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似た者同士(王道学園チャラ会計×女好きお調子者他校生)

「あれ、兄さんどこに行くの?」


 純粋な弟の声にぎくりと肩を跳ね上げる。


「いや、ちょっとそこまで」


 少々ぎこちなかったが、弟は納得したようだ。そっかいってらっしゃい。その声に、ほっと息をついてつま先をとんと床に叩くと玄関を出た。



「あれ?あの制服…兄さんの高校のじゃないよね」


 弟が首を傾げて振り向いた先に、兄はもういない。




「やあ、不審者。待ってたよ」

「なな何のことですか」

「いやあそのうろうろ泳ぎまくってる目とか、噛んでる台詞とか言いたいことは色々あるんだけどね?困るんだよね。関係者じゃない子が堂々学園内をうろちょろするの」

「……あの2組の里桜りおさん、彼氏と別れて今攻め時ですよ」

「え?マジで!うっそ」

「ということで」

「なんて引っかかるか!お前オレのこと馬鹿にしてるだろ」

「いえそんな!俺は会計さんが絶倫の夜3人まとめて伝説とか!そんな!そんな」

「……君、噂に踊らされるタイプだよね。確かにオレ告白断ったことないけど、男とはまだ致したことないんだよね!」

 眩しいほど良い笑顔だが、こめかみが引きつっている。般若が召喚されそうな勢いのオーラだ。

「いやあ、助かるよー君ちっこくも綺麗でもないけどごつくもないから、ギリギリ萎えないと思うんだよねー。男相手のセーフティーを身体で教えてくれる人がたまたまいてよかったよー」

「……!すみません!ごめんなさい!だって学園にいるアイドルの写真撮ったら付き合ってくれるって真美ちゃんが!」

「君ほんと…まあいいや。多分君と俺似たもの同士だし性格はぴったりだよー。まあ、浮気は相互理解だよねー」


 ずるずるずるずるとどこまでも引きずられていく一般生徒と、凄い良い笑顔だが覇気が凄まじい会計の話は、瞬時に学園中に広まった。



「いやあ、ありがとうね。ゆうくん、助かるわー」

「いや、俺的には良いんだけどな?」


 複雑な顔をする情報屋。それに何か引っかかって、何?と聞くと、笑って誤魔化された。


 まあいっか。


 軽いファイルの中身は、すんごい甘い雰囲気のカップルを隠し撮りした写真と素行調査。カップルのうち片方は、自分のセフレという言い訳の恋人だ。


「ん。俺さぁ、自分が浮気されんの初めてだわ」


 じゃあね、と手を振り寮に戻っていく背中は第一印象がチャラい。言動も軽い。



「面倒だよな。まじで」


 げっそりとした情報屋の手には、もう一つファイルがあった。今去っていた男の部屋から、可愛いタイプの少年が出て行く所をバッチリ取った写真とここ数日の外泊届け。これ、情報屋の仕事じゃなくね?興信所の仕事じゃね?疑問はつきない。




「あれ、ゆうちゃん」

「あ、副会長」

「なんか疲れてる?」

「あー、軽い男と女好きの男のコンボ友人技ってツラいよね」

「友達止めれば?」

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