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俺の考えた魔法理論が異世界で使われていた件  作者: キューマン・エノビクト
第1章: 新しい生活、始まる
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73. 立つ鳥跡を濁さず

「うおおおっ!?」


 悲鳴とともに眠りについた俺は、悲鳴とともに起床した。

 といっても悲鳴を上げたのは俺ではない。イルク先輩だ。

 眠気を抑えつけ、腹筋を使って身体を起こす。


「おはようございます、イルク先輩」

「おいヒロキ、これは何だ!?!?」


 朝から声を張り上げるイルク先輩とその横でぼーっとしているマーリィ先輩に、俺は経緯を説明する。


「…なるほどな。怪我はなかったか?」

「無事です。多少返り血がついてますが」

「それは何よりだ。しかし、鹿に気をつけたら狼が出てくるとはな…」

「ギルドで、このあたりは安全だって聞いた。ギルドがまだ把握してない魔物?」

「どうなんですかね…」

「多分そうだと思う」


 後ろから声がかかった。

 少々寝癖をつけたリーサが立っていた。


「おはよう、リーサ」

「おはよう、ヒロキ。それにイルク先輩、マーリィ先輩も…あれ、エルジュとシルヴィは?」

「そこで寝てる」


 俺が指差した方には、地面に崩れ落ちているエルジュとシルヴィ。

 夜遅くまでのパソコン作業をやりまくって慣れていた俺や数多くの依頼をこなして慣れたリーサと違い、二人とも深夜番をやれる体質ではなかったらしい。

 まぁ、その方が健康であることは間違いない。


「鈍ってるわたしが言うのもなんだけど…ギルドに要注意として登録されるくらいの強さだったと思う」

「帰ったらエーシェンさんあたりに確認してみよう」


 言いつつ、俺は地面に倒れ込んでいる2人に寄っていく。


「お前らー、起きろー」


 声をかけつつ揺さぶってやると、ようやく息を吹き返した。


「あんま地面で寝るのはおすすめしないぞ」

「あー…うわ…」


 エルジュが寝ぼけながらも自分の状態を把握して声を上げた。

 右半身に泥がついている。


「これは…やってしまいましたわ…」


 シルヴィが絶望的な表情をしている。

 エルジュとは対照的に、左半身が汚れていた。


「…夜中まで起きるのは苦手ですのよ」

「寝落ちる前に交代呼んでくれればいいのに」

「だってお前ら、このデカい狼と戦ったんだろ?それで叩き起こすのはさすがに悪くてな…」

「気遣いはありがたいけど、一応見張り役だから寝られると困るんだよねー」

「「ごめんなさい…」」


 2人は揃って頭を垂れた。


「服はとりあえず適当にはたくとして…2人ともそこの池で水浴びしてきたら?」

「2人で!?」


 エルジュが声を張り上げた。


「エルジュ…その発想はちょっと俺庇えないぞ」

「そもそもヒロキそんなこと言ってないよね」

「エルジュ君、魔科研は恋愛禁止ではないが…」

「一方的に手を出すのは良くないと思う」


 この瞬間、エルジュの味方は哀れにも世界からいなくなった。


「と、とりあえず女子勢3人で水浴びしてきなよ、俺ら片付け進めとくから。あとコイツが覗きそうになったらぶっ飛ばすから」

「信用ねぇなチクショウ!!」


 諦めてくれ、と思いつつ俺たちは片付けの準備に入る。

 リーサとマーリィ先輩が真っ赤になったシルヴィを連れて行った。

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