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4月
「笹山先生の授業どう思った?」
「……すごかった」
帰り道。四月ももうすぐ終わりで、鯉のぼりを出している家を時々見かける。
今日、はじめて笹山先生の授業があった。
「今まで受けてきた先生たちのなかで一番分かりやすかった気がする」
「黒板も一番見やすいしね」
先生の授業は私たちに国語に興味を持たせてくれるような授業をしてくれる。
黒板もとてつもなく字がきれいだった。
「始業式から思ってたことなんだけどさ……
日菜、笹山先生のこと好きなの?」
「え?」
私は思わず立ちすくんでしまった。
「だって笹山先生を見かけると赤くなるし、笹山先生の話をよくするし。」
全然自分では気づいてなかった。
今まで好きな人とかが特にいなかったから、慣れてないだけ?
「香代子、お願いだから誰にも言わないで!」
「当たり前じゃん、任せておいて!」
こんなにも早く誰かに気づかれるとは思ってなかったけど、まあ香代子ならいいよね。
もうすぐ五月。ほんの少しずつだけど、先生と私の距離は近づいていく。