表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/43

ロマンチックストーリー(ロボット(ガチ)×人間×ロボット)

「イヤマジ好きなんだよ結婚して」

と言われた。

誰に。

いや寧ろ、何にって聞いてよ。


…スターうぉーずに出てくるような円柱形ロボットに。そう言われたんだわ。


「…………俺、ロボットって範疇外なんだわ」

カラリと、ウォッカの中の氷を回して、濡れたグラスを掲げてみせる。いやあ、あの時は頭真っ白だったのよ。

だから、キッパリ断る所までいかなかった訳だ。

「ふ、じゃあ今からロボの魅力教えてやるよ」

人間ならば、ふっと笑って髪でも撫でつけたのかも知れない。あいにく、ロボット君は金属製であり、毛根は死滅する前に存在しない。磨き抜かれた白銀のフォルムが感動的だ。

「ロボットの魅力は十分分かるよ。俺も男だからね」

ああ懐かしき学生時代。

カスタマイズ、分解構築。

巨大ロボットは今でも男の子の尊敬を一身に集めていらっしゃる。

「…そりゃ聞き捨てならねぇ台詞だな」

どこが?

「妬けるね」

冷やした方が良いんじゃね?

アルコールでめでたくなった頭で、オーバーヒートの対策を考えた。

「…外に出ないかい?」


誘いに乗ったのは、腰半分も無い銀色の背丈が小学生を思い起こしたからだ。うん、きっと身長の大きさで年を考えちまうってーのあるよな。


ウィィイイインと、もう滅多に聞く事もなくなったローラーの音に驚く。なるほど、半世紀も前の型では‘誤作動’も起こる。


やがてたどり着いたのは、ロボット達の公共墓地だった。


「『心臓』の話を聞いた事有るか?ダーリン」

「お前米国産?まあ聞いた事はあるわな。アレだろ。半世紀前のロボットは良くメモリーがぶっ壊れてたから、全部飛ばないようにどこかに第二のメモリーを置く事にしたっつう」

「ロマンの無い説明だな。まあだいたい正解だ。大戦争時代は主にロボット達の第二メモリーの場所を突き止める事が戦局を左右したほどだ。それ故第二メモリーは予備という存在ながら我々の『心臓』と呼ばれた」

ほー。適当に相槌を打つ、俺の背は段々寒さにやられて猫背になっていく。

「さて、ダーリン」

お前に私の心臓をやろう。

(プロポーズだ)



公共墓地の一つのパネルに、U字型の指が複雑に振動した。


圧巻。

圧倒。

『総ての墓』から光を内側に反射させたメモリーが出てくる。これが総てメモリーだと!?

なんという容量!



ぽかんと口を半開きにした、俺が心動かしたのは言うまでもねえ。








「ケーイージくーん」

友人が彼を訪ねたのは、気まぐれだった。赴くまま気の向くままに世界中を飛び回り、生まれ育った街の雑多な空気を吸い込んだのは昨日のことだ。

薄いドアが上にスライド、玄関に入るやオレンジの香ばしい匂いが鼻をくすぐった。彼が料理など出来ないのは公然である。

「啓治!てめっ、彼女が出来たら俺に連絡しろってあれほど…」

リビングに足を踏み入れるや白銀が目に飛び込んできた。

タウンタイムズ紙を広げて寛ぐ、精悍な顔立ちの男はチラリとも顔を上げずに言った。

「紹介する俺の嫁」

「夫だ」

フレンチトーストを運んで来たロボットが訂正した。


090324 


結構昔のですが、なんだかんだでいつも微妙な人気がある話

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ