第2話 変なオヤジ
分かったことがある
なにも分からんということだ
周辺の調査… と言うと大きく聞こえるが要は自分がどこにいるのが知りたいだけだ
がしかし、それも虚しく突き止めることができなかった
自分が目覚めた所を拠点に住宅街を歩き
住所や看板、果ては人ん家の表札まで調べた
分からない…
100歩譲ってこれはいい、例えば○○県××市△△…となると
電柱なんかに貼ってあるのは△△の部分だけだ
そんな細かい住所の部分だけ見ても正直「ほぉ~ん…」って感じだ
分からないのはまだいい、交番でも探そう
しかしだ…
無いんだな、どこにも…
無いってのはどういうことだ?看板の1つくらいあるだろう普通?
だからまさかと思って表札とかも見たわけだ、そしたらこれだ…
無い
そんな家珍しくもないって思うだろう?
おかしいと分かるのは表札が嵌め込んであるくぼみ?みたいのだけがあって、どの家にも表札なんて存在しないからだ
「なんなんだここ…」
気味が悪くなった
とりあえず交番はどこだ?警察なんだから市民を助けてくれよ
大きい道路へ出よう、車が走ったりしてるかもしれないし大抵交番はそういうとこにある
数分歩き続ける…
歩き続けるとあること気付いた
車が通らない…
いやそもそも人の気配が無い
人どころか動物も虫もいないように感じられる
夢でも見てるんだろうか…
そうだ夢だ
きっと吹っ飛んで気を失って病院に運ばれて夢でも見てるんだ
いや、死んだのか?
三途の川には見えんが…
嫌な汗をかいてた
だがこれが生きている証拠ではないだろうか?
俺はなるべく良いほうに考えて歩いた
そうだ、死んじゃいない
歩いた疲労感もある、よくわからんが俺はきっと山の中の変な風習のある集落にでも吹っ飛んだんだ…
これは流石に無理があるか?
そしたら交番を見つけた
勿論、人はいない
予想はしていたが辛いものは辛いな…
携帯も相変わらず圏外だ
俺は交番の中の受話器を手に取り耳に当てた
交番が留守の時、固定電話を取ると本部かどっかに繋がるのだ
そこで用件を話す
そこで俺はさらにダメージを受けた
…
繋がらない…
線も繋がってる、が繋がらない
参ったな…
分かったことがある…
ここは異常な空間だってことだ
…
「オイッ!」
!?
その時確かに人の声がした
やけに高圧的だったのが気になるが俺はこんな異常な状態で人がいると言うことに希望を持った
急いで振り向いて外へ出た
そこには…
「なにしてる!どうやって来たんだ!」
頭ごなしキレてくるへんなオヤジがいた
でもいい、とにかく人に会ったんだ助けてもらおう
「あ、すいませんバイクで事故っちゃって… よければ帰り方を…」
「やかましい!ここは来ちゃダメなんだよ!」
チッ!
なんだこいつは?話くらい聞けないのかこのアホは、来たくて来たとでも思ってんのか?
「や、だから…」
「あぁーいい!言い訳なんざいい!いいから帰れ!」
「あん?なんだアンタいきなり現れて?帰れんならとっくに帰ってんだよ!」
「…まーた“外来人”か…」
は?なに?外来人?なんざそりゃ?私は純日本人ですが?
このオヤジ、見た目は40~50ってとこだろうか
清掃員みたいな作業着を着て禿げた眼鏡のおっさんだ
そいつがなにも知らない俺にぎゃーぎゃーわめき挙げ句が外来人呼ばわり
外来人ってなんだよ… ペリー来航か?
「あ~あんた、悪かったな怒鳴っちまって… ここは普通入れないんだ
今元の場所に帰してやるからじっとしてろよ?」
おっさんはそういって携帯を取り出した
いやそれ… PHSか?マジか… スマホの時代にPHSとか…
きっと時代に取り残された老害なんだな…
「ゐ@$%:仝〃ゞ∞″♀△☆↑■」
はぁ!?なんて!?
おっさんはPHS越しになんか… 意味不明な言葉をしゃべり、たまにこちらをチラチラ見ている
なんだこのオヤジは… 上司がインド人とかなのか?
ん?
「普通入れない」とか「元の場所」とか…
いったいなんの話をしてるんだ?
以前として意味不明言語でPHSで話続けるオヤジ、口論でもしてるのか?そんな風に見える
あとあれなんだ?PHSのアンテナのとこ
風車?みたいのが付いてるな… 真ん中に…顔?
フハッ!このセンスよ
「なぁ、オイ…」
「☆$仝-@ゞ〃:″〃ゐゐ!!!」
「ちょっと?あの~?」
「仝♀”>「%&[_」._ ” /ゐッッッ!!」
ダメだ、聞いちゃいない
…
俺はどうなるんだろうか?