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俺と私  作者: 大仏さん
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11月25日 金曜日 崎間・岡部

裏央の話の影響なのか、午後は絡まれることは無くなった。

ハッタリだってことは分かってても多分、裏央が怖かったんだろうね・・・雰囲気ありすぎたもん。


その裏央は今百ちゃんと岡部さんに連行されて学園祭を回っている。


「すいませーん」


考えていると女性のお客さんに呼ばれて向かってみると、


「やっほー」

「頑張ってるな?」


美奈さんと涼子さんだった。


恵理ちゃんもこちらに気付いたのか、声を掛けながら近寄ってきて、先生達と一緒に座った。


注文を取って暫くお待ちください、と言って裏に戻りジュースとアイスを用意して持って行く。


「まだ、冬ではないとは言え・・・腹を壊してしまうぞ?」


「大丈夫だ。私は結構丈夫なのでな?」


アイスをおきながらそう言うとそう返してきた。


「真奈ちゃん、学校ではまだ地は出してないのね?」


「ああ・・・まあ、何となくな?別に拘る必要はないと思っているが・・・学校にいる間は中学からずっとこうだったからな・・・」


「どうしてですか?」


「う~ん・・・今は時間がないから、帰ってから話すよ。あまり長くはないが、それでももし知りたいなら部屋に来てくれ」


私が言うと3人とも頷いた。




「ふう・・・思い出してしまったな・・・」



裏に戻った私は一人溜息をついた。



泣かずに話せるか心配だ。








「次はあっちにいこか!」


「ちょっと!次はわたしの番でしょ!」


「ええやないか?まだ時間はあるんやし」


「後20分位しかないじゃない!百が行きたいのはわたしとは正反対の所なの!」


「お前ら少し静かにしろ」


「「あ・・・」」


教室に戻った俺はなぜかいきなり崎間と岡部に両腕をホールドされ、休む間もなくまた連れ出された。


そして、色々連れ回され、俺は何もしていなかったが2人はそれで良いと言っていたから、そうすることにした。


まあ、でも、騒がしいのは別だ。


「崎間も岡部も今日行けなかったから明日と明後日を使えばいいだろ?」


「え?明日も付き合ってくれるん?」


「別にいいが?」


「あの、わたしもいい?」


「ああ。とりあえず次は岡部の行きたい所行くぞ?」


そう言って歩き出すと後ろから2人がついてきた。



岡部の行きたい所はお化け屋敷だった様だが、崎間は猛反対だった。


まあ、それだけで分かったが、崎間はホラーが苦手みたいだ。

本人は必死に弁解していたが・・・。


「誰にだって怖いものはあるだろ?それを恥ずかしがる必要はない。

むしろそれを笑う奴が、自身を恥じるべきなんだよ。

行くぞ?怖いなら岡部と手を繋いでろ」


3人分の料金を払って、中に入ると結構なクオリティだった。

道はもちろんのこと墓や骸骨なども、一瞬本物に見える程には。


ぎゅ


「ん?」


制服の袖を両側から握られて見ると、左は岡部、右は崎間に掴まれていた。


「怖いのか?」


少し震えながら頷く2人だが、岡部は好きだから行きたかったんじゃないのか?


それとも思っていたよりもレベルが高かったか?


まあ、多分そんな所だろうが・・・。


「止まってるのもなんだし・・・行くぞ?」


ゆっくりと歩き出すと最初に下から骸骨が飛び出してきた。


「「きゃああああああ!!」」


女2人は叫び声を上げ、それに驚いたノワールが目を覚ました。


「終わったならさっさと引っ込め。邪魔だ」


「ひ!すいませんでしたぁ~・・・」


骸骨の方が悲鳴を上げてまた下に引っ込んだ。


それから上からつるされて来たり、ベタなこんにゃくが首に来たりなど・・・2人は終始叫んでいたが、俺はどれも無視していた。

ていうかノワールを観察していた。


どうにもこの空間が気に入った様で、辺りを飛び回っている。



もう少しで出口に着くと言った所で、最後に骸骨が背後から出てきた。


「「きゃあああああああああああ!!」」


2人は今日一番の悲鳴を上げる。


「ほら、さっさと出るぞ?」


2人を引っ張りながら外に出ると、急に明るくなった為一瞬目が眩んだ。


すぐに治り、2人を見ると疲れたのか座り込んでいた。


「大丈夫か?」


「な、なんとかな?」


「こんなに怖いとは思わなかった・・・」


通行に邪魔にならないところで2人が回復するまで待ち、少し遅れてしまったが、教室に戻った。


明日も一緒に回ってくれてと頼まれたので、とりあえず了承した。



適当な席に着いて、外を見ていると


ブブブ・・・ブブブ・・・。


携帯が震えた。


液晶には―――





『赤坂魅沙』




と映し出されていた。




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