11月12日 土曜日 学園祭準備 再会
今日は土曜日でバイトもないから、丘に行こうと思っていたんだが、真奈に準備を手伝って欲しいと言われて、一緒に学校に向かっている。
休みなのに何故制服を着なければならないんだか・・・。
ま、一緒に回ると言った以上は準備からってのもいいかも知れないが。
学校に着くと休みにも関わらず生徒が大量にいた。
部活動ではないみたいだ。
殆どの生徒が何か材料やら筆やらもって慌ただしく動いている。
学園祭は3日間に渡って開催されるが、どうしてそこまで気合いを入れるかね?
教室に向かい、中に入ると数人の女子生徒がいた。
誰一人として名前なんか分からんが。
「おはようみんな」
真奈が挨拶をすると中にいた奴らも挨拶を返してくる。
そのまま中に入ろうとしたら真奈に俺も挨拶しろと言われた。
「何でだ?」
「クラスメイトに挨拶をするのは当然のことだろう?」
「俺一切関わったことなんかないぞ?」
「それでもだ!ほら!」
背中を押されて無理矢理前に出された。
そんな俺達を女生徒達は面白そうに見ていた。
「おはよう」
「声が小さい!」
「お前は少し抑えろ。1回したんだから良いだろ?それに誰も俺のことなんか分からねえって」
「ん?そんなことあらへんで?」
いきなり聞こえた来た関西弁に声のした方を見ると、茶髪でセミロングの生徒がいた。
いや、多分さっきからいたんだろうが・・・。
「というか、あんたうちのこと知らんの?結構有名なんやけどな?」
「百ちゃん、裏央は多分、このクラスで名前を知ってる人は私以外いないと思うぞ?」
「全く持ってその通りだな。で、お前誰なんだ?」
「はあ・・・一応小学校からの馴染みなんやけどなぁ・・・ホンマに覚えとらんの?」
「あ、わたしも」
なんか1人増えた。
黒髪短髪の活発そうな奴。
記憶を探ってみるが、これまた全くと言っていいほど何も思い出さなかった。
他のことなら少しだけ思い出したがな・・・そういやあの時はまだ姉貴とは何もなかったんだっけ?
中学に上がった頃くらいからだったか?
原因は覚えてないが、まあ、いいか。
過ぎたことだ。
「悪いが全くな?と言うわけでお前ら誰だ?いて・・・なにすんだよ?真奈」
いきなり後頭部を叩かれた。
「女の子相手にお前だれだなんて言うからだ。まったく、そんな風に育てた覚えはないぞ?」
「俺の方こそ、お前に育てられた記憶はそれこそ一切ないんだが?」
「まあ、ええ。うちは崎間百や。改めてよろしゅうな?佐久間はん」
「わたしは岡部歌織。ねえ、本当に覚えてないの?」
「覚えてたら見た時に分かると思うが?」
「はあ・・・それもそっか・・・」
「さくま?」
話を聞いていた真奈が疑問系でそう言った。
「俺の名字だよ。よく覚えてたな?」
前半は真奈、後半は崎間たちに向けて言う。
「うちの名字と一字ちがいやからってのもあるんやけどな?」
「ああ、成る程」
それから何をしているのか聞くと、メイド喫茶に使う服を作っているそうだ。
うちはメイド喫茶をやるのか、と呟くとその場にいた全員から
『今更!?』
そうつっこまれた。
「確かに裏央はあの時も寝ていたからな・・・」
「まあ、初端から参加する気なかったからな。仕方ない」
そう言うと今度は全員からため息をつかれた。




