神様の嫁取り(美人系の現人神様×巨大ツチノコ型の土地神様)
用語や設定は雰囲気です
唐突ですが、神様に惚れました。どうすればいいですか。
そんな娘が、社の前で18禁の妄想甚だしく祈るので何某之坐社の神様は、大変困りました。しかも娘が惚れているのは、隣の宮の現人神でございまして、もうぶっちゃけると宗派違いです。何某の神様はとてもマイナーな神様でして、大きくは古神道に通じるやもしれませんが本人すら自分がどこに属するのか分からぬ有様でございました。名前すら忘れてしまっている現状。
ですから、隣宮の現人神様のイケメンぶりをうったえられ祝言上げたいきゃああと大混乱欲望忠実な願い事を祈られても困るのです。
しかも、なぜだかたまたまこちらに詣でた男女がめでたくも結納をそれは幸せに上げたので、縁結びの神様として広がりつつある昨今。この煩悩まみれの娘は、実は3人目でございました。
御年云千年の何某の神様は、孫娘がおじいちゃんにアイドルとの妄想エロを語られる気分で接すること1か月。耐え切れずに、引っ越すことにしました。
のそりと数百年ぶりに身体を動かします。
どうも動きづらいと思っていれば、ぼうぼう生えた苔が全身を覆っており、まるで巨大な芋虫が地を這っているようです。
のそり、のそっり、のそり。
一昼夜かけて、本人にとっては迅速に、他人から見ればあれあのしめ縄のついた岩動いた?としか感じられない動きで、何某の神様は移動します。
さて、日が真上にのぼり疲れたなあと感じた神様は、石段手前で休憩を挟むことにしました。振り返ると、自分がいた場所より数センチ移動しているのが分かります。自分頑張ったなあなんてのんきに考えていた時です。また唐突に頭の中で声がしました。
唐突ですが、私、もててもてて困っています。どうすればよいですか。
よくみると派手な色の着物を着た旅人が、神様を拝んでいます。笠で顔は見れませんがその美しい仕草と高貴な出で立ちが良いところの娘であることを示しております。
何某の神様は、徹夜明けの頭で考えました。
「イチバンサイショニアッタオノコトムスバレナサイ」
何せ、徹夜明けでございますので、自分が今まで人に向かって助言するときは何かしらの神通力でやることを忘れて、そのまま助言してしまいました。娘は、すっくと立ち上がると、半分寝ている神様をひっしと抱きしめ、低い声音で申します。
「わかり申した」
娘は、娘ではございませんでした。ぎょっとして固まる神様に、娘改め現人神様は、おっしゃいました。
「私の宮にて早速結納を上げましょう」