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俺の考えた魔法理論が異世界で使われていた件  作者: キューマン・エノビクト
第1章: 新しい生活、始まる
122/140

122. 訓練開始

 早朝――多分朝6時か7時くらいに、俺たちは起こされた。

 普段から早寝早起きの生活を送っている俺は問題なかったが、イルク先輩とエルジュは眠そうにしている。


「冒険者というのはいつもこんなに早起きなのかい…」


 まだ眠気の残るイルク先輩は、呆れたようにパンを囓った。


「まあ、だいたいこんな感じですよ。続けていれば慣れます」


 言いながらエルジュの方を見る。

 パンを持つ手が止まっている。瞼が半分くらい下がりかけて、眠そうなオーラを全身から醸し出している。

 コーヒーでもありゃ良かったかもしれないが、生憎ここは異世界だ。

 そう簡単に手に入る代物ではない。


「ほら、早くしないと遅れますよ」


 俺は二人を急かしながら、部屋の反対側にあるテーブルを見やる。

 そこにいる女子三人組も、似たような光景を繰り広げている。

 こっちと違うのは、リーサとシルヴィがピンピンしていて、マーリィ先輩だけが船を漕いでいるというところだが。

 そう、貴族とはいえシルヴィも優秀な冒険者なのだ。


 ちなみにガルゼ一行は、パンに卵にソーセージ(っぽい肉詰め)にポタージュスープという如何にも朝食らしいメニューを、次から次へとガツガツ平らげるという朝食らしからぬ食べ方をしていた。

 誘拐計画を企てるほどの貧困状態になければ、普段彼らは普通にかなりの量を食う。

 冒険者業をやっていると昼食が軽くなりがちというのもあるから、エネルギーの補給は大切なのだ。

 …まぁ、自分でお金を払わなくて良いとあって、多少食い過ぎな気もするが。

 今日は近場での訓練だから、明らかにオーバーカロリーであった。



 訓練は、基礎的な体力づくりに始まる。

 近くにある人工的な森の中に整備された道を、先導する騎士団の人に軽く走りながらついていく。

 要はジョギングだ。

 全体が管理されているから、猛獣や魔獣の類も出ないし、道に迷ってもあちこちに目印がある。

 そういうわけで、夏にしては木陰のおかげで涼しいその道を走っているのだが…


「はぁっ、はぁっ…」


 ちらりと後ろを振り返ると、案の定イルク先輩とエルジュ、そしてマーリィ先輩がバテていた。


「すいません、一回止まっていいですか」

「はい、無理しないでくださいね」


 騎士団というか、軍の訓練とは思えないほどの優しい言葉に感謝しながら、俺たちは立ち止まった。


「まだ5分しか走ってませんよ」

「5分も、だろ、それを言うなら…」


 肩で息をしながらエルジュは文句を言う。

 しかし、普段から冒険者をやっている側の俺たちは、これくらいでは疲れたりしない。

 冒険者歴が短い俺でさえ、まだ体が温まってきたというレベルだ。


「…もう少し、基礎的な訓練が必要でしょうか…」


 騎士団の人が、そうボソッと呟くのが聞こえた。

今月もお付き合いいただきありがとうございました。

また次の投稿をお待ち下さい。

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