次の街はどこなの?
「この街を出る?急にどうして……」
今日の分の報酬を受け取り、足早に宿の部屋に戻りそう言う旨の話をサラにした。わたしは正直な理由を話すか迷ったが、ある程度話すことにした。
「……一週間ほど前、わたしがローブをボロボロにした日、とある相手と戦ってたの」
「まあそれは察しがついてたけど……」
「その時の仲間に弓使いがいて、この一週間依頼を受けている間に撃たれ続けてたわけなんだけど、今日感知魔法に反応しない攻撃をされたんだ」
「……ちょっとまって!?攻撃されていたの!?この一週間!?」
サラが動揺する。この一週間はサラに気付かれないように風で矢の迎撃を行なっていた。
「言えなかったことはごめんなさい。ただ、さっきも言ったように感知に反応しない攻撃がある以上、わたしだけの力で守りきれるとは言えなくなったの」
「それで街を出るのね……」
「今のところ、街の中では攻撃はされてない。けど、いつここが狙われるかもわからないわ。調べることはあらかた終わっているから、この街に残り続ける理由もないわ。……もしサラがやり残したことがあるのなら話は別だけど……」
わたしの言葉に、サラは目を瞑り腕も組んで少し考える。結論が出たのか、目を開いて話をする。
「最近しっかり以来をこなせるようになったから、もうちょっとやりたい気持ちもあるけど……わかった!次の街に行こ!」
わたしはサラの返事にホッと胸をなでおろす。
「ただ、お腹は空いたから昼食だけ食べたいんだよね……大丈夫かな?」
「まあそれくらいなら……。確か最終の便は十九の刻だったはずだし、それまでに支度を済ませましょ」
「はーい!」
昼食を軽く済ませて、お風呂や買い物など次の街へ行く準備をしながら乗車時間までの時間を過ごした。その間、わたしは最大限の警戒を行い、気が気でなかった。
「そこまで警戒してたら相手も攻撃できないでしょ……」
そんなことをサラに言われながら、十九の刻、定刻通りに停車した乗り物からこの街で降りる乗客が降り、わたし達は乗車する。わたしは外が見える位置へ座り、意味があるかわからないが感知魔法を広げた。
ルーペンスの街を守る煉瓦造りの外壁がどんどん小さくなっていく。……この街に来ることももうないだろう。来る時は昔のこともありあまり来たいとは思っていなかったが、思っていたほどルーペンスという街自体が嫌だったとは感じなかった。全て落ち着いたら、回ってみるのも悪くないだろう。
そんなことを考えつつ、暗くなった外の景色を睨み続ける。街から出たからと言って、まだ警戒を解くわけにはいかない。いつ攻撃がこちらへ飛んでくるかわからない以上、明日まで……いや、最低でも乗車中は眠ることを許されないかもしれないな。
「そういえば、次に行く街ってどこなの?」
「ごめんなさい、話してなかったわね。次は「リズファーク」と言う街に向かう予定よ」
わたしはサラの方へ顔を向けずに答える。
「聞いたことあるけど、どういう街?」
「海が近いから、漁業がさかんに行われているし、航路での移動が主だから色々な街の文化や集まってる街よ」
「海……鮮……!」
サラの方向を向いていないが、きっと海鮮料理のことを考えて目を輝かせているに違いない。
「船かあ……近くの湖に行って小さい船に家族で乗ったことはあるけど、そかの街や大陸に行くようなのには乗ったことはないなあ」
「……一応言っておくけど、船には乗らないからね」
「まあ、そうだよね……」
サラは少し落ち込んだような声色になる。そんなサラを励ますついでに、あることを伝える。
「船には乗らないけど、その次に向かう街、「レレオンドーク」はわかるかしら?」
「……あ!わたしの故郷の村に近いところだ!」
サラとお互いの話をしている時、サラの生まれた村のことは聞いていた。意識したわけではないが、たまたま行こうと考えていた街の近くだったので、道順として組み込んでみた。
「今回のルーペンスはどうしても回っておきたかったから、ちょっと遠回りになってしまったけど……」
「ううん!わざわざ通ってくれてありがとう!」
そう言うとサラはわたしに後ろから抱きつく。密着され、お風呂に入った分加算されたサラの温もりが少し熱くも感じる。
そんなことを考えていると、乗り物がゆっくりと減速し、止まる。また獣でも現れて進路を塞いでいるのだろうか。だが、時間が経っても連絡がない。待ちかねたのか、一人の男性が乗り物から降りて御者を問いただそうとする。
「おい、急に止まってどうし……うわああああああああああああ!!」
何事かと思い、わたしも乗り物から降りようと席を立つ──が、乗り物後方から気配を感じ、急いで風を起こして乗り物全体を覆う。
ばちばちと言う音と共に乗り物が吹き飛び、わたし達を含めた乗客は肌寒い風が吹く夜の森へと体が投げ出された。
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