第二話:「義妹の存在」
「琉奈、今日の学校どうだった?」
オレはなんとか琉奈の抱擁を振り切り、リビングのソファーに座った。
「そうだな〜、やっぱり悠人と同じ学校になったことが嬉しかったなぁ。あと綾香ちゃんと同じクラスになれたし」
綾香ちゃん、とはオレの悪友、勇人の妹である梶本綾香のことだ。
勇人とは違い、優しくておしとやかでいい子だ。
琉奈は俺の前ではこんなにいい子なんだが、学校では途端にクールになり、それが外見と見事にマッチして、男子生徒に大人気らしい。そんな琉奈に他の女子生徒は嫉妬し、中学校時代の琉奈は孤立していたらしい。綾香ちゃんはそんな琉奈の唯一の理解者だ。
オレは琉奈の抱擁を振りほどくために夕食の話題を持ちかけた。
「琉奈、夕食はもう作った?」
「うん、作ったよ〜」
俺達は半日ぶりの再会の抱擁をほどほどにして、夕食を食べることにした。
今日の夕食はビーフシチューだった。
夕食を食べ終わったら二人でソファーに座り、テレビ番組を見た。
しばらくテレビを見ているとオレは眠くなってきた。
今日は久しぶりに学校に行ったから疲れた。
「悠人、眠そうだよ?今日はもう寝たら?」
と、琉奈は心配そうに話しかけてきた。
「悪い、今日はもう寝るわ」
そう言ってオレは自分の部屋のベッドに行き、深い眠りに落ちた。