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ある日の昼休み その3

「さぁて2週間ぶりの校内放送がはじまりますよ~。みんな大好き校内放送の時間です! 本日の担当はわたくし、期待の新星、1年3組桜庭チカで~す! お弁当食べながら友達と談笑しているそこのアナタ! この時間からはわたくしの美声、トークに酔いしれなさぁい!」


 ああ、今日はあの頭のイカれた1年放送部員か。

 1年生がいきなり担当を任せられるのは異例なのだが、中学生のとき3年連続で全国アナウンス大会制覇という経歴のため特別に週に1回任されている。

 校内放送のときはこの通りハイテンションなのだが、大会や行事のときは人が変わったように静かになり、プロ顔負けのすさまじい実力を発揮する。


 なぜ桜庭チカのことをこんなに知っているのかというと、中学の時からの後輩で面識があるからだ。さらに言うとお互いの連絡先も交換している。やつは隠れオタで、俺は偶然その秘密を知り、何度かオタ話をしたり一緒にイベントに行ったりしたら妙になつかれてしまった。このことはカナやまごめ、蛍、司彩はおろか山谷も知らない。桜庭にも、俺が他の女子と話しているとカナやまごめあたりにシメられるからお互い知り合いなのは隠しておこうと話してある。

 まあ今はその話はおいておくこととして、さきほどの第一声を聞きさっそく目が点になっていた蛍が、訴えかけるようにこちらを見てきたので、あの1年生は普段はマトモなんだよと擁護しておいた。

 ちなみに校内放送が2週間ぶりなのは、蛍が転校してきた日から2週間の間スケジュール調整だか新マニュアル作りやらしていたからだそうだ。つまり蛍は今日はじめて校内放送を聞くことになる。


「話し方はアレだけど企画は面白いから!」


 といっても俺が真剣に聞いてるのは『アナタに伝えたい!』のコーナーだけだけどな。全体的に声優さんのネットラジオ並みに面白いのは認めるところではあるけども。あ、これかなり高く評価してるのでお間違いなきよう。


「そ、そうか。おとなしく聞くとしよう」

「さて、まずはこのコーナー、『アナタに伝えたい! ほとばしるこの想いを!』からで~す! 前回は情熱的な告白が行われましたが、今日はどうなるのでしょうか~? わたくしこのコーナーが好きすぎて最初にもってきてしまいましたよ~。ドキワクが止まりません! では、自己紹介と、ほとばしる想いをドカーンとこのマイクにぶつけちゃってくださ~い!」


 いきなり先頭にこれをもってくるとはやりおるな桜庭のやつ。ちょっと見直したぞ。


「じ、自分は2年4組の昆布山太郎っていうんだなぁ。今日は画面の向こう側にこのほとばしる想いが伝わるよう精一杯叫ぶつもりなんだなぁ」


 これこそ! これこそこのコーナーの醍醐味! 普段おめにかかれないようなヤバいやつが高確率で現れる! 蛍、その目やめなさい。


「こぶやまたろうさん、略して子ブタさんですね! 画面の向こう側とはなんとロマンチック! ぜひその想いが届くといいですね! それではお願いします!」


 色々とツッコミたいことはあるが、今は子ブタさんが何を言うのか待とう。


「ハァハァ、じゃあ、言うんだなぁ。セレアたん大好きなんだなぁ! け、結婚してほしいんだなぁぁぁぁああああ! セレア・マテリアた~~~~ん!」

「ぐはぁ!」

「うわぁみーくんが吐血したぁ!」


 よりにもよって超有名ファンタジーアニメの幼なじみヒロインとは。しかも登場ヒロインはほぼそのヒロインだけで、最後には主人公と結ばれるという俺キラーな物語なのだ。

 同志を期待していただけにこの結果は辛い。ショックのあまり校内放送の続きが頭に入ってこない。


「あ~あにいちゃん突っ伏しちゃったよ。きっと幼なじみキャラだったんだね」

「こういう校内放送聞くたびに1年のころのみーくん思い出すよね」

「あ、ボクもそれ覚えてるよ。ちょうど同じくらいの時期だったかな。このコーナーでタカトが『俺は幼なじみ属性が大嫌いだ!』って叫んでたね。あのときは学校中が静まりかえったよ」


 なつかしいなそれ。あれ以来まともな人間が寄りつかなくなり変な奴が声をかけてくるようになったもんだ。

 蛍はもう校内放送なんてこりごりだという感じに頭をふり、カナたちの会話に加わっていた。


「さすがミナトだな。昔からブレない」


 昔から、か。俺が幼なじみ属性嫌いになったのはいつからだったかな。それこそ昔すぎて忘れてしまった。

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