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プロローグ
この小説に出てくる人、全員片想いです。
誰も自分の恋はかなわないです。
なるべく、登場人物の心情が伝わるように描いていこうと思います。
高校二年生の時、私は先生と出会った。
「えー、新しく国語の講師として一年間この学校に勤めることになった、笹山先生だ。
笹山先生は主に二年の現代文を授業する」
ちょっとお腹が出ていて、丸眼鏡の校長が先生を紹介した。
先生は講師だから、こういう事には慣れているのだろう。緊張もせずほのかに微笑み、体操座りをしている私たちに会釈をした。
先生はまだ少し寒さが残る体育館で、紺のネクタイを着け、焦げ茶色のカーディガンを羽織っていた。
私の隣にいた香代子は「ちょっと老けた学生みたいじゃない?(笑)」と言っていたが、私はその先生の微笑みを見た瞬間から、先生に惚れていたのかもしれない。