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ある日の昼休み その5

 一通り胸部の話題で盛り上がった(?)ところで1番食べるのが遅かった蛍が食べ終わり、5時間目がはじまるまでの休み時間がはじまる。

 カナとまごめは蛍を連れて女子グループの方へ。俺と司彩は山谷と合流してラノベ読み合わせ会へ。

今の俺たちはだいたいいつもこんな感じだ。蛍も元々コミュ力が高く友達の多かったカナとまごめが引っ張ってってくれたおかげですんなりとクラスになじめそうだ。少々まじめすぎるところもあるが基本礼儀正しく丁寧だしカナやまごめがいなかったとしてもうまくやれていただろう。


 片や俺、司彩、山谷といえば教室のすみっこで粛々とオタライフを送っている。

 山谷も最初は司彩のことでどついてきたが、司彩がただのキモオタだということがわかるとそれもなくなった。同類ってすぐに見分けられるものだよね。

 やっと完成した俺のパラダイス。俺たちの影響で山谷が最近サイガーオンラインをはじめたおかげでますます会話がはずむ。

 俺の望む平穏な日々がついに手に入った、かと思ったが、実はそうでもない。

 俺たちの楽園にはちょくちょく来訪者が現れる。そのほとんどがサボり姫目当て。単に仲良くなりたくて近づく者や下心丸だしの者まで多種多様。そのどれもが司彩のディープすぎるオタトークについていけずあえなく逃走。なかなかエグいことをしますね姫。

 そしてついにそのときはやってきた。

 ぞろぞろと5人くらいで教室の中に入ってくる男子生徒たち。まっすぐこちらにやってくる。

 見覚えがあるぞ。5人とも確か司彩ファンクラブの会員だ。

 そろそろ来るだろうなとは思っていた。むしろ遅いくらいだ。


「司彩さん、どうしてこんな男どもとつるんでおられるのですか。そしてなぜ私どもの茶会に顔をだしてくださらないのですか!」


 教室中にドン引きの嵐が吹き荒れる。

 どうしてか司彩はこのテのやつらから好かれるんだよなぁ。

 カナやまごめのファンにはまともなやつが多い(貧乳教徒たちは除いて)。それは2人がクラスの中心的なグループに属しているからだろう。いわゆるリア充というやつだ。

 いっぽう司彩はというと、学校を休みがちだし、積極的に他人と関わろうとしない。だけど見た目は超絶美少女で成績も優秀ときたもんだから変な幻想を抱いてしまいがちになるのだ。最近は堂々とカバーなしでラノベを読んだりしてオタクアピールをしているんだけど誰もそのことには触れない。なんかズルくないですかね俺のときはあんなに冷めた目で見てくるのに!


「ボクが誰と親しくしようが勝手だろう。キミたちから招待されている茶会とやらにも興味はない。ボクはここにいるタカトと、あと山谷くんの誘いしか受けないつもりだからね」


 斬り捨て御免。相変わらずハッキリ言うなぁ。

 ニコリともせずそんなことを言うもんだから、司彩ファンクラブ5人衆はひざから崩れ落ちてしまった。ちょっとかわいそう。


「そ、それほどまでにそこの2人が大切なのですね……。司彩さんにとってそこのタカトと山谷とやらはどのような存在なのですか。なぜ我々ではダメなのです!?」

「だってキミたちボクの上辺しか見てないじゃないか。その点この2人は違う。山谷くんは最近できた貴重な趣味友だ。そしてタカトは」


 グイッと腕を引っ張られ、肩を組まれる。

 え、ちょっと司彩さんやめてくださいよ傍観者でいたいんすよ俺。


「ボクのかけがえのないパートナーさ。この人無しじゃ生きられないくらい。だからね、中学の時は多少目をつぶってたけど、今後タカトに危害を加えるようなことをしたら、ボクはキミたちを許さないよ」


 うーん司彩はホイホイ爆弾を投下するな~離れたところにいるカナやまごめがこっちに向かってガンをとばしてるよ~。蛍は気づいてないようで能天気におしゃべりをしていた。癒される。

 ってそれよりも!


「おい司彩、そんなこと言っちゃっていいのか? 色々と誤解されちまうだろ」


 こそこそと耳打ちをする。さっきの発言は、ともすれば告白ともとられかねない。司彩が俺に告白なんてそんなことありえないのにな。


「仕方なかったんだ。これくらい言わないと迷惑行為をやめそうになかったからね。ここは合わせてくれ」

「そういうことか。了解だ」


 しょうがない。ここは一芝居うつか。あとからあの3人の誤解解くの大変そうだなーやだなー。

 俺も司彩の肩に手を回し、ぎこちない笑顔をつくる。

 それを見た5人衆はまたダウンしかけたが、しつこく復活。メンタルが無駄に強い。


「くっ、司彩さん、もしかしてその男と付き合っているのですか!」


 教室中が静まり返る。

 なんてことを大声で言うんだこいつは。

 どうする。どうすればいい。ここは俺が肯定するべきなのか。

 助けを求めるように司彩の方を見ると、当の本人は涼しげな顔で流れるように答えた。

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