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魔女は「答え」を希う  作者: でしりっとる
Ⅰ章
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わたしがまほうをまなんでいいんですか?<Ⅰ>

 魔法が発展した世界【シエルアル】。普通の人類──【真人類(オリジン)】と亜人類七種の合計八種族がこの世界で生活をしている。しかし人類が魔法・生活共に一番発展した結果、他の七種族と対立する関係となった。


 そんな亜人類の一種、【森人類(エルフ)】の魔法使い【エンリ】。どこへ行くにもフードをかぶり、面妖な獣の姿をあしらったお面を被った姿をし、腰には剣を有している。


 彼は人類と敵対している関係ながらも、様々な地に赴き人類に対して魔法の指南などを行なっていた。彼のことを「森人類」と知っていてもなお慕っているものが多い。


 そんなある日のこと、彼が呼ばれて訪れたハツシ村の大きな建物の隅で、子供達が騒がしく庭を走り回ってる中、一人地面とにらめっこしている少女の姿が目に留まった。


 見た目は5、6歳にいくかいかないかと言ったところだろう。セミロングの黒髪に、銀色のメッシュが後ろ髪の方に入っている。遠目であり、少女も下を向いていたのでわかりづらかったが、右目が茶色、左目が黄色のオッドアイに見えた。


 なるほど、そういうことかと理解した。村長と今回の訪問について話し終わった後に、先ほど見た少女について聞いてみた。


「そういえば、ここに来る前にオッドアイの少女を見かけましたが、あの子は一体……」

「ああ、あの子の事か。あの子はちょっと事情がありまして……」


と、村長は少女について話し始めた。


 少女の名前は【リリア・F・ルーベルト】。リリアの親は両親とも既に他界しており、父親の方がこの村の出身だったとのこと。あの建物はどうやら養護施設のようだ。


 父親は一度この村を出てから母親と出会い、結婚し子供が生まれたのちにこの村に戻ってきたらしい。そして、母親の血筋の方に、【森人類(エルフ)】の血が混じっていたそうだ。リリアからすれば祖父母にあたるらしいが、それでも彼女に色濃く反映してしまったらしい。その影響の一部として、「髪の毛の銀メッシュ」「黄色の左目」が体に現れてしまったようだ。


 見た目の特異さ、そして【森人類(エルフ)】の混血による得体の知れなさが少女から他の子を遠ざけているのだろう。そして、幼いながらもリリアは自分の状況を理解しているーーいや、理解せざるを得ないのだろう。


「子供に罪が無いのはわかってるんだけど、どうしてもそういう考えが根付いてるからね……」


 なるほど、今回私を呼んだのはそのことについても相談したかったのだろう。というより、どうにかできないものかということか。端的に言えば、あの子を引き取って欲しいとのことだろうか。


「言いたいことはわかりますが、私は彼女の意思を尊重したい。魔法の指導の前に、彼女と話をする時間をもらえますか?」


と伝えると、村長は頷いた。


 村長は養護施設の管理者らしき人に話をし、その人から少女に話をしている。そして少女はこくりと頷くと、一人でこちらに歩いてきた。


「わたしになにか……?」


と何にも期待していないような目でこちらを見ている。


「私はエンリという者だ。普段は色々な街や村に行って魔法について教えてる先生だよ」

「まほうの……せんせい?」

「そうだよ。君は、魔法に興味はないかい?」

「べつに……それよりも、わたしはここからでていくことになってもだいじょうぶだから……」

「聞こえていたのかい?」

「ううん……でも、みんながわたしのことをいやがってるのはわかるよ……」


……どうやら、この子は周りの空気を察しやすい子なのかもしれない。そんな息苦しい生活を送ってきたのかと思うと、憤りを感じる。しかし、村人たちが悪いわけではない。【森人類(エルフ)】を──いや、【真人類(オリジン)】以外を恐れ、敵対するような思考になってしまっているこの世界そのものがいけないのだろう。


 そして、そんな()()()()()()()()()()()()()()()()()のに……と考えると、私の力が及んでいないことを嘆くばかりである。


「……リリアちゃん。もし君が良かったら、私と一緒に旅をしてみないかい?」

「……?わたしはだいじょうぶだよ……だか──」

「それは君のじゃなくて、周りの意見だよね……?もちろん、ここにいても気まずかったりするかも知れないけど、君の気持ちが聞きたいな」


 少女相手に前のめりになってしまったが、伝えずにはいられなかった。リリアはびくっと体を強張らせた。目を上下に動かして戸惑っているようだ。


「ごめんよ、怖がらせちゃったね。お詫びと言ってはなんだけど、今からやる指南……授業の後に、良いものを見せてあげるよ。返事はまた明日聞いても良いかな……?」


 リリアはまだ驚いているようだったが、こくりと頷いた。

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