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心の道  作者: 杉村
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同じ人間

同じたった一つの命を持って生きている。

なのに同じ生き物を馬鹿にする、傷付ける。

綺麗ごと並べて良い顔見せて、思ってもない慰めの言葉なんかかけたりして。本当、人間って器用な生き物だとつくづく思う。今の私だからこんな事ばっか考えられるようになったんだと思う。まだ18年しか生きてないけど私の見て来た事、経験してきた事話そうと思う。自慢出来る経験はしていないけど、くだらないとか思うかもしれないけど何かしら感想持ってくれたら嬉しい。


私は幼稚園の時から人の顔色、表情をみて生きて来た。だからたくさん色んな気持ち我慢して来た。私が良い子にしていれば皆笑顔で居てくれるし、私さえ我慢していれば皆平和に暮らして行ける。いつも笑顔でいて何事でも泣き言言わなければ親も喜んでいてくれるだろう。


「お母さん、今日も一人で寂しくない?」

小学校へ登校する前に必ず交わした言葉。

父はいつも仕事、お姉さんの所。特に何も無いのにいつもいつもお姉さんの所へいき、母を一人にしておく。だから私しか母の悩みを聞いてあげる人も居ないし、私にしか八つ当たり出来ない。だから私は良い子でいる。私さえ我慢してれば母もそのうち笑ってくれるだろう。

私が父をよく見たのは小学校三年生。学校から帰ったら父は寝ていた。嬉しいと言うか複雑だった。今までいなかったくせに堂々と寝ている。今、目の前にいる。なぜか怒りしかなかった。

居るようになり夫婦喧嘩が始まり私が止めに入り一生懸命機嫌取りし、正直

「親なんかいらない」って思ってた。家に居たくないし、出て行きたいけど小学生の私には何も出来なかった。だから表情みて生きて行かなきゃ行けない。家に居てもどこにいても結局独りぼっち。私さえ我慢していれば苛立ちもそのうちおさまってくれるだろう。

私は中学生になった。

この年から私の我慢が限界になって来た。幼稚園から行ってた塾もやめ習字もやめた。でもまだ我慢して生きていた。生徒会もやり賞状たくさんもらって、イベントで活躍して、親の思い通りに行動してた。私が良い子にして居れば親の評価も上がるし、私さえ我慢していればそれで満足してくれるだろう。

中学生三年生、二学期私は遊び半分で受けたタレントオーディションに受かった。親は喜び周りに自慢し親の育て方がよかったんだと言いふらしていた。これも結局親のためになる。

原宿に写真を取りに行き、着物を買い、学校も休み、母はどこまでもついて来てくれた。

三学期になり進路を決める三者面談で私は芸能へ進みたい気持ちを伝え、簡単に終わった。みんなどこの制服が可愛いだの、先輩と同じところ行きたいだの、楽しそうに会話していた。私は仲間に入れない。進路決まってる人は関係ないと言わんばかりに、グループを作って話している。授業も試験に合わせた勉強になるし、話も高校の話ばっかり。

私のわがままだけど口には出せないけど寂しかった。家に居ても学校にいても寂しかった。でも私さえ我慢すれば何事もうまくいく、平和に生活できる。



卒業式の練習が始まった。この時期に私の我慢は爆発した。家出をした。毎日の親との会話もいや、親の機嫌もとりたくない。言いたい事言いたい。ぶつかりあいたい。

そう思っても私に出来ない。学校行っても仲間に入れない。辛くて寂しくて逃げた。


家に帰り、荷物をまとめかばんと洋服を何枚か持ち出かけて来るといい、家を飛び出した。

最初は不安だし、お金も無いし、どこにいけばいいかわからないし…でも親の元から離れられたこの、解放感、反発した自分にすごく嬉しくなった。駅を彷徨い電車に乗り大宮へ行った。次に池袋へ行った。西口に降りて駅に座って居た。たくさん人が居て不安はなかった。何をしているわけでは無いけれど楽しかった。

何時間か座っていて声をかけられた。

「誰か待ってるの?」

私は黙って首を横に振った。そうしたら相手のおじさんは笑顔で言った。

「1万円でいい?」

わけがわからなかった。くれるのか、私が家出をした子なんだと分かって同情してくれたのか?私は黙ってた。おじさんは笑顔で何か合図している。

私は立ち上がるとおじさんの後についていった。説明も大ざっぱにされたからこれからどうなるかどうするか分かってて私はついていった。でも恐怖は無かった。辛くもなかった。親のところに居る事より辛い事はないと思ってたし、自由に行動できる。私は一人でいきていけると強く自信があったからだ。

ホテルについた。中に入りベットに倒されパンツも下ろされた。全裸にされて舐めまわされ、セックスもした。二時間くらいたってようやく終わった。最後にイスの上に一万円をおき、

「僕、先にでるからね」と言われ部屋を出て行った。

乱れたベット、ゴミ、自分の体を見て、たくさん涙が流れて来た。言葉も出ない。怖いわけでもない。ただ涙が溢れてとまらなかった。


ホテルを出た後、彷徨い歩いた。何人かに声をかけられたが無視をした。中にはしつこい人も居た。その日は漫画喫茶に入り夜を越そうとおもった。

漫画喫茶に入り、高収入のサイトを見た。全部18歳からの応募で、15歳なんて相手にしていなかった。でも色んな所へ電話した。身分証の事を必ず聞かれるのは少しうんざりしたが無いとなんとか理由をつけ、話をつけた。そして千葉のヘルスのお店に面接に行く事になった。


千葉駅には初めてきたせいか仕事が決まってはいないけど決まるかもしれない緊張感からかすごく嬉しくなった。

駅で待って居ると黒い車が目の前に止まった。名前も聞かれ承知するとそこのお店に連れて行ってくれた。


店の中には女の子の写真がたくさん貼ってある。トランス系の音楽が耳鳴りするくらいの音で流れている。個室に案内されソファーに座っていると、背の小さい細い男の人が来た。自己紹介をされ店長だと知った。

面接が始まり、色んな事を聞かれ歳の事ももちろん聞かれた。

ダメかな…

と少し不安になっていたがあっけらかんと、

「19歳で通してね。」

と一言だった。あまりにも簡単すぎてにやけてしまった。

仕事内容、やり方、話し方、色々説明された。何がなんだか正直分からなかったけど、笑顔で返事した。


その日、風俗デビューをした。名前はレオナ。店長につけてもらった源氏名。写真も撮ってもらい店の受け付けには貼られている。

「19歳の新人レオナちゃん!この業界は未経験デビュー!若さ溢れる柔らかい肌に癒されちゃってください!」

と大きく説明書きもされてある。


初めての風俗。

きっかけはお金がほしいのと住む所が欲しかったから。

普通は抵抗あるだろう…って思うかもしれないけど池袋でセックスいわゆる援交してお金をもらった。体でお金をもらう事に本当に馬鹿なくらい抵抗が無かった。セックスして、短い時間人と居るだけだし、我慢する事は慣れているし、私の天職とまで思った。 我慢してセックスして笑顔振りまいてればお金もらえるんだもの。


初めてのお客様。

近くのラブホテルで待ち合わせ。

携帯、ローション、コンドーム、グリンス、イソジンがはいっている鞄を持ちホテルへ向かった。

ホテルの前には中年くらいのおじさん(お客様)が立っていた。私と顔を見合わすと目で合図をし、言葉を交わす事無く、ホテルへ入った。


おじさん(お客様)はベットに座りタバコを吹かし始めた。私はどうしたらいいのかあたふたしていた。そんな姿を見ていたおじさん(お客様)は

「新人なんだって?よくこの店利用してるけど十代の子初めてでさぁ、おじさんも緊張しちゃうよ。とりあえず隣りおいで」

と言われ隣に腰掛けた。腰に腕を回され、唇を合わせてきて舌を絡めてきた。そのまま洋服の上から胸をもまれ、あそこにも手がのびいじり始めた。私の手を大きくなったあそこに持って行き掴ませた。

だんだん激しくなり、マニュアル通りに進めようと口をはさんだ、

「シャワー行きませんか?」

聞いていない。無理やりといっていい程に強引に洋服を脱がし、私の体に乗ってきた。重くて痛くてでも抵抗も出来ない。口に大きくなった物を押し込んで来て腰を動かす。そして私のあそこへいれ、射精した。気持ち良くも何とも無い。何も感じない。


マニュアルと全然違う。こんな無理やりな物なんだと思った。本当ただの性欲処理だなって思った。

初めての仕事も終り私の風俗デビューは最悪な物で始まった。でも辛くない。これから私は風俗で生きて行くんだと強く新たに決めた。


お店で寝泊まりをし何人かの女の子と友達になりご飯を食べに行ったり買い物に行ったりした。ある日飲みに誘われ初めてホストクラブへ行った。たくさんの若い男の人がスーツを着て迎えてくれた。店も賑やかだった。少し緊張したけれどなれなれしく話しかけて来て自然に緊張もなくなった。楽しくなってきて、お酒も飲み、歌も歌い、盛り上がった。


帰り道友達とフラフラになりながら帰った。すごく楽しかった。初めて私の気持ちを聞いてくれる相手が出来た。優しく、言葉も、私も包んでくれる。嬉しかった。すごくすごく楽しかった。


この日がきっかけで私はホストクラブへハマってしまった。何回か友達と行くと、一人でも行くようになった。気に入ったホストを指名してずっと隣にいて欲しくて高いお酒も頼んだ。

ノリというホストに私は惚れ込んでしまった。お金も体も心も全てノリの物になった。


私の地獄の始まりだった。

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