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俺の考えた魔法理論が異世界で使われていた件  作者: キューマン・エノビクト
第1章: 新しい生活、始まる
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18. 冒険者稼業

第1章「新しい生活、始まる」および

第1章-1「冒険者イントロダクション編」の始まりです。

「おはよう」

「おう。昨日は…いろいろと悪かったな」


 デカい図体をした男――ガルゼ・タングレーが、きまりが悪そうに笑う。


「それにしても驚いたな、まさか兄ちゃんがここに泊まってるなんてよ」

「驚いたのはこっちだよ」

「いやぁ、オレたちは元々ここに泊まってたんだ。金に困ってここの娘のリーサと犯罪計画を立ち上げたが…やっぱ慣れないことはするもんじゃねえな」

「おはようございます」


 男二人の会話に、可憐な声が割り込む。


「おはよう、リーサ」

「あっ、ヒロキ…さん」


 リーサは赤くなって顔をそらしてしまった。

 …まぁ、昨日いろいろと見てしまったからなぁ…俺も少し気まずい。


「なぁ、やっぱお前ら何かあったんじゃねえのか…?」

「期待されるようなことは何もしてないぞ」


 ガルゼが若干残念そうな顔をした。



 3人で朝食を摂ったあと、リーサは学校へと出かけていった。


「今日は元気そうだな、あいつ」

「普段は元気じゃないのか?」

「まぁ、ちょっとな」


 ガルゼは体を屈めて俺の耳元に口を寄せた。


「なんでも、クラスに赤魔法が使える魔族サマがいるらしくてな。そいつが周りを見下しまくってるらしい」

「…うわー…」

「そうでなくとも赤魔法を使えるだけで誇りまくる奴はいるからな。気に食わん」


 なんだか自分が赤魔法使いの魔族であることを言い出しづらくなってしまった。


「さて、ギルド行くか。冒険者登録すんだろ?」

「はい。俺だけだとちょっといろいろとわからなくて…」

「いいよいいよ、気にすんな。昨日のお詫びも兼ねてんだ」


 ガルゼは快活な笑いを見せた。


「今日は他の…昨日いた人たちは来ないんですか?」

「ああ、あいつらは朝から出ていってるよ。金がないからな」

「…付き合わせちゃってすみません」

「いいっていいって。気にすんな」


 こんな人が良さそうなのに、誘拐を企てるほど追い詰められていたのかと考えると、少し心が痛んだ。

 安定して稼げるようになったら何か奢ろう…。


「ほれ、着いたぞ」

「え、市役所の隣にあったんですか」

「隣っつーか裏だな」


 俺たちはギルドの建物に足を踏み入れた。



「新規冒険者登録ですね?身分証と、登録料3000ガットをお出しください」


 俺は言われたとおり職員にそれを手渡した。

 職員が作業のため奥に引っ込んでいったのを見て、俺はため息をついた。


「結構取られるんだな…」

「安心しろ、3000くらいだったらズブの素人でも一ヶ月くらいあればで元が取れるから」


 しかし、3000ガットは日本円にして9000円程度である。

 ズブの素人は1日300円程度しか稼げないと考えると、なかなか厳しいものがある。


「まぁ、そんな難しい顔すんなって。ほら、受け取って依頼見に行くぞ」


 ずんずんと歩き出したガルゼを俺は小走りで追いかけた。

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