語られるお話(NL)
騙してやろうと近付いた訳ではないが、此方の文化にしたら騙したと捉えられても不思議はない。なにせ自分には、齢12に后を娶り、彼女を迎えれば15人目となる。
目を白黒させて、私はじゃあご飯を作らなくて良いのね?と聞いて来た彼女は、少々ずれている。
君は、それに子供を作ってはいけないと言わなくてはならない。既に3人の王子が、后たちの諍いのもととなっていた。
「私以降は、迎えちゃだめよ」
だが、やはり彼女もまた女で嫉妬を孕んでいる。頷ける立場ではなかった。ハーレムの中には、政治を連れてきているものもいる。彼女だけが、ただ裕福に過ごす家から上がった一般人であった。
「私が一番下であるべきで、その下をつくるとあなたきっと困るわ」
「君は、たまにしたたかに不器用だね」
「そうよ。だって、私頑張っても下の子をいびれそうにないもの」
彼女が、ハーレムで1人だけ、伝染病にかからなかったとき。ああこれは、何がしかの意思かと思わず見た神殿の上。白い鳩が1匹死んでいるのをみた。
そして、死んだ后のかわりに3人の王子を育てた彼女は、将来、親愛なるマザーと全ての民から呼ばれるようになった。
2012-10-31




