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俺の考えた魔法理論が異世界で使われていた件  作者: キューマン・エノビクト
第1章: 新しい生活、始まる
124/140

124. 一休み

 週末。

 運動続きの日々から開放された運動不足組の面々の表情は、とても晴れやかだった。


「休みだ…!」


 朝食の席で、思わず言葉を漏らしたエルジュに、俺は苦笑を返す。


「まあそれでも遠出はあるけどな」

「訓練がないだけよっぽどマシだよ」


 俺としては今日の遠出はそこそこ疲れそうな雰囲気を感じるのだが、それでもエルジュにとってはまだこちらのほうがいいらしい。

 よく見たら、イルク先輩も頷いている。


「お前らー、早く食べろよ。遅れたら置いてくぞ」


 一足先に準備を終えたアルナシュ先生が俺たちを急かす。

 さて、その遠出というのが何かといえば、観光である。

 何を隠そう、ここオーチェルンは観光で成り立つ都市である。

 せっかくの機会を逃すのは勿体ないと、騎士団側で気を遣ってくれた者がいるらしい。

 そういうわけで、俺たちは街中心部のツアーに誘われていたわけである。

 飲み食いを始めとした諸費用は全額とまではいかずとも出してもらえるので、乗らないという手はなかった。



 魔科研エルヴォクロット製の馬車は相変わらず、揺れを吸収し涼しい風を提供してくれる。

 引く馬がホゥミィちゃんではなくとも、である。


「いやー、涼しいねぇ…大発明だよこりゃ」

「本当ですわ。みなさん喜んでいらっしゃいましたし」


 エアコン魔法陣については、護衛・案内を担う騎士団の馬車にも、ガルゼ一行の馬車にも取り付けてある。

 話をしたところ強くお願いをされたので、訓練が終わった夜に筋肉痛で動けないイルク先輩に代わって俺が魔法陣をせっせと彫っていたのだ。


「ヒロキ!こいつはすげぇな!」


 早速エアコン魔法陣を堪能しているガルゼ一行から声が飛んでくる。

 彼らはおしくらまんじゅうの如く魔法陣の彫られたプレートの前に陣取っていて、むしろ暑そうだ。

 騎士団のほうは国の軍ということもあってしっかりと落ち着いているが、それでもどこかリラックスして見える。

 いつかリーサが言っていた『魔法でこの世界を変えたい』という願いは、こういった地道なことからゆっくりと叶えられていくのだろう。


「魔法陣を作るというのがこれで広まるといいねぇ」

「先輩もそう思いますか」


 イルク先輩はゆったりと頷く。

 マーリィ先輩も横で同じように頷いている。


「しかし、工学技術が発達したらさらに面白いものが作れそうだな?たとえば、魔法陣を適宜組み替えていろいろな魔法を発動できる道具があったら面白いだろう」

「機械が勝手に魔法を発動させられるようになったらすごい」

「いいですね。先輩方、先見の明がありますよ」


 さすが、できないと言われていた魔法陣の改造に挑んで成功させた人たちだ。

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