12.
「でも、しってるのとしらないのではちがうもん。」
少し震える声でキッパリと言う。
「………」
父はなにも言わない。
沈黙が怖くなって顔を伏せて自分のちっちゃい手をジッと見つめる。前世の大人の手とは違う子供の手。前世の大人の頃も出来なかったこと後悔したことが沢山ある。知ってさえいれば回避出来たことだって。
「………薙の気持ちはわかった。知りたい理由も。でも、教えない。」
重苦しい沈黙の後に父が発したのは拒絶の言葉だった。予想してはいたがショックだ。
「……ん、わかった。」
「教えない理由を言うよ。まずは薙がまだ小さいから。この話は子供にする話ではないんだ。次にパパの独断では決めれないから。話してもいいかママにきちんと了承をとらないといけない。そして、パパが教えたくないんだ。パパは薙に知って欲しくない。……薙はきっと話を聞いてショックを受けるから、教えたくないんだよ。」
父の顔を盗み見ると、優しい瞳と目が合った。
「ごめんな。最後のはパパの自分勝手な理由だ。」
「!!」
父のどこか苦しそうな顔に、私はなにも言うことが出来なかった。
「あら、薙。ちゃんとCD、買ってもらえた?」
「かってもらった。」
「そう、なら良かったわ。」
「ん。」
病室に行くと母が笑顔で迎えてくれた。
「華、大丈夫か。」
「ええ、大丈夫よ。見てわかるでしょう?」
「………そうか。」
父は母の返答に顔を曇らせた。私の目から見ても母は大丈夫そうではない。やせ我慢しているのが手に取るようにわかる。
「薙、僕にCD見せてよ。ここじゃせまいから外のイスで見ようよ。」
兄が笑顔で提案してきた。父と母が二人きりになれるよう気を遣ったのだろう。
「ん、いいよ。」
「じゃあ、いこう!!」
兄に連れられて病室を出る前に父の方を見たが、どんな表情をしていたかわからなかった。
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