私の夢
「ただいまなんですけど、お父さん」
「おかえりミコト」
中学校から帰って来たミコトはお父さんの病院に来ていた。
「ツトム君目が覚めてそうだよ、ありがとうミコト」
「わかった、そういえばあれは何処ですか?」
「買ってあるよ」
「ありがとうなんですけど」
ミコトはツトムの病室に向かった、すると丁度ツトムの親族が見舞いに来ていた。
「よかったよ目覚めてくれて、ツトムまた元気におばあちゃん家来なさいね」
「うん、わかったよ。みんなありがとう」
「じゃあそろそろおじいちゃん達はかるとするかの」
「じゃあねー」
親族の方が帰って行った後ミコトがツトムを尋ねた
「ツトム君気分はどうなのかしら?」
「君は誰?」
「私はミコトなんですけど、寝てる間に見た夢とかってなんか覚えてたりするのかしら?」
「さぁ、よく覚えてないな。なんか母さんの夢だった気がするけど…」
「悲しい?」
「まあまあかな」
「嘘つきかしら」
「俺の母さんはもう死んじゃったから…うーんなんていうか」
「その気持ち少しわかるわ、私のお母さんは寝たきりなのよ」
「そうなんだ、でも大丈夫だよ。この病院なら寝たきりの人を治せるだから」
「…そうね、必ず治すわ」
ミコトは母の病室に来ていた。
「ミコトちゃん辞めておきなさい」
舞香がミコトを見つけて止めに来ていた
「大丈夫なんですけど、ちょっと修行に行ってくるだけなんですけど」
「ミコトちゃんわかってるはずでしょう」
ミコトは舞香の忠告を無視して母の夢に入った。
そこは廃墟の町だ人がまばらにいる、この人達は人間だったが夢に魅せられて悪夢に閉じ込められている、
ここの人達にはもうほとんどが自我が崩壊しているミコトもいずれこうなるのだろう。
「心器錬成、あっいたあの人だ」
ミコトが時折この夢の中に入り技を磨いている、そしてミコトが修行の相手としているのがこの夢の中で最も強いであろう人ミコトのおばあさんだ。ミコトのおばあさんと言っても見た目は三十代でありその位の時から悪夢に囚われているのだろう、おばあさんはもう亡くなっているしこの事実をミコトは知らない。
「この人に勝てるくらい強くなって、この夢の主人を倒さなくちゃなんですけど」
ミコトは相手に斬り掛かるが難なくかわされてしまう、相手はミコトを敵と認識して双剣だした。
「きたかしら双剣さん」
容赦なく襲ってくる刃をギリギリでかわし続ける
「確実にかわしつつかわしすぎない」
かわせないのを刀で弾いて
「相手の行動をしっかりと見て」
一瞬相手に隙が出来た
「チャンスは見逃さない」
ミコトの刃が相手に届いた、だがそこまでの深傷ではないようだ、ミコトの体にも数カ所の傷がある。
「はぁはぁ、歴戦王」
「こっからなんですけど、双剣さんは」
相手さっきとは打って変わって静かにゆっくりしてと距離を詰めてくる、ミコトは相手の間合いに入ったら瞬間に相手の後ろに一瞬で移動して一突したが見切られて腕ごと刀を切り飛ばされた。
「ううぅ、やぱっりだめだったのよ」
ミコトは刀の方に行こうとしたが斬撃を飛ばされて刀を取りに行く事は出来ず今回も諦めるしかなかった。
「あの風読みのせいで全部見切ってくるし、風の斬撃も即死級、今のままじゃあ無理ね」
どうしたものかミコトの刀はミコトの心そのものである、置いて帰る訳にも行かない。
だがすでに双剣使いはトドメを刺しに来ていた
「もう此処に囚われるしか無いんですけど」
そんな事を考えて空を見上げているとあなた双剣使いの首が上を通り過ぎて行った。
「また来ていたのかミコトちゃん、来てはいけないと何度言っても分からないようだね」
落ち着きがあり丁寧な静かな圧のある声がした。
「おじさん」
ミコトの父の実の弟である神藤 楓であった。
「ここはとても危険な場所だよ、私だっていつまで自我をたもっていられるかわからないんだ」
「何回もそれ聞いたんですけど」
「薫はなんて言っているんだ」
「ミコトの自由にしなさいって、それにもうどうせこの悪夢に私が入る事は決まってるんですけど」
「本当にそれだけ?」
「お母さんの悪夢にだけは入るなって」
「お父さんの言う事を守らないとダメでしょう、それにミコトちゃんがこの悪夢に来る前にここを終わらせるから。」
「私も戦うんですけど」
「だめだよ危険過ぎる、ミコトちゃんはまだ生きているだから」
楓はもうすでに亡くなっている死んでなおこの悪夢に囚われているのだ
「でも私諦めないのよ、絶対にお母さんは私が助けるかしら、一人でもまたここに来るのよ」
楓はため息をついて考えた
「わかったよ、でももしここに来る時はあの廃病院においで、私達はそこにいるから。絶対に一人で戦ってはいけないよ、わかったね。」
「やっと仲間に入れてくれるのね、感謝なんですけど」
嬉しそうにするミコト見ながら楓は薫にすまないと思っていた。
「今日はもう帰りなさい」