砂時計
砂はとても静かに流れる。
音を立てないように、上から下へとゆっくり流れる。
命は時間である。
時間は命である。
その命を何に費やすかは、
あなた次第であり、
あなたの自由である。
あなたはこの文章を読んでいる。
そして、その為に時間を使っている。
つまり、あなたの命を頂いている事になるのだ。
大袈裟な話だと思うかもしれない。
あなたはただの暇つぶしかもしれない。
なんか気取った事を言う奴だと思うかもしれない。
だが、命を削っているのだ。
勿論、そんなに神経質にならなくても良い。
常にそんな事を考えていたら、
息苦しくて、堪らない。
だけど、あなたが命を注ぐ物に対して、
真剣に考える時も必要なのだ。
いくら御託を並べても、
みんな最後には死んでしまうし、人生なんて結局、ただの暇潰しだと思うかもしれない。
なすがままでもいいと思うかもしれない。
しかし、
ただ流れに身を任せていると、
些細な日常の中でふと気がつき、
残されている時間に焦り出す事もある。
君の命を何に注ぐかは、君の自由である。
注ぎたいものがないと思うかもしれない。
だが、世の中の細部に目をやれば、見えてくるものは数え切れないほどある。
それに気づかないまま通り過ぎるのは勿体ないかもしれない。
豊かさはすぐそばにあるのだ。
しかし、探さない自由もあるし、
注がない自由もあるのだ。
砂時計の砂が落ちる時、
大きな音を立てやしない。
ゆっくりと静かに、
そして、確実に、
上から下へと砂が流れ、
最後は何も流れなくなる。
途中でひっくり返す事はできない。
だが、少しの砂を継ぎ足す事はできるかもしれない。
そして、砂がなくなった時に、
本当の君が姿を現すのだ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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