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魔女は「答え」を希う  作者: でしりっとる
Ⅳ章
64/72

見ていた人がいるの?<Ⅱ>

ーー


 雨が降りそうな灰色の空。そんな空の下でも、人々は広場に集まっていた。目的はもちろん、これから行われる【森人類(エルフ)】の長、エンリ様の処刑。現在冷戦中と言えど、争っている七種族の内の一つの長が目の前で処刑される場面ということで、人々は期待半分、これの影響で争いがまた始まるのではないかと言う不安半分といった様子でその時を待っていた。


 そんな私も、興味本位でこの場にいた。【真人類(オリジン)】でなくとも、長の処刑という話は気になってしまうものだ。私はエンリ様について詳しく知らないのだが、エンリ様に出会って、いろいろと教えを受けたり、助けていただいたと言う仲間の話はよく聞いたものだ。


 会ったことがないく、エンリ様に思い入れがなかった言うのもあるが、私程度の実力ではあそこにいる護衛兵に勝てる気がしないので、噴水の中でその瞬間まで見ているだけだった。



 処刑が終わり、人々が広場からいなくなって、そろそろ人目も少ないし私もその場を離れるかと考えていた。広場では兵士が処刑台の片付けを行っていたり、それを仲間内で話しながら見ている人もいたりした。中には処刑台を見たままじっとして動かない人もいた。


 帰ろうとしたが、片付けている処刑台とか、死体とかはどうしているのかと言う興味が湧いてきた。ちょうど雨も降ってきたので、それに紛れながら片付けている後ろを追ってみた。


 後を追うと、処刑の時に一番喋っていたおじさんが複数人を連れて歩いて行くのを見かけたのでそちらの方が気になりついて行くことにした。後ろから見ても先ほどいた三人の実力者には見えない。他の兵士かと思ったのだが、兵士にしてはフードを被って身を隠しているのが興味を引いた。


 離れた位置からついていっているため、何か話している様子だが、話している内容まで聞こえない。


「…………感謝して……。……協力の…………」

「こちらの……………。……これからも…………」

「…………これで…………。後二人…………時間は…………」

「我々の計画通りに…………今後も手伝って頂ければ……には迷惑がかかりませんので……」


 協力……?計画……?なんのことだろうか?面白そうだし、もう少し近づいて聞いてみよう。


「我々四種族の悲願の……【真人類(オリジン)】を……るために…………」

「もちろんこの街には被害が出ないよう…………今後とも……」


 あれ……?この話って私が聞いたらダメなやつでは?思っていた以上に大きな話のような……。でも、もっと近くで……。


「その前に、そこで聞き耳を立ててる悪い子がいるね……」

「な、なんですとっ!?一体どこに!?」

「っ!?」


 まずい!気付かれた!どうす──


 一度に五つの斬撃を浴び、水の体なのにも関わらず私の体は十二等分にされ、そのまま私の意識がなくなった。


ーー


「……という話だったけど、どうだったかしら?」

「『どうだった』と言われても、その話だと聞いていたという人殺されてませんか?」

(わたくし)も本人から聞いたわけではなく、噂話程度に流れてきたものなので……。細部に違いはあるかと」


 まあ、仕方ないか。噂とはいえ、ここの地で話を聞けるとは思ってもいなかった。「協力」「計画」というのは師匠(せんせい)の処刑に関することだろう。【真人類(オリジン)】側──というか、処刑が行われた街(ルーペンス)の陣営が他種族と手を組んで行ったような話だった。


 「我々四種族」と言っていたか。これが本当であれば、【鱗人類(リザード)】を始め、後三種族がこのことに関わっていることになる。


 そしてその目的。「【真人類(オリジン)】を……るため」。「攻める」「(なぶ)る」「襲撃する」などと言った不吉な言葉しか出てこない。「この街には被害が出ないよう」というように話していたということは、ルーペンス以外を襲わせるつもりなのか。


「あの……リリアさん?大丈夫でしょうか?」

「……む、すみません。つい考えにふけってしまって……」

「ふふ、良いのですよ。それだけエンリ様のことを想ってらっしゃるのね」

「なっ……あの人は……師匠(せんせい)はわたしを助けてくださって……それで……」

「顔真っ赤だぞっ!あははっ!」


 慌てるわたしを見てスピネルが笑い、それに合わせるようにコーラルも笑う。


「大丈夫ですよ、わかってます。……(わたくし)も、あの方が死んだと聞いた時はとても悲しみました。昔の話ですけど、(わたくし)が別の水辺に住んでいた頃に旅の話をしてくださったことがあります。それを聞いて、どれだけ心を躍らせたことか。そんな気持ちで、(わたくし)も各所を回って……今はここに落ち着いておりますが」

「……」


 ディラの街であった試験官のクレストもそうだったが、師匠(せんせい)と関わっている方は色々な場所にいるのだなと改めて感じた。


(わたくし)が話せることだけど……そうだ、トルマリン様のお達しの話だけど……」

「確か、『事件のことに触れるな・調べようとするな』っていう……」

「それは知っているのね。じゃあもう一つ、トルマリン様からの話をそのまま伝えるのだけど……」


 少し貯めて、コーラルは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を話した。


「『我々【水人種(ウンディーネ)】はこのことに関わっていない。エンリ君には伝えたのだが、それでも彼は彼の道を選んだよ。本当、惜しい共を無くしたよ』……あの事件を探る少女に出会ったら伝えて欲しいと言われたわ」

「……っ!」


 本当に、トルマリンという方はなんでもお見通しのようだ。

閲覧ありがとうございました!

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まだ至らぬ点が多いかと思いますが、

そう言った点もご指摘いただければと思います!

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