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人事異動

10、人事異動

忙しいのはあいかわらずだ。

求人をかけて人が入ってきたので少しは楽になるかと思いきや、面接だけでは分からないその人間の人柄というものは仕事を始めてから見えてくるものなのかもしれない。というのも入ってきた人間はいろいろと問題のある人間だった。

新しい人間を入れるとそれなりに元からいた人間との軋轢あつれきが出てくるものなのだが、それが大きい場合でも入れてしまってからは簡単に辞めさすわけにもいかない。世の中は基本的には労働者に有利にできており、問題のある人間を雇ってしまった場合でもよほどの問題がない限り、雇った方は立場が弱い。

新しくグループホームすずらんに入ってきたのは若い女の子だった。

履歴書の名前欄には月神雫つきかみしずくと書いてあった。

22歳の彼女は高校を卒業して、自分でヘルパーの資格をとり、他の施設を転々とした後、ここにやってきたらしいが・・・。

面接のときも少しうつむき加減で自信のなさげな表情をしている彼女を見て、朋美は一抹の不安を感じてはいたのだが、人手不足の昨今でそんな贅沢は言ってもいられない。

彼女は人の少ない2階に入ってもらった。

『月神さん、今日もお休みだそうです。』

朋美が出勤したときに、1階のユニットから事務所に顔を出した萌々子が言った。

萌々子は最近、明るくなった。何が彼女をこんなに変えたのだろうと思うぐらいの変わりようで、彼女は仕事もはきはきとこなすようになったし、話し方も以前と比べてほんの少しではあるものの、自信に満ち溢れたものになっていた。

『え・・・困ったな~。』

『なんか風邪が良くならないそうですよ。』

『そうなんだ・・・。体調のことだし強くは言えないからなあ・・・。』

朋美はそう言いつつもこれが続くようなら何か言わなきゃならないことを感じている。

雫は線の細そうな女の子だが、どうにも少し常識のないところがある。休みの連絡は朋美も受けたことがあるのだが、本当に体調が悪いのかどうかは疑わしかった。もちろん具合は悪そうなのだが、どちらかというと体調というより精神的にすぐれないと言った方が正しかった。

『一応、ちゃんと病院に行くようには伝えておきましたよ。』

こんな気の利くことを言えるようになるぐらい萌々子は本当に変わった。

『病院に行くように・・・。』という言葉は一見すると普通の言葉に見えるが、実は『自己管理はちゃんとしようね。』というメッセージでもある。こうやってある程度はくさびを打たなければ、若い新人はずる休みをしようとする場合があるからだ。

そんな見方は考えすぎだ、という見方もあるかもしれないが、世の中にはいろんな人がおり、人を管理する場合はある程度、人を疑ってかからないといけない場合が多いのである。

そういった意味では萌々子が『病院へ行くように』と伝えたのは非常に気の利いた言葉なのである。

もちろん彼女はそういう意味で気を利かしたわけではないのだろうけど・・・。

何が彼女をそんなに変えたのかは分からない。

でも変わったのは確かである。何が変わったかと言えば、まず髪型。少し長めに伸ばしていた髪の毛を思い切って短くしてきたときは朋美も驚いた。また落ち込んでいるのかと思ったが、話してみるとそうでもなくてほっとしたのを覚えている。

気のせいか・・・萌々子を見ていると歩き方まで変わったような気がする。

これは朋美の主観なので、萌々子自身は何も感じていないとは思うのだが、確かに歩き方まで変わったように見えるのだ。前は下を向いて自信なさげにとぼとぼと歩いているような感じだったのだが、今は背筋もちゃんと伸びておりなんだかしゃきしゃき歩いているように見える。

ただ・・・そんな彼女も変わっていないところもある。

あのイチゴのバックだけは変わらずに持ち歩いているのだ。

『そう。じゃあ、夕方にもう一度電話しておくね。今日は二人勤務になっちゃうけど大丈夫?』

『大変だけど、何とかなると思います。あたしは2階に応援に行きますし、1階もお風呂の予定は他の日にして、散歩もできる時間に少しだけにすれば大丈夫だと思いますよ。』

『そう。ありがと。助かるわ。よろしくね。』


雫のことは夕方に電話する予定だ。

具合が悪い・・・というのは少し嘘っぽい。

多分、2階の人間関係がうまくいかないのだろう。確か先日も2階のスタッフの誰かに怒られていたような気がする。

怒る方は特にきつく叱っているつもりはないのだろうけど、叱られる方としてはきついのかもしれない。仕事ができるできないの判断より前に、指導する側のそういう配慮もある程度必要だと朋美は思っている。頭ごなしに何かをしろ、と言われても言われた方の頭には案外、入っていかないものなのである。

『月神さん・・・料理も信じられないぐらい下手で・・・。』

恩田恵おんだめぐみは施設の中でも一番若い・・・いや雫が来るまでは一番若かった2階のスタッフであり、彼女は2階のユニットリーダーである。

恵は半ば怒りながら1階の事務所に入ってきて、雫の現状を朋美に訴えてきた。

『そうなの??』

『そうなんですよ。ソバは水から茹でようとするし、サンマは焦がしちゃうし・・・。』

『サンマを?それにしてもあのサンマを不味く料理するなんて天才じゃん。』

朋美はそれを聞いて笑ってしまった。

笑う余裕があればいいのだが、恵にはそんな余裕はなかった。

『ホーム長!笑ってる場合じゃありませんよ!!』

『はは・・・ごめんごめん。』

『ちゃんと言っといてください!!』

雫に関してはこんなやりとりがあった。

恐らく優しく接しているのは敬ぐらいだろう。大体、介護をやっている女性というのはあきらかにアクが強い。雫にしても一見すると弱々しく見えるけど、実は自己主張が下手なだけで、自分をなかなか曲げない子のように朋美には見えるのだ。しかし、こういう子はアクの強い職員たちの中に入れておくとつぶれてしまうだろう。

毎月のシフト表ではいつも悩まされるのだが、雫が入ってきてようやく楽になったと思った2階のシフト表は、どうにもこれではうまく行かない。大体、雫にはそこまで多くのことを期待しているわけではないのだが、彼女の大きく傷つきやすいプライドは、自分の中でたくさんのことを成し遂げたいと思っており、それが彼女の心をいつも傷つけているのだろう。

もう少し謙虚な気持ちを持てればすごく楽にはなるのだが、今の彼女にそれを求めるのは恐らく困難に近いのではないかとも思う。

ソバを水から茹でてしまうのも、サンマを焦がしてしまうのも、彼女には分からないだけなのだ。そして分からないことを聞くことができないというのが致命的なのである。どうして聞けないのか?それは怒られるのが・・・強い口調で言われるのが嫌だからである。また、分からないことが分かっていなかったりもする。通常、ソバを水から茹でないことなどは常識的なことではあるのだけど、家庭環境で料理をせずにここまで来たような子ならそういうことをまったく疑わずにやってしまってもおかしくはない。

指導する側はそういうことまで否定してはいけないのだ。

そういいつつ短気な朋美はつい厳しい言葉を投げつけてしまうことがあるのだが・・・。

ただ、当然のごとく、仕事なので強い口調で言われなければいけないときもある。でも当人が知らずにやってしまったことを必要以上の攻め立てるのはよくない。

彼女はまだ若いから、そういった経験を踏みながらいろんなことを覚え、朋美ぐらいの年齢としになってくれればいいのだ。

人材の育成も仕事のうちなのである。

それにしても、雫のことはどう扱えばいいのか、実はここ数日、朋美は悩んでいる。

とにかく勤務日当日になって休むことが多いし、出勤してきてもずっと下を向いて元気がなさそうだし、利用者と話すのも好きではない感じが受ける。

『あの子、向いてないのよ!』

恵から言わせるとそんな意見も出てきそうであるが、朋美自身はその意見には反対である。

向き不向きは数年間、その仕事と向き合ってから決めるものである。

仕事に自分を合わせていくという本人の努力も当然、必要であるが、そのための手助けをするのもまた指導者の仕事である。

少し見ただけで何もできないから『向いてない。』と判断するのは管理者としては失格である。それは少し仕事をして嫌なことがあったから辞めていくような人のメンタリティーとまったく同じなのである。

一見、この仕事に向いてないとも思えるような人でも何年か後にはいい仕事をしているということは実に良くある話である。現に朋美と同期入社してきた男性も最初は陰気な感じで利用者とも満足に話すこともできない奴だったが、今では隣接のグループホームのホーム長である。

つまり雫もちゃんと育成してやれば、使い物になるかもしれないのだ。

いずれにしてもそういったことは、今、判断することではない。

ただ・・・。

『教育係だよなあ・・・。』

朋美はパソコンの前で作業をやめて椅子を大きく後ろにそらしながらつぶやいた。

育成する前につぶれてしまって『辞めたい』となってはいけないのだ。朋美自身、短気な性格が災いして何人かの新人を辞めさせてしまったことがある。

そんな失敗を繰り返さないように注意はしているのだが・・・。

『だって・・・いつも下向いてるしな~。』

朋美は思考に陥ると問題点を口に出して考える傾向になる。言葉には力があるというが、言葉にして口に出してみると案外、問題の解決策が見える時があるのだ。

今回もそうだった。

名案が浮かんできた。

それは以前から考えてきたことだが、今回はいいタイミングかもしれない。

雫と同じように自信なさげに、下を向いてとぼとぼ歩いている職員。

いちごのバックを持って歩いているあの子。

最近はなぜか表情は明るいが、同じような感じの彼女なら雫に対して厳しく叱ることもないだろう。

問題は、雫を1階に異動させるとして誰を2階に上げるかだ。


1階のリーダーは松本弥穂まつもとみほという名前の60歳近くの女性である。

朋美の入社当時からの先輩で、この道10年以上の大ベテランである。この会社は60歳で定年だから彼女はあと数年でリーダーから外れることになる。当人もそろそろリーダー業務はきついと日々こぼしており、朋美は前から1階のリーダーは萌々子にしようと思っていた。

施設内の人事に関しては基本的にホーム長に任されているから、自由に動かせるのだが、これを機に思い切り動かしてみようと朋美は思っている。

2階の新人である雫を1階に異動させて、弥穂を2階に異動させる。

2階のユニットリーダーも少し頼りないところがある。ちなみに2階のリーダーは前述の恩田恵おんだめぐみであるが、彼女には新人の教育だけに限らず、どうにも感情的になるところがある。それはやはり余裕のなさから来ているところもあるのかもしれない。

今回のことは彼女のためでもある。

経験豊富な弥穂を恵につけることによって、2階には余裕ができる。

1階は萌々子がリーダーだから当初はバタバタするだろうけど、そこは朋美がフォローすればいい。

そんなことを朋美が考えていると、お腹から『ぐう』という音がした。

恥ずかしい話ではあるが、この年齢としになるとお腹が鳴ることが多い。しかも結婚して子供もいればそういうことをさほど『恥ずかしい』とは思わなくなる。

女としてはいけないことなのかもしれないな・・・なんて思いながら朋美は時計を見た。

針は12時を指していた。

どおりでお腹が鳴るわけだ。

朋美は食事を摂るために、2階の台所に行った。今日の早番である雫の変わりに急遽、2階に応援に行った萌々子が三角巾にエプロンという出で立ちで台所に立っていた。確か彼女も最初にここに来たときは料理が苦手でサンマを焦がしたり、魔女の秘薬かと突っ込みたくなるような悲惨な煮物を作ったりしていた。

朋美は何かの本で『サンマを不味く料理するような人がいるなら、その人は料理には向いておらず、台所には立たない方が賢明である。』というような一文を読んだことがあるのだが、実はこの仕事をしていて思うのが、案外、若い女の子は魚料理がまったくできない子が多いのだ。だから料理のセンスにしても仕事の合う合わないの話にしても、『○○ができないなら無理』というように一概には判断できないものがあると朋美は思うのである。

まあ・・・。

そうは言うものの・・・。

基本的に萌々子は料理が下手であることには変わりがないが・・・。

食が貧しいのも原因の一つなのかもしれない。普段から美味しいものを食べたいと思う気持ちが強い人は決して食は貧しくならないものなのだが・・・。

『あたしの分も作れそう?』

『大丈夫だと思います。』

『じゃあ、よろしく。お昼は2階の事務所で一緒に食べようよ。』

何か大切な話をするときは、食事をしながらが一番いい。

一説によるとお酒を飲みながらがいいという話もあるのだが、女性の場合はそういうわけにも行かないのだ。萌々子は独身だからまだなんとかなるのだが、結婚している人になれば家庭もあるから、なるべく仕事の話は昼間に済ましてしまう方が良いのだ。

朋美は先程思いついた話を萌々子にしようと思っている。

物腰は柔らかく、しかもユニットリーダーとして他のスタッフとはちゃんと一線引いて付き合える弥穂に関してはベテランだから2階に行っても恵のフォローをうまくやってくれるだろうし、恵の方も弥穂に対しては尊敬している様子なので大きな問題は起きないだろう。

だから一番の問題は萌々子が1階のユニットリーダーを引き受けるか・・・ということなのである。

最近、変わったとはいえ、いつも下を向いてネガティブなことばかり言っている彼女が簡単にこの人事を引き受けるとは到底思えない。しかも新人の教育係をするなどという今までにやったことのないことを朋美はやらそうとしている。

正直、心配ではあるものの、能力としては可能であると朋美は思っている。

しかし問題は彼女が引き受けるまでに時間がかかるのではないか・・・という点である。

それに気がかりな問題は他にもある。

この人事に関しては恵の管理者としての人材育成能力に対して『失格』と言っているのと変わらないことではあるのだ・・・。

ただ、そのことにもし恵が気付くことがあったとしても、どうしようもフォローのしようがない。

彼女には申し訳ないが、彼女の育成方法は『失格』なのである。現に新人が悩みを抱えたまま来なくなる可能性があるということは管理者の管理能力を問わざる負えないのだ。

そこに気付いて自分を変えることも恵には必要なのだ。

事実、そういったことは朋美にも言えていることなのだが・・・。

いろいろ問題は山積みではあるものの、行動を起こさなければ何も変わらない。

せっかく求人に引っかかって働くことになってくれた若い人材は、何もしなければおそらくそのまま辞めていくだろう。求人費がバカにならないという会社の事情もあるが、それだけでなく人材を育成していくということは、どこの業界においても大事なことなのである。

この件に関しての朋美の努力は、一人の人材を生かすための努力であり、縁あってこの施設に仕事をしにきてくれたのだからできる限り長く仕事をしてほしいという朋美の願いでもある。

これだけ面倒な人事をしたとしても、一人の人材が育ってくれれば、会社のためになるのだ。

朋美はそう信じている。


食事を持って萌々子がやってきたのは割と早かった。

二人分の食事を持って事務所にやってきた。

最初は萌々子も手際が悪く、こんなに早く作れなかったのだ。家で何食べているんだろう?と朋美はいぶかったものだ。雫と違って萌々子の場合は施設に来たときにはすでにけっこうな年齢としだったからかなり心配だった記憶がある。

『ありがと~。』

『いえいえ・・・。なんかメグちゃん、えらい勢いでしたね。』

恵はかなり荒れているようだ。

たしかに新人が思ったように動かないというのはイライラするものである。それは朋美にもよく分かるがそのイライラを外に出してはいけない。いや・・・このことに関しても短気な朋美は人のことは偉そうに言えた義理ではないのだが、ただ朋美は自分が短気なことに自覚がある。恵にはその自覚はない。

このあたりのことはあまりにひどいようなら言わないとと思っているが、ひとまず、その指導に関しては弥穂に任せようと思っている。

柔らかい彼女ならそういう指導にはうってつけだろう。

『そんなにすごかったの?』

『はい・・・。』

萌々子は笑いながら言った。

以前の彼女なら笑う余裕なんかなかったはずだが・・・。

『料理なんかそのうち覚えますよ~。』

萌々子は肉じゃがに箸をつけながら言った。大きなじゃがいもをほおばっている萌々子はやはりなにか余裕というか以前とは違うなにかを感じる。

貫禄がついた・・・といえばいいのだろうか。

『そうなんだよね。いちごちゃんもかなりのもんだったしね。』

『そうですよ。あたしだってこうやってちゃんとできているんだから。』

『ねえ・・・いちごちゃん。』

『はい?』

『なんか変わった??』

朋美は本来言わなければいけないことを後にしてまでも、少し前から気になっていることを聞いてしまった。

『?』萌々子はよく分からない顔をしている。

確かに自分自身の変化に関しては自分では自覚がないのかもしれない。

『あんた・・・まさか・・・。』

朋美は今まで絶対にないと思っていたある考えが頭をもたげた。

『まさか??なんですか???』

『いや・・・ない・・・ないよね。あり得ない。』

『何が・・・あり得ないんですか??』

女は恋をすれば自分に自信がつくし、綺麗にもなっていく。最近の萌々子はまさにそれに近い。

元からおしゃれではあったが、髪型はすっきりショートにしてるし、着ている服も以前のふわふわしたスカートではなくて、パンツルックが多くなった。

萌々子のファッションは以前に比べてしゃきっとしているように朋美は思う。以前は年齢にしては少しかわいすぎる感じでそれはそれで童顔な彼女には似合っていたのだが、今は年齢相応の感じになったような気がする。

『え・・・いや・・・ほら・・・ねえ。』

朋美はなんだか萌々子に自分の気持ちを見透かされているような気がして少し焦ってしまった。

でもここまで言ったからには聞くしかない。本来そんなことをいちいち聞くのは朋美の趣味ではないのだが・・・。

『あのさ・・・。なんかプライベートなこと聞くのは申し訳ないんだけど・・・。』

朋美は2階の事務所にいるので少し声を小さくして言った。

『内海くんの件・・・どうなったの??』

『ああ。あれですか。あはは。見事なぐらいにふられましたよ。』

にこにこしながら萌々子は言った。

朋美はそれを聞いてズッコケそうになった。まさかとは思うが朋美は一瞬、この恋が成就したのではないかと思っていたのだ。

『そうなんだ・・・。』

『やだ。ホーム長。あたし別に落ち込んでないですよ~。』

確かに落ち込んでいるようには見えない。

むしろ片思いしているときの方が元気がなかったし、いつも下を向いていたように見える。

『なんか・・・あたし・・・今まで思い切って自分の気持ち言えたことなかったんですよ。今回はダメだった・・・てゆうかダメってなんとなく分かっていたんだけど、それでも思い切って自分の気持ちが言えたんです。そしたらいろんなことが見えてきたんですよ。』

『いろんなこと?』

『はい。例えば今までなら一人でさびしいなあ・・・って思うことが多かったんですけど、最近は独身だからこそやりたいことがたくさんありますし。これって今までもそうだったはずなんですけど、見えなかったことなんですよね。』

『へえ・・・。』朋美は思わず笑顔になった。

萌々子は良い方向に変わったな、と思った。

これなら1階のユニットリーダーを任せても大丈夫だろう。


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