9.
よろしくお願いします。
薙の母に危機来たる、の巻。
「わあ…やっぱりこのデパートはおっきいね、薙。」
「ん。」
「薙に似合う可愛い服があるといいねっ!」
「………。」
私は服よりもCDが欲しいんだがな。
いま、私は家族四人で少し遠い所にある大きなデパートに来ている。熱は下がり体調もいい。
早速CDを買いにいきたいと思う。
「あっ。可愛い服みっけ!パパ、これ薙にどうかな?お花模様のスカート。」
「うーん。それもいいけどこっちの淡い水色のリボンがアクセントになってるワンピースもいいと思うぞ。」
「本当だ!僕の薙はなんでも似合うから、迷うな〜。」
………………買いにいけるかな。
「あらあら。二人とも薙の服選びに夢中ね。」
そうだ!母と一緒に行けば買えるはず。言ってみよう。
「ママ。」
「薙、どうしたの?」
「ん、CD買いたいの。」
「あの三上大輔って人のCD?わかったわ。えっと…CDショップは……五階ね。パパと蓮……」
「この藍色のパーカー、可愛いよ!」
「いや、こっちの蝶々が肩に縫い付けてあるタンクトップの方がいいぞ。」
「…………は行かなくていいわね。二人で行こっか。そこのエレベーターに………きゃっ?!」
手を繋いで近くのエレベーターに乗ろうとした時、一人の男の人が母にぶつかってきた。
「ああん?俺の通り道にいんじゃねぇよ、ブース!!」
ギラギラした金髪に茶色の瞳をした背の高い男性はギロッと母を睨みつけて怒鳴った。
「い、五十嵐くん?!」
その男性を見て母は真っ青になり、震えはじめた。
「あんっ?」
男は母の顔を見てニヤリといやらしく笑った。
「なぁんだよ……四条じゃねぇか。ここにいたのかぁ……探したんだぜ??俺の前からいなくなったその日から、ずっと、ずぅっとなぁ。」
五十嵐はニタニタと笑いながら母の腕をガシッと掴む。
「帰るかぁ…お前と俺の家に。今度は、絶対に、出さねぇよ?もっと強固な檻にするからさぁ……そこで死ぬまで一緒にいようなぁ?樫木には渡さねぇよぉ。俺だけの華だもんなぁ。」
檻って……。こいつ、ヤンデレかよ!どうしよう…母が動けなかったら、私が………。
「っ!!」
ガタガタと震える母はギュッと私の手を握りしめ、キッと強い光を宿した瞳で五十嵐を睨みつけた。
「……いやです。」
「あん?」
「いや、です。あんなとこ、一生行きません。」
「あっ?ふざけんなっ!お前は俺のモンだ!もう一回、教えこませてやろうかぁ!?」
拒絶の言葉を聞いた五十嵐は額に青筋を立てて拳を振り上げた。
母は固まって動けずにいる。何か良い解決策はないのか?!必死で辺りに目を走らせる。
運悪く周りに人は、いない。店員もいない。
父と兄は、きっと気が付かない。
母は、動けない。
どうする?考えろ!!
何か方法は?!
あと少しで、母に拳が当たる。
母が傷付く。
「ママッ!」
考える前に体が動いていた。繋いだ手をおもいっきり引っ張って母の頭の位置を下げ、頭を追ってさがってきた拳の前に飛び出す。
私は、歯を食い縛って迫り来る痛みに備えた。
ありがとうございました。
誤字脱字の指摘、感想などお待ちしています。
薙ちゃんのCDへの道は続く………。




