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魔女は「答え」を希う  作者: でしりっとる
Ⅱ章
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質問に答えてくれないかな?<Ⅲ>

 昨日の試験で使用したほどではないが、それでも地面を削り取り、突風が吹き荒れるその魔法は、二人の頭一個分上の位置を通り、土壁に大きな穴を開けた。わたしは自身と二人を魔法で防御し、


「……もし次にサラさんに、いや、他の人にでも理不尽なことをするようだったら、許さないから」


と言った。二人は開いた穴を見た後、わたしの方を振り向き何度も頭を振った。


 その時、土壁の反対側が開く。入ってきたのは大人の女性、昨日の強化魔法の時の試験担当の方だ。その後ろからサラと、サラを支えているロゼが歩いてきた。


ーー


 急に土壁ができ、リリアさんとカリムさん、アコさんの三人と私が分断される。恐らくリリアさんの魔法だろう。


「リリアさん!待って!」


 しかし返事は返ってこない。私は立ち上がろうとする。が、左足が痛み、立ち上がることができなかった。


「うっ……どうすれば……。そうだ、穴を開ければ声が届くはず」


 私は魔法を展開する。昨日と同じように二つの魔法陣を直列に並べ、繋げた上で放つ。土壁にぶつかるが、少し削っただけで穴が開く様子はない。


「うそ……。それじゃあ、昨日の魔法を……!」

「あら、サラさんではありませんこと?」


 魔法を展開しようとした時、森から聞き覚えのある声が聞こえる。ロゼさんだ。


「あ……ロゼさん」

「まあ!ひどい怪我をしてるじゃない!大丈夫ですの!一体何がありまして?」


 ロゼさんは近くにいたらしい。急に大きな土壁が形成され、気になったためこちらに来たとのこと。私はここまでの経緯を話す。静かに話を聞き、話が終わるとロゼさんは頭を抱える。


「やはり昨日今日の彼女達の態度はそういう……申し訳御座いませんわ、サラさん。わたくしがしっかり彼女達と話をしておけば」

「いやいや!ロゼさんが謝ることは!私が二人のひんしゅくを買っちゃったから……」

「サラさん……貴方もそうやって自分の責任にするのはやめなさい……。とはいえ、これはどう致しましょうか」


 ロゼは土壁を見上げる。中に三人がいるので、大きな魔法を使うと被害が及ぶかもしれない。しかし、加減をしても先ほどの私の魔法のように穴屋を開けることすらできない。


「せめて魔法で攻撃で開けず、土そのものを操作して動かせれば……でも、私もロゼさんも土魔法は得意ではないよね……?」

「あら、その手がありましたわね」


 そう言うと、ロゼは持っていた袋に付いていた付札を破く。一瞬、魔法陣のようなものが出現し、すぐに消えた。


「ロゼさん!?破いちゃって良かったの!?それは緊急時用で……」

「今がその緊急時でして?それにわたくしはこれが無くとも問題ありません事よ」


と言い、高らかに笑う。数分後、駆け付けてきた監視係の人に事情を伝えて、土魔法で穴を作ってもらった。


ーー


「あなた達、事情は一通り聞きましたよ」


 監視係の女性はわたしを見て、座り込んでいる二人を見る。二人はロゼの顔を見て安堵してか、涙が吹き出す。そしてわたし達に指示を出す。


「まず003番と004番、あなた方は289番に対する過度な攻撃を行ったものとして、ここで試験を終わりにさせて頂きます。次に288番、現状003番と004番に怪我が見つからないのでこのまま試験を続けて貰います。しかし、今回の件が恫喝になる可能性がある為、一度本部へ持ち帰り、後程通達させて頂きます」


 女性は泣いている二人を土魔法で運ぼうとする。しかし、ロゼが食い下がる。


「お待ちになって頂けないでしょうか!わたくしはお二人の友人として今回の件を事前に防ぐ事が出来なかった責任があります!お二人が失格になるのであれば、わたくしにも何か……」

「そんな……」

「ロゼ様は何も……」


 女性は少し考え、そして


「では002番、あなたの話も288番同様に一度上に伝えます。あなたはお二人の代わりに時間まで試験を全うしてください」


 ロゼはまだ言いたそうだったが、二人が止め、渋々下がる。女性は最後に、


「289番、もし動けないのであればこのまま一緒に連れて行きます。もちろん棄権扱いにはなりますが、いかがいたしますか?」

「あ……えっと、大丈夫です。ありがとうございます」


 サラの返事を聞き、女性は森の中に消えていった。少し沈黙が続いた後、わたしはロゼに頭を下げる。


「ロゼさん、サラさんもごめんなさい。大事にしてしまって……」

「……リリアさんが頭を下げる必要はありません事よ」


 ロゼはそう言い、森の中に戻るため歩く。


「サラさん、改めてご迷惑をおかけしましたわ。あのお二人とはまた話をして、後で謝罪に参ります。それでは」


 そう言い、ロゼも姿を消した。

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