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異世界ライダー  作者: 燃焼リング
第1章 異世界入門
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第10話 脱出 (後編)

前回までの異世界ライダー


脱出のため女医と共に独房をでた水橋は、この建物が地下であると知る。

エレベーターに乗った二人を待ち受けていたのは宇宙人のような男だった

エレベーターの扉の向こう…


相対するは宇宙人野郎…


こちらには言葉の通じない味方が一人…




ヤバイな、コイツは何をするか分からん

危険なヤツだ、これで捕まったら俺はホルマリン漬けにされてしまいそうだ


女医を見た


彼女もやはり焦っているようだ、顔が強張っている

ヤツがここに来るのは想定外だったんだろう


ん?

女医さんが目配せしてきた… 「自分に合わせろ」ってことか?ここにきてやり過ごすなのか?コイツに通用するのか?

いいだろう!付き合ってやる!




野郎は俺たち二人を見るなりボソボソと喋り始めた

無論俺には伝わらない、女医さんが無表情を装い受け答えている…

恐らく先程と同じような会話をしてるんだろう、もっともさっきの会話も俺には分からないんだが…


ヤツは口数が少なく話し方も単調だ

例えるならそう… 映画「マトリックス」のアイツっぽい話し方だ

と言ってもこんなヤツがざくざく増殖するのは勘弁願いたい


二人の会話は極めて無表情だ、淡々と続いている


こう抑揚が無いとどちらが優勢なのかもわからないな…

負けていないと信じたいが相手はよく分からん宇宙人野郎だ、正直キツいんじゃないかと思ってる


「 ゐ仝「“ゞ>」


「◆ヱヶ;☆$?」


「■@&-∞″∞」


「ヱゐ…」


話の内容は… 「そいつをこの階に連れてくる必要はないハズだ」とか「○○の指示です」みたいな会話だろうか?緊張感が伝わってくる


なにか… なにか俺にできることはないのか?

いや、余計なことせず無力な中年でいるのがこの場での最善か?

抵抗はせず… でもいざというときは動けるように…


そこで動きがあった、動いたのは宇宙人野郎だ

いや、動いたというよりは…


浮いたッ!フワッと浮いたのだ!

直立不動だったやつの体がノーモーションで浮き上がり、女医の目線まで来た!


宙に浮いている…

俺も驚きを隠せず顔に出ていることだろう、なにせ何もない通路だ

ワイヤーもなにも無しにスーッと動いているのだ


やっぱり変な力を持っているんだ!

本当に宇宙人なのか!?


ヤツは女医の目の前にくるとなにか言った


女医はそれにしれっと答えてみせるが、焦っているのは分かる… 少し震えている


するとヤツは女医の目を隠すように手を当てた

俺もやられたことのあるやつだ、あの時死ぬほど頭痛になってしばらく動けなかった


が、その時だ… 


女医の手が後ろに回っている

白衣の裏にちょうど手があるようで腰の辺りを探っている


そしてゆっくりと取り出した



銃だ!?


「%「;!?」


「■ヱ∞ゐ@」 バァンッ!バァンッ!バァンッ!


少しのやり取りの後三発の銃声が鳴った


女医の目の前にいた宇宙人野郎は間もなく床に崩れ落ちた



バァァァンッッッ!!!


だめ押しにもう一発… 女医の撃った銃弾はヤツの眉間を撃ち抜いていた 


俺は銃声というのを初めて聞いた


銃殺現場も初めてだ


彼女には躊躇がなかった… それほど危険なヤツなのか、もともとプランに含まれていたのかは分からないが…


「ゞヶ ☆■☆!!」


と女医が俺に向かいなにか言った

俺はえ?と思ってる間に手を引かれ走り出した


どうやら不足の事態のようだ

このパターンは最悪殺して逃げるしかない… というパターンだったのかもしれない


走り去る際に、悲鳴や叫び声が聞こえた…


女医は構わず俺を引っ張り続け、やがて電子ロックらしい扉の前に来た


… はっ…!

衝撃的なものを見て思考が停止していた…

当然道順は覚えていない


女医は息を上げながらなにかを入力し、ロックを解除した

そして中に入る…


ここが出口とは思えない、つまり俺たちはここへ向かっていたのだ


「やぁ、無事に来てくれたね水橋君」


こうして会話できる言葉をまともに聞いたのはいつだろう… 数日前にも聞いたがそうじゃない

名前を呼ばれたのも久しぶりだ…


それを言ったのはこの男だ

そのニヤケ顔、もちろん知っている

ニタニタの男!


「外が騒がしいね、そうか… 聖人を殺してしまったか、まぁ仕方ないな私たちもここに未練は無い」


ニタニタは状況を察したようだ

“聖人”と言ったか?十中八九あの宇宙人野郎のことだろうな

未練は無いってことは… コイツもここをでるのか?まぁそうだよな、殺す殺さない以前に俺を逃がすのはまずいことだろうしな


「あぁ、すまない… 私のことはそうだな… “斉藤”とでも呼んでくれ」


「わかった… じゃあ斉藤さん… 俺を助けてくれるんですか?」


「あぁ、ここまで来れば問題ない」


とうとうここまできた…

長かったな、もうこのまま死ぬんだと思ってた…

なにも分からぬままずいぶん助けられた


そうだ… 助けられたと言えば、女医はさんはなんて名前なんだろうか?


「1ついいですか?」


「もちろんだ」


「こちらの美人は?」


ニタニタ改め、斉藤は…

俺のその問いに対し「あぁ…」と思い出したように答えた


「彼女の名前は“北白河(きたしらかわ)景子(けいこ)”」私の助手のようなものさ、医者としても優秀なのは御存知の通りだ」


景子…さんか、よしわかった


「ありがとう景子さん」


「?」


伝わってないな… しかしこういうのは言うのが大事だろう


斉藤はそれを見て彼女に通訳をした、彼女も俺に軽い会釈を返してきた、さっき人?を撃ち殺したばかりなのになかなかの爽やかスマイルだ


「さて詳しい話は後だ水橋君、君は複雑だろうが了承を得ておきたいんだ」


「なんです?」


「それは… “君”を連中に突き出さなくてはならないということをさ」



「え… は…?」


なん… だと… ?


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