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死神乙女降臨

 「夜の墓場を歩くってあまりいい心地がしないもんだな」

 「ホッホッホ、ここに眠る魂は安らかに眠っておるわい。悪さしなければ魔物も近寄らない長閑な場所よ」


 ディプト長老と話をしながらとある目的地へと足を運んでいた。

 目的地というと、このアルヴァンド内の墓地に村一番の高い丘がある。

 そこの手紙に書かれていた俺に力を借りたい人物が待っていると長老に言われ、丘へと歩いているのだ。

 

 「なぁ長老、そろそろあの手紙について少しくらいは教えて貰ってもバチは当たらないじゃないんですか?」

 「確かに、お前さんには何にも説明してなかったのぅ。すまんのぅ~」


 全くこの長老のマイペースぶりには困ったものだ。

 

 「まずこれから会う者はワシにも分からんと先に言っておいた方がよいのぅ~」


 「・・・・・・今なんと言いました?」

 聞き間違いだったのだろうか。

 

 「まだワシも会ったことがないから分からないと言ったんじゃ」


 「・・・・・・」

 どうやら聞き間違いではないらしい。

 

 「まぁ~安心せい。その者はワシの知る友人からの頼みで受けたもんでのぅ~赤の他人の頼みを受けたもんではないぞ」

 「赤の他人でしたら、今この場で帰らせて貰おうかと思ってたところです」

 「流石にお前さん程の腕の立つ冒険者をそんな野暮用に呼ぶほどワシも間抜けではないわい」


 どうやら冷やかし半分で呼んだ訳ではなさそうだ。


 「さてディルよ。これから会う者について少し教えておこうかのぅ」

 「それは助かります」

 「ワシは回りくどい説明はせん。これからお前さんが会おうとしてる者は死神じゃ」

 「死神?」


 何を言っているんだと言いそうになったが、どうやら長老の口調からして適当に口にしている訳じゃなさそうだ。


 「死神と言いますと、冥界に住む大鎌を携えたあの死神とでも言うんですか?」

 「左様、その死神になるのぅ。その死神がお前さんに会うことになるのぅ」

 「それは俺を冥界に送るために呼び出されたって訳じゃないですよね…?」

 「手紙にも書いておろう。お前さんに協力してもらう為に呼んだのであって、わざわざ冥界に冥土送りにする為に呼んだ訳ではないわい」


 しかし、驚いたものだ。

 この長老は死神にも人脈があっただなんて・・・・・・ってそうじゃなくて冥界の死神が俺を助けを求めてるなんてのが驚きだ。

 知ってる限りで死神なんてものは…本の物語に出てくる想像で書かれた死神かタロットカードの死神のイメージでしか死神なんてものは思いつかない。

 

 「ちなみに長老の友人っていうのも死神だったりするんですか?」

 「もちろんそうじゃよ。そうでなければこんな話もでてこないじゃろうて」

 「……じゃあ死神ってのは全身骨だけで死装束纏ったもんですか?」

 「そりゃお前さん、それは本の読み過ぎじゃのぅ…彼は至って人と変わりありゃせんよ」

 「そうですか。なんかそれを聞いて安心しました」


 助けてくれと言ってきた奴が全身骨だけの大鎌担いだ奴が会いに来たら流石に俺でも逃げ出したくなる。

 丘まで向かう足取りが少し軽くなった気がしてきたな。


 「しかし、疑問なのですが何故に死神が人間の俺に協力してくれと言いだしてきたのですか?そこがひっかるのですが」

 「それについてはワシからではなく死神に直接聞いてみるとよいじゃろう。ほれもうそろそろ丘の頂上じゃ、あそこに一人の男がおるじゃろう。ありゃワシの友人であり死神の男じゃ」

 

 いつの間に丘の頂上まで登ってきたのか。

 喋って歩いているとあっという間に着いてしまうもんなんだな…確かに丘の頂上に男らしき人物がいるが月が雲に隠れ暗くてはっきり見えなかった。

 近づくにつれてその姿がはっきりと見えるようになり、その死神の男は長身で右手には死神の象徴と言われる大鎌を携え仁王立ちで待ち構えていた。


 「待たせてすまんのぅガルドよ、ようやくディルを呼ぶことができたわい」

 「気にすることはないディプト、こちらはまだ死神が到着していないからな。・・・・・・もうそろそろこちらに着く頃だと思うのだが」


 見た目は確かに人そのものだな。

 死神の男の名前はガルドと言う名前のようだ。

 背丈は180くらいか、頭髪は短めで若干白髪が混じって生えている。

 死神らしい特徴は大鎌ぐらいで、あとは人と言われればほとんど変わりない感じなんだな。


 「さて、初めましてディル・イクシナード君。ディプトから話は聞いていると思うが、私は死神のガルドという名前だ」

 「どうもよろしく…えっとガルドさんでよかったか?」

 「ガルドで構わん。私に気を遣う必要はないぞ、なにせ私はこの地上での活動を引退し新しい死神が君の協力者になるのだからな」

「引退?そういえば、俺は死神が何故冥界からわざわざこの世界へ来て、一体何をしているのかは聞いていないのだが」

 「死神が地上にいる理由か・・・・・・そうだな、詳しいことはもう一人の死神が来たら話をしよう。それまでに簡単な説明をしよう」

 「宜しく頼む」


 「結論から言わさせてもらうが死神が地上にいる理由……それは天界に君臨する神が不在だからだ」

 「・・・・・・んっ?天界の神?」


 なんだろう、死神もあまり信じられない状況なのに、ここで天界やら神がでてきちゃうか。

 今まで本やおとぎ話でしか聞くことのなかった天界が実際に存在している・・・・・・とても胡散臭くて信じられないなと内心はそうだ。

 

 「どうやら君にとって死神も今の話も実際に見なければ納得しなさそうな顔をしているな」

 「そんな顔を俺はしているか?」

 「少なくとも私はそのように見て取れる」

 「なんだか見透かされている気分だな・・・・・・死神っていうのは人の心を覗ける力でも持っているのか?」

 「死神は相手の死相を覗こうと思えば覗けるが心の中までは覗きなどできないな。ならば実際に死神と戦ってみるかね?聞くよりも実際に戦って見ることで見極めがつけ易いだろう」


 百聞は一見にしかずか・・・・・・なんてわかりやすい確認方法だ。

 「とりあえず戦うとしたとして相手はガルドとやるってことだが?」

 「いいや、私よりもこれからここに来る君の協力者と手合せしてくれないだろうか。恐らく向こうも承諾してくれるだろう」

 

 随分と相手の了承なしで戦わせるだの承諾するだのと話が進むな・・・・・・それだけその死神とも信頼が厚いのだろうか。

 「その死神とは仲がよさそうだな」

 「・・・・・・いや昔に顔を見た程度でその死神と話もしたことは無い」

 「・・・・・・」

 話したこともない相手から戦えと言えば戦うのが死神なのだろうか・・・・・・

「心配することはない。地上に来る死神というものはどのような状況においても戦いを臨むと教わり活動に励む・・・・・・それもまた我が冥界の王からの命令でもあるからな」


王の勅令と聞いてさぞかし優秀な人材なんだろう、逆にそんなエリートが俺と共にしたら俺が逆に足を引っ張ってしまうんじゃないだろか。


「知ってる限りでもいい、その死神の特徴を知っていたら教えて欲しいのだが」

「特徴か・・・・・・そうだな聞いた話によれば武に才は非常に良いとは言っていたな、また大抵の死神は大鎌を武器としているがその者は好んで薙刀を使っていると聞いたことがある」

掻き切るを持ち味とする大鎌に対して薙ぎ払うことを持ち味とする薙刀、武器の性質は全くもって真逆と言っていい。

イメージするからに武人といったところか。


「そろそろくるようだな」


ガルドのそういうと同時にガルドの立つ後ろ側に見える景色が歪み始めたのだ。

その歪みは次第に大きさを増して歪みの中心に穴が空き始めた。

穴は膨張するかのように広がり続け、人一人が通れる程の大きさになったその時、その穴の向こう側から一人の死神が現れたのだ。

俺はその死神の姿に目を奪われた。


 背丈は160程といったところか、右手にはガルドの言っていたとおり大鎌ではなく薙刀を携えていた。

 黒い服装で所々に青色のアクセントが服の肩と腰辺りに装飾されている。

そして最も俺が目に焼き付いたものは腰まで伸びるその長い髪、そう・・・・・・とても青く髪の毛一本一本が光を放つかのように透き通る深い青色の髪色だった。

その青い髪に負けない位に、その死神の瞳は青かった。

淀みない透き通る青い瞳。

そう歪んだ空間から現れた死神は女の子だった。


俺は彼女と目が合うと彼女は笑顔を作りこう話しかけて来たのだ。


「初めまして、私は死神にして薙刀使いのアルマです。これかぁらっ・・・・・・っう」


 あれっどうした?急に自己紹介を始めたかと思ったら急に膝を着きぐったりして様子がおかしい。

 おまけに先ほど眩いほどに綺麗だった髪が黒色に変わりまるで覇気を感じられない。

 その時ある音が響き渡った。


「グルルルルル〜」

「・・・・・・」

「なっなぁお前もしかして・・・・・・」

俺が彼女に問いかけようとしたら彼女は何か物欲しそうにこう喋りかけてきた。



「おっお腹が・・・・・・空いた」


その場にいた皆が黙り込んでいた。



閲覧ありがとうございます。丁度この時期私は仕事の繁忙期に巻き込まれ次話の投稿が遅れています。投稿日は今のところ安定しませんがその内安定して定期配信できるよう頑張って行きたいと思います。今後の物語の展開を楽しみに頂けるよう頑張ってまいります。

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