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勇者希望(電波とその友人)



遠い目をしているオレを前に、ソイツは笑う。

「紹介します。クロックライダーのお友達、ヘブンライダーくんです」

ぽっかーんと口を半開きにするパーティー諸君。何お前。アメリカ言って資格取って有名企業に就職したお前の最終形態って、クロックライダー?無料オンラインゲームをハックした挙げ句、プログラム弄って乗っ取るならまだしもゲーム内に無いコスチュームを造って参加。コスチューム革命起こしたかっただけかよ!無理だよ!お前のセンスオカシイから。クロックライダーって、お洒落気取ってアナログじゃ無いだけマシの数字が乱舞した黒タイツと黒ヘルのそれか?

悪役なのか主役なのか寧ろイベントなのか訳分からねぇよ。ユーザーには。

休日、家からお前に拉致られた普通のサラリーな俺にも、訳が分からない。


「あの、」

目の前のゲーム内に有りがちなキャラクター容姿(銀髪ショート剣士)が恐る恐るという感じで声をかけてくる。

「ヘブンライダーさんってもしかして、オレらの横でクロックライダーさんを半眼で見ているこの村人さんの事ですか?」

間違い無い。

奴がオレでは無く脳内のお友達と話している訳で無いのなら。


奴は、はははと笑って返す。

「その通りです。‘松くん(※登録名)’くん(※敬称)。ヘブン、私が渡した正装はどうしました?わざわざ基本装備にしてあげたのですが」

「いや‘天使の羽’とかマジで動き難いし、白いから服汚れるし交換したよ村人になりきって3年のオンラインゲーム管理アルバイトと」

うっそあのキャラユーザーだったの!と叫んだ魔術師風美少女。そういや最近ネカマに言い寄られてると言っていたが、この子だったらどうしよう。


「えじゃあ白ヘルどうしたんです」

「あの格好で歩くのハズいというその村人さんに譲った」

ところでお前本気で何したいの?平均レベル50越えのパーティーの前に現れ、戦闘で勝った瞬間通り魔のごとく彼等の服をクロックライダー風味にアレンジして行く、最早魔王。オレ?お前が居ないからオンラインからの出方分かんなくてぶっちゃけお前待ちだった。

ダンジョンの入り口でお前待ちしてたら、「クロックライダーっていう通り魔を捜しているんだが?」と制限人数ギリギリまで増やして訪ねて来たパーティー。平均レベル352。

案内したオレ、着いた先お前。

ていうか、これって明らかに退治に来たんだよな。クロックライダーを。そしてオレって完全にモブだよな。いや違うか。なんか、ヘヴンライダーらしいし。

「で、お前何したいの?」

「勇者になりたい。」

「なんの?」

心底疑問に思ったので聞いてみる。明日には、きっと訴えられる。オレも恐らく巻き添えだろう。…オレの日常が危うい。オレの明日が危うい。オレの顔って加工されてる?ちゃんとファンタジーイケメンになってる?後で聞こうか。

今は、コイツがなんの勇者になりたいかが問題である。

勇者って勇気入る行動やっちゃった人にも付けれる称号だろう?

「新しいスタイルで魔王を退治したい」



みんなの心は一つだったと思う。自分を倒せ!



追伸:奴の行動に深い意味はなかったと此処に追記する。愉快犯、なお質悪い奴である。ちなみに指名手配されたのは白ヘルを取ったらまんま自顔だったオレくらいである。良かった!奴の家が東京で!良かった!オレの家が新潟で!良くない!オレは休みの次の日会社を遅刻した。



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