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3.となり
あれから、普通のことだが
俺のとなりは橘だ
教科書を忘れれば
スッと差し出して見せてくれる
時々見せる笑顔に
ドキッとする自分がいた
その笑顔は、
もちろん俺だけに見せるわけじゃない
それが少し悔しくも思う
「なに考えてんだ俺…」
そう思っていたとき
部活の仲間に呼び止められた
「おぃ!光輝!ちょっといいか?」
それゎ部内でも結構かっこいい
優斗だった
「おぉ、どうした?」
「俺さ…好きなやつできたわ(笑)」
少し照れながら話す優斗
そういう話は興味がある
「マジか!!!誰なんだょ!
…おぃー!!早く!!」
「なんか緊張するだろ…急かすなよ!」
俺は次の瞬間言葉を失った
「た、橘…玲花」
橘…
聞きなくなかった
なぜか
心がズーンと重くなった
優斗の恋も応援したいが
ふと気づいた…
俺も橘が好きだと…
「おーいおーい!さーいーとーう!!」
「あ、ごめんごめん!」
少し自分の世界に入っていたようだ
「どう…した?」
「この際だからハッキリ言うよ…
俺もだ…」
「なんだょ急に(笑)」
「俺も…橘が好きだ」
教室の窓からの風が
二人の間ををすっと通り抜けていった