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俺と私  作者: 大仏さん
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11月10日 木曜日 学園祭編 動き出す心


今更だが、学校の名前は冬華とうか学園。


俺たちが通っているのはその高等部。


別にそれは何も関係なんだが、中間も終わって、もうすぐ学園祭があるんだよな・・・毎年えらく気合いを入れてるから準備期間を2週間程も取って。


お陰で間にある3連休が潰れる。


まあ、参加するもしないも自由だから俺は来るつもりはないが。


それと、分かってると思うが夏休みはとっくに終わっている。


相変わらず鈴野達は仕事が忙しいようで学校には来ることができていないが、麻里が言うには学園祭には何らかの形で参加するみたいだ。


大方予想は付くけどな・・・。




今日は学園祭の出し物をクラスの奴らが決めていた。


俺は寝ていたから何も聞いていないが、なんか真奈が楽しそうだったのは覚えている。



3年は今年で最後だからか随分と張り切っている。



まあ、いいか・・・バイトに行くとしよう。




「そういえば、裏央くん達は冬華学園よね?」


「ああ」


注文を取り終わってキッチンに戻るといきなりチーフがそう言い出した。


「もうすぐ学園祭でしょ?何かするの?」


「俺は参加しないからな・・・何も知らん」


「あら、どうして?折角に学園祭なのに・・・楽しいわよ?」


「面倒だからってのが1番の理由だな」


「それなら他には?」


確かに1番って言ったら他にもあるように聞こえるか・・・。


「そのために学校に行くのが面倒」


「結局面倒くさいのね・・・。真奈ちゃんと由香ちゃんには言ったの?行かないこと」


そこでなぜ2人の名前が出てくるのかは分からなかったが、とりあえず言ってないと答えるとため息をつかれた。


それから店長がどこからともなく出てきて


「鈍いな」


とだけ言われた。


いぶかったらノワールのことは見えていないと思うんだけどな・・・。


「俺って鈍いのか?」


『み!』


頷かれた。







もうすぐ学園祭。


私たちのクラスはメイド喫茶になった。


少し恥ずかしいけど、楽しみの方が勝っている。


裏央、褒めてくれるかな?


もうお客さんとかどうでもよくて裏央にだけ見てもらえればそれでいいなぁ・・・でも来るのかな?

こういうのは面倒の一言で全部片付けてしまいそうだし。


脅す?


無理だ・・・たぶん私の方が怖い目に遭う。


泣き落とし?


たぶん頭なでられたりしたらそれで満足してしまうな・・・。


裏央がいかないなら私も行かない、とか?

たぶん上の2つよりは効果がありそうな気がするけど。


どうしようかな?


・・・・・・・・・・あ、普通に誘えばいいのか。


なんでそんな単純なことに気付かなかったのかな?


「よし、ファミレスに行って誘うとするか」


「ねえ、そこの君」


「ん?」


ハッピースマイルに行こうとしたら後ろから誰かに声を掛けられた。

振り向くとなんか・・・チャライ人がいた。


「なんだ?」


「今暇?ちょっと、一緒にどこか行かない?」


なんだ、ナンパか・・・これが裏央なら迷わず付いていくのに。


ため息を一つ付いて私は何も言わずファミレスに向かうことにした。


「おいおい、無視は酷いんじゃない?」


手を捕まれた。


一応セーラー服の袖だからいいけど、触られたくない。


というわけで


「セイ!」


「ぐほっ!」


おそらく相手の急所があるであろう場所に足を振り上げると見事命中した。

それで手が離れ、男はその場に蹲った。


裏央に言われといて良かった。


海から帰ってきた翌日に今後もあんなことがないとは限らないから、とりあえず何か身を守る術を身につけておけと言われて、葵さんに色々教わった。


意外なことに柔道をやっていたみたいで、教え方が上手かった。


葵さんが言うには私にもセンスがあるみたいだけど、そんな本格的にやろうとは思っていない。


それでも教えてくれたことには感謝です。


ありがとうございました、葵さん。


多分さっきのに柔道は関係ありませんでしたが・・・。



男は放っておいてさっさと行こうとしたら今度は聞き慣れた声が聞こえ、振り向くと由香さんと葵さんがいた。


「あの人なに?」


由香さんが指さして言ったので私はナンパされたことと迎撃したことを伝えた。


「裏央くんなら良かったのにね?」


「ホントですよ・・・それなら迷わず付いていくのに・・・裏央ったら、バイトだからってすぐに学校出て行っちゃうし・・・ずっと寝てた癖にどうして終わるちょうどのタイミングで目を覚ませるかな?」


「真奈って、あいつのこと好きなのよね?」


「・・・・・・ふえ!?//////」


いきなりの由香さんの言葉に少し反応が遅れたけど、意味を理解した途端顔に熱が集まったのを感じた。

手を当ててみると実際かなり熱い。


「やっぱり・・・」


「えっと・・・いつから気付いてました?///」


「由香ちゃんじゃなくても、反応を見ていれば分かるわよ?裏央くんのことになると真奈ちゃんは変わるから」


「うぅ~///」


堪らなくなって私は顔を俯かせた。




葵さんが早く行きましょうって言ったから、私は顔の熱が収まらないまま、ファミレスに向かうことになった。



さっきは行きたかったの・・・今は行きたくない・・・。



というより、こんなんじゃ裏央に会えないよぉ~///




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