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短夜

作者: 紫尾

 其の夜に幾多の人生が在った

 人も虫も寝静まったしんとした闇の静寂の中

 其処に一冊の詩集が在ったなら

 其処に一冊の小説が在ったなら

 其処に一冊の画集が在ったなら

 其処から幾多の人生を生きられる


 詩人の歌う其の詩の無限に続く螺旋階段の様な言葉の羅列の中に詩人の人生が在る

 小説家の書き出す其の物語の空を彷徨う鳥の様な自由な空想の中に小説家が焦がれた人生が在る

 画家の描き出す其の絵の果てなく繰り返される四季の様な色彩と其の瞳を通して生み出された幻想の世界に画家の愛した人生が在る


 空のキャンバスの絵具が藤色に塗り替えられる時

 私は幾多の人生を生きた

 

 詩人も小説家も画家も全て私の中に生まれ変わる

 其の全ての人生が私の心に灯る

 私の道の先がトンネルの生み出す漆黒の闇の口だとしてもその灯りが先を照らし出す


 生命溢れる溶けゆく蝋燭の様に短い夏の夜に

 私は幾多の人生を生きた


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