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異世界ライダー  作者: 燃焼リング
第1章 異世界入門
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第8話 決行

あれから2~3日経った後、いつもと同じようにヤツはニタニタ笑ながら俺に食事を持ってきた


だから開口大一番に目を見て言ってやったよ


「“だしてやる”」


「…」


するとヤツはなにも言わずにニィっと笑った


この男、いつも笑っているので判断が難しいが…

恐らくこれは肯定を意味している


ヤツはそのままなに食わぬ顔で俺に食事を差し出し、俺も素知らぬ顔で食べ始めた


だが最中あるものが気になった


皿の下になにか挟んである…

メモだ


手に取って見たいところだが、この部屋は24時間監視されている

俺は食べるフリをしてメモを見た…

書いてるあるのはほんの二言ほどだ


“決行は二時間後”  “君は待機”


まさに「読んで字の如く」

この言葉をこの世界で使える日がくるとはなんとも奇妙な話だ

病院で携帯を見たときに気付いた“文字化け“

ここでいろんな文字を見せられてやっとわかったことだが、俺にはどの文字も文字化けに見えている… 読める文字すら無かったわけだ

発声した言葉を理解できないように、書いてある文字も全て理解できない

俺が書く文字も向こうには理解できてないようだった

この辺も細かいこと気になるけど、全部まとめてニタニタに聞こう

時間があれば… だが


さてメモの内容によると

二時間後にアクションがあるまでじっとしてろということか

俺は基本なにもできないしこれを意識していつもと違う動きをするのは危険だ、ここは言う通り「待機」しておこう


食事を食べ終わり、チラッとメモを見てからヤツの方を見ると了解と言わんばかりにグッと親指を立ててみた


グッ…!


「…フッ」


鼻で笑われた…

しかしこれで伝わっただろう


二時間後ってことは俺があれこれやられてる間だろうか?それとも実験に連れ出すと見せかけて外へ出るとか?

どちらにせよ、二時間だ… あと二時間でこんなとことはおさらばできる


これまでの実験の数々、そして死を懇願するほどの屈辱…  

人を人とは扱わんこの諸行… 許すまじッ!


俺に不思議パワーがあったらここを更地にしてやるところだ

勿論そんな能力はない、あったらとっくにやっている


可能なら力の限り報復してやりたい

だが脱出が先決だし、薄汚い報復心のために本来の目的が未達成では本末転倒だ


もう出れるんだ、せいぜい俺が逃げたしたことにテンパってもらおう

頼むぜニタニタ博士 




そして二時間後


ガチャッ 

戸が開き現れたのはアイツではない、例の美人女医だ

実験の前に検診か、いいだろう

このお姉さんの匂いも嗅ぎ納めだからな


聴診器を当てたり口の中を見られたり目をライトで照らされたり…

まぁ、普通に医者がやる検診だ


しかしこの女医さん前から思ってたんだが… 誰にでもこうなんだろうか?

言わば俺は捕虜みたいなものだろう?暴れるかもしれない得たいの知れない男を拘束もなにも無しでいいのか?


いやドアの側には看守みたいなやつはいるんだけど…

それでも手錠くらい掛けるべきなんじゃ?

それともここにくると無条件でみんな抵抗もしないほど鬱になるんだろうか?あるいは本人が超強いとか…


まぁ、考えたところどどうこうできるわけではないんだけど…



俺は脳内で自問自答を繰り返しながらボーッと女医さんを眺めてた

すると視線に気付いたのか、もともと用があったのか知らないが彼女は俺を見てなにか言う


「ゐ仝▽>◆◆▽ヱ?」


勿論、理解不能です


ただ俺はこうして表情を変えて話しかけてくる彼女を見るのは初めてだったので、呆気にとられしまった


怒ってるわけではないな、表情は比較的柔らかい…

でも伝わらないだけに身ぶり手振りを加えて困っているように見えるな、不覚にも可愛いとか思ってしまった


ん~でもこのタイミング… 二時間後といえばまさに今くらいの時間じゃないのか?

もしかしてニタニタの協力者かな?と言っても確認ができないんだが…


その時だ




ウーーーーーーーーーン!!!



と警報のようなものが鳴る

これが作戦か?まさか失敗?


悩んでいた彼女は急にハッとして胸ポケットからなにか取り出した

あれは紙、いやメモだ!

やはり協力者!


俺はそれを受けとるとすぐに目を通す


“彼女に従え これを読んだら握手を求めろ”


なるほど… コミュニケーションはできないがなにか指示を受けていたか、警報は合図ってわけね

そして握手は「OK把握」を意味するんだな


俺は立ち上がり彼女に右手を差し出した

友好のシェイクハンドを求める


向こうも「おっ?」という感じでなにか察したように右手をとった

俺たちは握手をした…

スベスベで暖かいです


手を離す…

すると彼女は振り返りドアの方を向き、手をくいくいと動かした「ついてきて」という感じだ


OK頼むぜ女医さん!


部屋の監視カメラや看守はどうしたのだろうか?

彼女… 映ってるのはまずいんでないか?看守だってどうやり過ごすんだ…



おや? いないな…?


どうやら看守はいない… 警報を聞いていなくなったのか、女医さんがなにかしたのか知らないが好都合だな

この分ならカメラも問題なさそうだ、周到に準備されている

プロのようね!


俺達は部屋を出た

目指すのは外か、ニタニタの場所か

とりあえず今はこの女に従うしかないのだ、協力者であるのは間違いないだろうし、美人についていくというのもやぶさかではない…


彼女の案内でそのまま道を突き進んで行った…


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