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異世界ライダー  作者: 燃焼リング
第2章 異世界放浪
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第40話 少女な北白河

まだ開店してそれほど時間が経っておらず人はそう多くないカフェ

俺達二人は角の席に座りゆっくりと話すことにした


とりあえずコーヒーを頼み、それが来るまでは本題には入らず軽く談笑などして場を和ませていた


それで今更わかったことなんだが…

景子さんは今年28歳

俺よりひとつ歳上だった、誕生日は10月… フム、両親がクリスマスに盛り上がって種を仕込んだに違いない

そんな俺は6月産まれ、ということは真夏の海で盛り上がった両親が… いや、まぁそれはいいじゃないか


ひとつだが歳上だ、やっぱりというか無意識的に敬語で話して景子さんはタメ口だったが、特に違和感もなく過ごしていたのは景子さんにそういう気があるというか… 包容力があるからかも、待っててくれそうって感じ

と言っても見た目は20代前半でも通るし学生服を着てもギリギリ誤魔化せ… ないか…どちらかと言えば白衣のイメージが強いからな、保健室の先生だ(AV感)

いや綺麗系ってことだ、もちろん若くも見える

まぁ現代人には珍しいことではない


とにかく俺が見た目通り27歳で景子さんが若く見えてもどこか歳上めいたものを感じていたので自然とかしこまった「この人は目上の人」と勝手に決め込んでいたんだ、母というか思いやりのある姉って感じか、気に掛けてくれる女上司…先輩?そんな感じだろうか


…っとコーヒがきたようだ


ちなみに俺はブラックでのまま飲むんだ、甘いのが苦手でね… あ、そうだ!こういうときは「お砂糖いくつ?」って聞くのがセオリーか?


「景子さんお砂糖は?」


「…い、いいわ!大丈夫よ、自分で入れるから!」


なにかやけに動揺してるが… もしかしてこの状況に乙女心が沸き上がり恥ずかしがってるのかな?可愛いじゃないか


というのは気のせいで… 景子さんはお砂糖を俺が見て確認しただけで5個は投入していた

ドボドボドボ!ってかんじではない、さりげなく… スッ…スッ…と入れているのだ


しかし誤魔化しても無駄だよ、見てしまったからな


「ほぉ、甘党ですか?」とツッコムと景子さんはスプーンを持ったままビクッと震えた

目を反らしながらも俺に「え、えぇ」と気まずそうに答えた


「気にしてるんですか?」


「だって、おかしいでしょ?」


まぁ… ね、おかしいけど人の目を気にするほどではないだろうに、意外だなぁ

俺はフォローも兼ねて笑い飛ばすように言った


「アハハ!確かに入れすぎだとは思いますけどね!でも甘いものが好きなのは女の子って感じでいいじゃないですか?」


景子さんは「苦いのは苦手で…」とボソッと呟いたので「場合によりますが苦いのはみんな苦手ですよ」と返す、ビールは好きだけどな

そのあとすぐに「功一くんは好き嫌いないの?」と聞かれたので、俺も正直に答える


「好んで食わない物はいくつかありますが、食えと言われれば何でも食べますよ?俺は…」


「嘘!人間誰しもこれだけは食べれない物があるはずよ!」


なんだ、そんなに信じられないのだろうか?

でも事実何でも食えるからなぁ…味が薄いのは苦手だが…

俺は「景子さんにはそういうものあるんですか?」と特に深く考えることなく返すと


「……… 椎茸が…」


なんか可愛いなこの人… いや、浮気じゃない


景子さんは俺なんかよりずっと大人だと思ってたしもっと余裕のある人なんだと思ってたが、意外と茶目っ気あるし子供なところもあるんだなぁ…


「子供っぽいでしょ?もぅ…気にしてるのよ?…」


拗ねてしまったか、今日はフォローの多い日だな


「普通です、でも景子さんって大人の女性って感じだから意外でした」


「幻滅した?」


「とんでもない、可愛らしいじゃないですか?」


「からかわないで!」


「からかったつもりは…」


自分で言ってみてあとでドキドキしてきた… 怒られたけど

でも本当だ、こういう女の子のところも景子さんにはあるんだ、それは悪いことではない

「可愛らしい」これは本心だ


待て待て…俺が照れてる場合か、本題に入らなくてはな

落ち着けよ水橋功一


「そんなことよりほら、いまみたいに気にしてることがあったらどんどん言っちゃいましょう!悩みは意外と人に話すと小さなことだったと思えたりしますよ?」


「なーんか負けた気分…」


勝ち負けじゃないよ姐さん、まぁたしかに普段助けられてるのは俺の方だし立場は逆転してるのかもしれない

でも助け合いだ、あんな顔されたら放っておけないし


「景子さんいつも俺のこと気に掛けてくれてるし、助けられっぱなしです… 言葉の通じない頃から助けられてます、だからたまには俺が助けますよ… これくらいしかできないかもしれないけど」


俺がまっすぐ目をみて言うと、一瞬キョトンとした顔をしたがすぐに顔を赤くして目を反らし、小さく「ありがとう」と答えた


「じゃあ話すわ…」


「はい、ゆっくりでいいですよ?」


「うん」と静かに言う彼女


俺にとって彼女は… 頼れるお姉さん…?気に掛けてくれる女性…理想の上司?


この時からだろうか、やけに俺も気にしてしまうようになったのは…

意外と弱い人だって知るとそこが放っておけなくて、影のある女性…というのか?

なにかしてやれる訳ではないんだがなにかしてあげたいと思うようになった


でもよく考えたらそりゃそうだ、景子さんと斉藤がいなければ今ごろ俺はあの研究所で廃人にでもなっていただろうから


そう義理だ、助けられたら助けないと…


いや、浮気じゃないぞ?

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