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異世界ライダー  作者: 燃焼リング
第1章 異世界入門
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第4話 空は赤い

目が覚めた…


体は動くか?

右手から、指先、肘、肩… 続いて左手、右足、左足も


感覚がある

うん、五体満足だ


病院のベッドかな?カーテンが閉じられ病院特有の薬っぽい匂いがする

カーテンがあるということは個室ではないのだろう


さて病院か…


事故のショックで気を失ったのか

じゃあさっきのは夢か?いや棺桶に片足突っ込んでたのかもしれん、だとしたらあれが「あの世」か… 冗談きついぜ

やけにリアルだったが


とりあえず体を起こそう


布団をめくり上体を起こし、足を床に下ろしてベッドに腰かける体勢になる


「ふぅ…」


一呼吸してカーテンを開けた

シャッ という音と共に外の景色が見えた

どうやら窓際のようだ


空が赤い… もう夕方なのか


たしか俺が吹っ飛んだのは昼頃だった

なかなか長いこと昼寝してたんだな


二人には迷惑掛けただろうなぁ…

きっと俺が付いてきてないのに気付いて救急車を呼んでくれたんだろう

バイクはどうしたんだろうか?

いや… あの感じだと自走はできまい、廃車だな


やれやれ…


だが、落ち込んでる場合でもないな

まずどうしよう?会社に連絡かな?そのあとは彼女だ、心配かけてるだろう

二人はここにいるんだろうか?一応実家にも…

そうだ携帯、携帯は…?

ポケットには無いな…


というか、上着が無いな

いろいろするのに脱がされたんだろう

多分携帯は上着のポケットだ


窓際に目をやるとコート掛けがある、そこには俺がツーリング用に着る革ジャンが掛けてあった

まぁツーリング用って言ってもそんな大層なもんではなく、中古で買った普通の安物だ


立ち上がり革ジャンに手を掛け… ようとしたがヨロッとしてまたベッドに座ってしまった

頭をぶつけたのだろうか?少しの頭痛と目眩がするな

俺はゆっくり立ち上がり革ジャンのポケットをまさぐった


携帯は… あるな、よし


手に取ると画面は真っ暗だった

病院だから誰かが電源を落としたのだろう

再起動させよう


電話たくさんきてるかなー?

壊れてないといいけど…


んー?


立ち上がった画面を見たとき異変に気付いた


なんだ… 壊れたっぽいな


着信があるにはあるが通知の文字が文字化けしてるじゃないか、まるで初代ポケモンのバグ技を使った時みたいだ

ハッ!最高だな… 使えるのかこれ?


しかも時間もずれてるな、夕方なのに午後の2時って…


どうしたものか、いや考えたところでなんにもならん…

携帯の電源を落として再度ベッドに横になる


外傷が無いなら入院はないよな?様子見で一晩泊まったりするんだろうか?

まぁこうして目が覚めたんだ、この病院のナースを拝ませてもらおうか


ちょっとの下心を抱えナースコールを押した

どうせなら可愛い白衣の天使が見たいな、なかなかひどい目にあったんだこれくらいのラッキーがあってもバチは当たらんさ


間もなくしてパタパタと足音が近づいてきた

さて、鬼が出るか蛇が出るか…


その時 シャッ! と窓際と反対のカーテンが開いた

入ってくる時なにか言ってなかったか?聞き取れなかったな…

そしてそこにはそこそこベテランそうなおばさんナースがいた


ん~… チェンジ!


と言うわけにもいかないのでそのままだ


「ッ!?♀仝$_」%%仝?」


え?

まて… なんだ今のは?


「あの、目が覚めたんで呼んだんですが?」


「$ゐ?∞&;△〃仝?」


こ、これは!

まさか!


この人はしゃべってる

ただし日本語ではない… 否、俺の話す日本語ではないというべきか


でも聞いたことあるぞ

これはあのおっさんが電話でしゃべってた言葉だ、恐らくだが…


おいおいまさか… 


夢じゃ無かったっていうのか?


「∀⊥◆§>[ヱヴヶ?」


看護師はそう言うと慌てた素振りで出ていった…


「少々お待ちください」とでもいったのかもしれない、医者と一緒に俺を見に来るだろう


なんで… なんでだ?


俺はふと窓の外を見た

真っ赤だ… 当たり前だ、そんなに時間が経った訳ではない


いや… あれ?おかしくないか?

雲は白い… な?


思わず身を乗り出して窓に近づいた


あ、あぁ… なんだ?なにか妙だ…


赤い空、白い雲… そして太陽は真上より少し傾いた位置にある


これはつまり、夕方ではない

昼過ぎを意味する


バッと振り返り病室の時計を見た


時計の針は2時25分の辺りを指している


つまりさっき携帯で見たのは正しい時間で、空が赤いのは夕焼けじゃなく普通のことだっていうのか!?


その時おっさんの言葉を思い出した


「お前はこの言葉を使って、空が青いだろ?」たしかこんなことを言っていた

言葉通りに受けとるなら、言葉が違い空が青くないとこもあるということで… 「こういう日本語なんだ」と言ってたってことは、そういう日本語を話す空の赤い世界に来てしまったということなのか?


絶望した…


「嘘…だろ…?」


帰れなかった… そういうことなのか…

なぜ?目を開けたから?

いや、そもそもなぜ俺は「こっち側」に来たんだ?


何かの陰謀?偶然?異世界って偶然入れるものなのか?意識して入れるとも思えないが…


もう、帰れない?


泣きそうだ、今日は厄日だ、違いない

バイクで吹っ飛んで異世界来ておっさんに怒鳴られて、もっと変な異世界に来てしまった

空は赤い、言葉は通じない… 携帯もこの分だと使えないだろう


最悪だ…


看護師が医者を連れて来た頃、俺はすでに絶望しきっていた

医者は診察のつもりかいろいろ話しかけてきたが勿論何を言ってるか分からない、こっちもがんばって伝えようって気にもならない

意志疎通を図れるはずもなく時間が淡々と過ぎていく

医者もお手上げなのか溜め息を付き、それから数時間後


俺は背広の連中に連れられて黒塗りの車に放り込まれた

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