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田道の奇特な人生(特殊)

巻き込まれくんによる不可思議BL

 田道は、不幸なというより、奇特な人生を歩む男だった。


 まずは、その出生から、希少である。彼の母親は、元K-1選手だった。しかし、言及すべきは、その性別であろう。田道の生みの親は、マイナーながらも存在している女選手ではなく、男選手。Manである。しかし、おかしいだろとは突っ込めなかった。なぜなら、6歳まで、父親管理の無人島に暮らしていて、女がなんたるかを知らなかったのである。

 人類に、異性というものが存在すると知ったのは、小学校の入学式だった。いまだに女性とすれ違うときには、びくつく田道である。




 だから、だろうか。

 気付けば、田道は、男子校に、入学していた。




 「親しい友人は?」と、親に聞かれて浮かぶ姿が3つある。田道は、それを浮かべる度に絶望した。

 1人は小学からの付き合いの筋金馬鹿で、1人は病的なまでの男嫌い、さらにもう1人は自称月から来た中二病である。

 こんなのに囲まれて、平和に過ごせる訳がない。勿論である。実際、入学して半年で問題が次々に起こった。

 馬鹿が男に恋をして、男嫌いが不登校になり、中二病が失踪したのである。



 まず、馬鹿。これは、両想いと察するや否や放置を決定した。世間の世知辛さは、当人らでなんとか乗り越えてね。はい、終了。

 次は、男嫌いである。馬鹿だろ。なんで男子校に入学したんだ、彼の部屋の前で、彼の両親に見守られながら普通にツッコミ入れてプリントをドアの隙間に捻り込んだ。プリントには、田道による、男嫌いの良いところ解説がびっしり書かれていた。褒めれば伸びると信じていた訳ではないが、どうしたらいいか分からなくなったのである。

 次の日、男嫌いは登校した。

 交換日記を渡された。

 何を書いて良いのか分からなくなって、やはり、男嫌いを褒めに褒めてやっている田道である。



 次に中二病。とりあえず、捜索願いが出された場所も実家も地球だ。よって、父親にお願いして私立探偵を雇った。

 月から来た男は、戦士になっていた。

 まさかの、戦隊モノ俳優である。そっと事務所にファンレターならぬ、プリントレターを送った。分厚いと警戒されそうなので、数回に渡り1ヶ月分のお知らせ&保健便りを送った。

 中二病の両親にも報告し、ファンレターならぬビデオレターも送ってやったのである。

 だが中二病は、高校を中退した。

 何故か田道を暗殺しに実家に忍び込んだが、母に半殺しにされた。いつの間にか、母の弟子になってるわ、永久就職(使用人的意味で)してるわで、田道は、頭を抱えた。




 大学になった頃である。男嫌いが、交換日記で不思議な夢の話をするようになった。

 曰わく、別世界の夢をみるらしい。そこは、王政で、ファンタジーなSM的世界ならしい。

 ツッコミたいが、其方方面に明るくなりたくはないのでスルーした。

 卒業式。男嫌いは、交換日記で、要約すると「永遠にさようなら」になる文を書いて寄越した。


 とうとう大学にいっても男ばかりの学科、就職先も男ばっかりという何かを間違えている自分に気付くことなく世を儚んだかと焦って、男嫌いの家に駆け込んだ田道がみたのは。




 ゴシックな牢獄と鞭の音。

 帰りたくなって、ドアを閉めようとしたが、ドア自体が消えた。

 そこで、出逢うS女S男M女M男と、当たり障りなく付き合いながら生活して5年目。

 調教も教育もされてない捨て子を拾い、何故か希少なノーマルの女と結婚していた男嫌いと再会して、一緒に過ごすこと17年。




「僕の子供を育ててくれて感謝する。君を第2婦人に、強制…強要したい」

 SM世界の末王子にプロポーズされた田道は、とりあえず後ろで遠い目をしている家族らと逃げることにした。

 ああもう自分を辞めたいとは、彼の後年の口癖である。


過去サイト拍手でした。

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