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異世界ライダー  作者: 燃焼リング
第2章 異世界放浪
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第16話 ソフトスポット探索隊

翌日のことだ

俺は智昭くんに連絡を取って時間を頂いた


なんでも簡単に休めるらしく、適当に理由をつけて仕事を休んでくれた


これには頭が下がりっぱなしだ



さて斉藤からの指令だが


「町外れの神社にソフトスポットとおぼしき事例がいくつかあるみたいでね、例の協力者と一緒に見てきてもらえないだろうか?地元の人間ならより詳しい情報を聞けるだろう?」


とのことだが…


結局全部話すんじゃないか… 気は進まないがボスがいいと言ってるんだ、異世界の不思議を完全網羅してやろうじゃないか


俺は昨日話せなかったことを智昭くんに全て暴露した

赤の世界の実験、協力者の斉藤と北白河景子、ソフトスポット…

昨日必死に隠していたのがバカみたいに全て話した


もちろん念は押した


ソフトスポットには近づくなと


山で熊に会っても逃げれるかもしれない、地震が起きても生き延びれると思うし、事故っても遭難したとしてもアンタならきっと大丈夫でしょう、そんな気がします… でも!


異世界だけはやめてくれ!俺はたまたま協力者に会えたが!

本来なら自分がその世界の異物として排除されるか野垂れ死ぬ、まず帰れない… 俺だって次の世界が自分の世界だと都合よく考えていない、時間のズレもあるでしょう

既に一ヶ月以上帰れていないのだから、向こうにはもう俺の居場所が無い可能性もある


まだ俺はいい… 一人もんだから


あなたには家族がいるでしょう… 



そう、伝えた

俺の熱意は伝わったはずだ、なんせ最強最悪な状態の俺が伝えたのだから


実に切実だろう



智昭くんはただ一言「わかったよ」と頷いた


と言いつつやるのがこの人だったりするんだが、本気でヤバイのはわかってくれただろうから余計なことはしないだろう


最後に俺は「中間世界でおっさんに会ったらそいつに従ってください」と伝えた



それから俺たち二人は例の神社へ移動し始めた、車は智昭くんが出してくれたので行くだけなら簡単だ


「例の神社なんですが、何か妙な噂とか聞いたことあります?」


「ある!神隠しみたいなヤツさ」


近所の子供が何人か神社の周りに遊びに行き、遊び始めてから間もなくして一人が突然いなくなる、他の子供達は帰ったのだろうと特に気にすることなく遊んでいた


夜になると帰ったと思われていた子供がまだ帰ってこないと大騒ぎになる、警察や町内会で捜索を始めるが神社の周辺にも見当たらない


この神社は、山というには小さいが林と呼ばれる程度には木が多く、子供なら遭難するかもしれないと大人達は不安になった


焦りの色が見えてきたころ、ふと一人が気配を感じ振り向いた…


神社の階段に人影… 誰か倒れている

近寄ると行方不明の子供だった


もちろんみんなで神社は見たし、人も何人か待機させていた、その子は急に現れたのだ


皆驚いたが、無事に帰ったことに安堵した

どこにいた?と親が子に聞くと


神社でかくれんぼをしていたら突然みんないなくなった、仕方ないから家に帰るが道中誰もいないし家にも誰もいなかったのでまた神社に戻った

なぜか眠くなり、目が覚めると夜だったそうだ



「子供の証言によると功一の言う中間世界ってやつに似てるよね!おっさんはいなかったようだけど」


そう、よく似ている

いろんなパターンがあると斉藤は言っていた、今回は自分のいる場所がそのまま中間世界に変わるパターンか


智昭くんの話だと、その前からちょいちょい似たようなことがあったらしい

そこにいると思って覗きこむといない… そう思って目を離すとそこからでてくる… 皆決まって、ずっとここにいたという


で例の事件だ


今となっては子供はそこで遊ぶことを禁止されているし、年寄りは皆口を揃えて神隠しだ神隠しだと顔を青くする


まぁそれが今も続くかはわからんけどね

ソフトスポットは永遠ではない、そう斉藤に言われた


「着いた、ここだ」


智昭くんは近くの空き地に車を止め降りた、俺も続けて車を降りて外観を眺める


ここからでは木に隠れてよく見えないが確かにあるな、ボロボロの神社が

入口の階段にはチェーンがかけられている、まぁ跨げば入れる


「ちょっと待ってくれ」


よし行こう… と進もうとしたとき智昭くんは俺を止めた

彼は車の後ろに回るとトランクからなにかを取り出した…


細長いケースのようなものを二つ…

長さにして120㎝ってとこだろうか、その片方を俺に差し出し「一応持っときな」と言った


釣竿かな?


神社の裏には川があるし、長くなるかもと言ったのは俺だしな

なにか暇潰しのものを持ってきてくれたのかもしれん


「よし、行こう」


「はい!」


俺たちはチェーンを跨ぎ階段を進む

よく見る長い階段ではない、短くもないが… 「もう無理ぃ~」って途中で休むほどではない、1分あれば上がりきれそうな階段だ


登りきるといかにもな雰囲気をだすボロボロの神社がハッキリと見える

見た感じにも建物自体が歪んでいるのがわかる、例の事件から手入れも工事もしなくなったに違いない

まともならさぞかし立派な神社なんだろうか、少し大きめなのが見てとれる

雑草は伸びっぱなしだ


そんな神社に今日は掃除をしにきた訳ではないので、蜘蛛の巣も雑草もお構いなしに近づいて行く


手前2メートルほどで止まり俺は言う


「噂が本当ならうっかり“入って”しまうかもしれません、1度この辺で確かめます」


確かめ方は簡単だ

斉藤から借りたこの「ソフトスポット探知機」を使う


どんな物かと言うと、携帯ラジオにしか見えん


というかラジオだ…


ラジオに小さい赤ランプが5つほど付いてる


ラジオも聴ける


というかラジオだ…


斉藤が言うには

「ソフトスポットが近いとラジオには高いノイズが入るんだ、高ければ高いほど近い… それは音の高さに合わせてランプが光るようにしといた、ランプが全て光ったら、半径1メートル以内にはある… 見付けたら深追いせずに戻って報告してほしい」



だそうだ… 


「そんじゃいきますよ?」


「オッケーい」


ソフトスポット探知機(携帯ラジオ)…


スイッチオン!

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