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「0、愚者」 と「1、魔術師」
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「0、愚者」 『比類なき勇者』
挑む果て無の者は、太陽のもとに在り。
空に憬れ、青の道を往く。
恩寵の夢語りを詠み。
その願いは、天使まで届く希望。
濃霧により隠された輝き。
途切れた未来であろうとも、求め。
傅きの聖なる御方を探す。
終わりなき絶対の霊人。
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「1、魔術師」 『世界樹の繭』
受け継がれた世界樹の繭と焔。
万華鏡のように、
とらえどころのない御影の栄。
顕れた、奇跡の術を使う者。
世の求める、有るべき事象の形。
彼方の稲穂を、風と秋の蝗が揺らし。
翳りの夕暮れが、
真っ赤な絨毯を広げ。
地面からは、蟲たちの足音が響き。
天より剣が落とされ、
金環が宙に浮かぶ。
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