第七話:「慌しい休日」
慌ただしい平日はあっという間に過ぎ去り、土日の休日が来た。
しかし、予定はない。
自分の部屋のベッドでゴロゴロするだけだ。
しかし、そんな日常を乱す、携帯電話の着メロが鳴った。
「ふぁ〜ぁ〜。だれだぁ………」
勇人だった。
しかしめんどくさいから出るのをやめた。
留守電サービスに接続されただろう。
十分後、再び携帯電話が鳴った。
今度は電話を切った。
「おやすみぃ〜………zzzzz」
さらに十分後、今度はメールが来た。
『暇だからどこかに遊びに行かね!?(^0^)/』
と、お気楽というかバカ丸出しなメールを送ってきた。
おまえは暇でもオレは暇ではないんだよ。
オレは三大欲求の一つである、睡眠に没頭しているんだ。
「再びおやすみ〜」
さらに十分後、なぜかオレの部屋に琉奈が入ってきた。
扉に背中を向けて寝ているので確証はないが、なんとなく琉奈の匂いがした。
「悠人ぉ〜起きてよ〜」
背中を揺すられる。
あぁぁ〜気持ちいい…。
これで名前ではなくお兄ちゃん、と呼んでくれたらベストだが、琉奈はお兄ちゃん、とオレの事を呼んだことはない。なんでもポリシーらしい。
普段はいつもオレが抱きつかれているからなぁ。
ちょっとふざけてみたくなった。
オレは突然、琉奈の正面を向き、琉奈を抱きしめた。
そして琉奈の耳元で甘くささやく。
「おまえのキスがあればオレは白雪姫みたいにいつでも目を覚ますぜ…」
通称・キザモード。
途端に琉奈の顔が真っ赤になる。
効果はばつぐんだ!
そして真に受けて目を瞑る。
キスしてもいいが今後気まずくなりそうだから、そばにあった昔ゲーセンのUFOキャッチャーでとった黒猫の人形を代役にキスさせておいた。
「起きてるなら言ってよぉ…」
口では怒っているようだが、顔はまだ真っ赤だし内心恥ずかしがっているだろうが、言うとさらに怒られそうなのであえて言わない。
それからオレたちはオレの部屋からリビングに移動して、朝食を食べることにした。
「で、何でオレを起こしたの?」
「俺が琉奈ちゃんに悠人を起こして、って頼んだから」
リビングに入ると、勇人が朝食を食べていた。
「いつからいたんだ?」
「二回目の電話をかけたあたりから」
「…おまえも暇だな………」
「なかなかこのフレンチトーストも甘くてうまいな〜」
なるほど、今彼女はいないのか…。勇人が暇って言葉に過剰に反応したような気がする。
「今日はどこへ行くんだ?」
「そーだなぁ〜とりあえず見たい映画があるからそれ見て、春物の服を見たいかなぁ〜」
「そういや綾香ちゃんは?」
いつも一緒の勇人のストッパー役である綾香ちゃんがいない。
「綾香は用事があって終わってから合流する」
朝から忙しいんだなぁ、綾香ちゃん。
「じゃあ支度するかぁ…」
そう言って外出用の服に着替えて、家を出た。