第八話:「映画」
更新遅れてすいません。いつも文章が短くてすいません。それでも見てくれる読者様には本当に感謝しています。ありがとうございます!!弓槻さん、姫と三騎士と平民Aの作中使用、楽しみにしてくださったのに遅くなってすいませんでした。平日は忙しくて…。週一回はなんとか最低でも更新しようと思っていますのでこれからもよろしくお願いします!
「じゃあ午前中は映画を見て、昼飯食って、午後から自由にショッピングでいいか〜?」
「まあ、そんなとこだな」
「じゃあ映画館は駅前のスターシアターでいいか〜?」
この町にはあそこしかないからな。
この町は元々は自然豊かな市街地だったが、けっこう昔に日本有数の企業のスターモータースが新工場を設立すると一気に街は栄えて、今では駅前に大型ショッピングモールもできた。
そのショッピングモールの中の施設の一つがスターシアターだ。
「すいません〜。遅くなりました〜」
ショッピングセンターで待ち合わせをしていた綾香ちゃんも登場し、全員揃った。
「映画は何が見たい?」
スターシアターに入って、映画の看板を見てオレはみんなに尋ねた。
「俺は犬と飼い主の愛情を描いたあの映画がいいな〜」
意外と動物好きな勇人らしいな。
「じゃあ、わたしはホラーがいいかなぁ〜」
綾香ちゃんは意外にもホラーが好きなのか。
「私はコメディがいいな」
「え!?」
「なんか…意外だね…」
勇人と綾香ちゃんも驚いている。
そう、わが妹はお笑い好きだ。
家でも美人な外見に似合わず、笑点は欠かさず観ている。
結局、三人の好みがバラバラで折り合いがつかない。
「なぁ〜悠人は何がいいんだ?」
そうだなぁ…オレは…
オレは映画の看板を見た。
「これなんかどうだ?『姫と三騎士と平民A』」
「これはCMで見たことあるな」
「うん、恋愛物ならみんな見れそうだね♪」
すんなり決まってしまった。
「じゃあ、これを見に行くか」
話題の映画であったのでかなり混雑していたが、やっと順番が回ってきて、愛想のいい係員さんにチケットを渡して、オレ達は席に着いた。
左から綾香ちゃん、勇人、オレ、琉奈の順に座った。
○○○
映画はとても面白かった。
でもオレはストーリーは全然覚えていない。
最初のかっこいい少年が綺麗な少女の手を取って逃げている扇情的な描写までしか。
スクリーン上の少女が少年の手を握っているように、俺の右手もスクリーン上の少女に見劣りしないぐらい綺麗な右隣の少女の左手に握られているからだ。
体が熱い。
たぶん、オレの顔は真っ赤だろう。
幸い、綾香ちゃんは映画に集中してこちらには気づいてない。
勇人に限っては爆睡中だ。
琉奈がオレの肩に頭を乗せてきた。
落ち着かない。
普段も家でソファーに一緒に座りながらテレビの映画を見ていたりするが、映画館独特の、
暗闇、近くに人がいるという事になんとなく、はずかしさを感じた。
しかし、琉奈は映画に集中している。
琉奈の心が分からない。
この体勢はまるで仲の良い恋人のような状態だが、あいにく琉奈にとっては家でぬいぐるみに抱きつきながらテレビを見ている感覚ではないのか?
琉奈と出会ったのは一年前だが、あいかわらず琉奈は性格が良く分からない。
無邪気な子供のように笑う時もあれば、口数が少なくてクールな時もある。
どれが本当の琉奈なんだろうか?
「……………ぅと」
「悠人!!」
「うわぁぁ!!」
「映画もう終わったよ?悠人なんか上の空だったけど、大丈夫?」
どうやらずっと考えてたら、いつのまにか映画は終わっていた。
「ああ、ちょっと考え事してただけだよ」
「ふ〜ん、珍しいね…悠人が上の空なんて」
「ははは…」
オレは苦笑いを浮かべた。
○○○
その後、映画を居眠りしていた罰という名目で勇人の奢りの昼飯を食べ、春物の服の値段の高さにため息を交えつつ、今日の日程をすべて終了し、各自家に帰宅した。