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異世界ライダー  作者: 燃焼リング
第2章 異世界放浪
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第50話 それは突然終わりを迎えた

翌朝、三人揃って森の中のソフトスポットへ赴いた


斉藤の見立てだと

「何でもない、ただのソフトスポットだ」とのこと… 本当に自然発生するんだな、原因は知らないがなにかそうさせるにいたる条件はあるんだろうな


さぁ、次は何色の空が見れるのかな?


もう吹っ切れて空の色楽しみにしやるわ、どんとこい

なんて思ってると、何となく後ろの視線のようなものを感じ振り向いてみた


フッと体ごと後ろに向けると景子さんが携帯をこちらに向けていて、俺と目が合うなり「あっ…」とばつの悪そうな顔をした


「撮りました?」


「…うん」


カメラ機能を使ったらしい、音が聞こえなかったので無音アプリを使ったんだろう

なんで俺なんか撮ってんだよと思わず笑いがこぼれた


「俺なんか撮っても面白くないですよー?」


「ご、ごめんね… つい何となく…」


まさか常習犯… だったとしてなにも問題はないが、それなら俺ばかり撮られるのは不公平というものだ


「はい、じゃあポーズとってくださーい」


と俺も負けじとカメラを向けた

「えぇ!?ちょ…どうして!?」とあたふた動いて撮られまいとする景子さん

それは当然…


「もちろん“つい何となく”ですよ」


「う… わかったわ…」


うん、素直でよろしい… いいアングルを求めて景子さんを舐め回すように見た

これは合法だ


「わかってて動かないのは恥ずかしいわ…」


「お、いいですね~恥じらいの表情がいい味だしてますね~じゃあ次得意なポーズいってみようかー!」


「え!え!?ど、どうしたらいいの!?」


「なんでもいいですよー」


「そ、そうなの?えっと…こんな感じ?」


すると景子さん無理に乗る必要もないのに両手を頬に当てるようなポーズをとった、グラビアポーズくるか!?と思ったが今の恥じらいの表情とマッチしているのでこれはこれで満足だ

俺は「今だ!」の言わんばかりにカシャカシャ鳴らしながら景子さんを撮りまくり、最終的にアップの画像を手にした… 

よし!今夜はこの画像で…!いや、冗談だ…冗談… 冗談だ…!


「功一くんばかりずるい…」


「なにが…ですかな?」


すっとぼけてみたが、ジトッとした目は変わらない、まぁ変わるわけない


「二人とも」


不意に斉藤が俺たちに声をかけた、準備完了か?


「お互い撮り合うなら私が二人を撮ろうか?」


俺たちは呆気にとられ「えぁ…」って感じの変な声を出した

斉藤は気に止めることなく「さぁ貸して」と景子さんのカメラ起動中の携帯を取り上げた


「さぁ、並んで… 表現が固いね?笑って… いいね、もっと近づくといい… もっとだ… じゃあ、撮るよ?」


こうしてなすがままにツーショットを撮られた

なんだろうか、あの手際の良さは…


「功一くん…」


「はい?」


「その… もう、動いても…」


「へ?あ、あぁ!?そうですね、ごめんなさい!」


くっつきっぱなしだった… どうにも意識してしまうな

クソ!せっかく割りきった気持ちで接していこうと思ったのにもう昨日と同じ気持ちに… なにか、なにか別のことを考えよう… なにか…素数を数えるとか… ほかには?そうだ!


ティラノサウルス トリケラトプス ネッシー…

ティラノサウルス トリケラトプス ネッシー…

ティラノサウルス トリケラトプス ネッシー…


「功一くん、準備ができたみたいよ?行きましょう?」


「…プス ネッシー… ティラ…え?あぁ、えぇ…行きましょう」


「… (ネッシー?)」



ソフトスポットを通るときまったく気に止めなかったんだが…


そこを通りきったときハッとした


あまりに唐突だったんだ…

今更予想も期待もなかったのに…


まだまだ続くと思ってた…



「水橋君… ついに来たね…」


先に口を開いたのは斉藤であった

そうだ、ついに来たんだよ… このために旅をしていた


「斉藤さん…空が…空が…」


「そうだ、よく耐えたね…」


馴染みの深いその空に、感動で涙が出たのを覚えている…


「“青空”だ、君は帰ってきた!」


帰ってきた…


帰ってきた!


帰ってきたぞ!!


「ぶぇぇぇん!げいこざぁん!やっどがえれたよぉぉぉ…!」


もうさすがに泣いたよ今回は、思わず抱き付いたよ景子さんに


「もう功一くん…!先生も見てるわよ?」


「うぇぇ…ひっぐ… よかったよぉ…えぐっ」


「そうね、よしよし…よく頑張ったね…」


そうして受け止めてくれた景子さんは俺の頭を優しくなでてくれた


前回の時とはまた形式が違うが結局景子さんの優しさに甘えることとなる… それほど居心地がいいんだろうな彼女は


「内緒にしてあげる!」と言ってくれていた景子さんだったがこうして周りを気にせず泣いてしまった俺を見て「まったくもう」と呆れたような声をだした、ただその目はまさしく母親のように慈愛に溢れていた



…そうだ帰ってきた


ただ、旅の終わりにはあるんだ…


「別れ」ってやつが…



俺が落ち着くといつものように一端「斉藤事務所」に移動してミーティングをすることになった


議題は「俺が不安に思うこと」



「まず始めはに言わせてもらうと、君の不安に思ってることがまったくないと言ったら嘘になる」


「…」


ただ聞いていた… 特に意見するわけではない

恐い… 死ぬほど…


でも結論がでるまでは意見しない


「次元の移動による時空の歪み…前に少し話したね?それによるしわ寄せで何らかの変化がある可能性というのは否定できない… 様子見が必要だと私は思ってる」


つまり、数日はここに身を隠すことになるってことらしい

いつものように別世界ではない、本当に俺のいた世界だ… 俺をよく似た別人というには無理があるし、どれくらい時間のズレがあるかわからない今は、知人に混乱を招くかもしれない… 故に不用意には動けない


「三日くれないかな?それまでに答えをだそう、今すぐにでも家に帰りたいかもしれないがどうかわかってほしい」


「大丈夫です、お願いします…」



… 


こうして帰ってきた…


でもなぜだろうか…? なぜか… 


少し残念だと思う俺がいる…

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