8月31日 水曜日 これまでとこれから
海水浴最終日は、まあ、特に何もなく過ごしたが、強いて言うなら俺が不覚にも落とし穴に落ちてしまったことくらいか。
昼頃には車に乗りまた鈴野がダウンしたが、帰ってきてそれからはまあ、いつも通りだな。
バイトして丘行って・・・それくらいか。
鈴野たちskyのメンバーは、色々仕事がまた始まったようで、最近はあまりアパートにいない。
急に静かになったからな・・・最初は真奈も妹も暇だった様で、よく丘に付いてきた。
ノワールはずっと俺の近くで浮遊している。
街を歩いているとたまに見えていたり、そこまではいかなくとも感じることができる奴なんかが、肩あたりを見ていることがあるが、別段気にすることでもない。
今日はバイトは午後からだから、丘にいこうと思ったら、真奈たちも付いてきた。
「さて、もうすぐ夏休みが終わる訳だが、ちゃんと課題は進んでるか?」
「うん。後はすぐに終わるのだけだから」
「妹は?」
「してませんよ?案外なんとかなりますから」
だろうな。
俺は音楽を、真奈は木登りを、妹は読書とそれぞれに丘で過ごした。
真奈は結構木を登るのが得意なようで、どんどん登っていき頂上付近まで行ったが、落ちない可能性はないわけではないため、中腹くらいまでにしておくように言った。
自身もそれが分かっているようで、すぐに降りてきた。
他の枝よりも太い枝に腰掛けて遠くを見る真奈。
画になるな。
隣を見ると妹は木に背中を預けて寝ていた。
読書なんて普段しないことをしたからだと思うが・・・とりあえず木では痛いだろうと思い、パーカーを脱いで折りたたみ、妹を寝かせ頭のしたに枕替わりとして差し込んだ。
少しはマシだろう。
俺は目を閉じて音楽に耳を傾けた。
裏央と恵理ちゃん、2人と一緒に丘に来て、私はピクニックの時できなかった木登りをした。
一度頂上近くまで行ったけど、思いの外揺れてしまったので降りようと思ったのと同時に裏央にも同じことを言われて、中腹くらいまで降りた。
少し太い枝に腰掛けて幹に手を当てて、遠くを見る。
「きれい・・・」
真っ先に出たのがその言葉だった。
それしか言えない。
丘から見る風景もいいけど、ここは更に高いからもっと遠くまで見渡せる。
今までは少ししか見えなかったけど、ここからなら海がはっきり見える。
陽の光が反射していてとても綺麗だ。
風も気持ちいい。
寝てしまわないように気を付けないと・・・。
下を見ると恵理ちゃんが寝ていた。
裏央はその隣で音楽を聴いてる。
夏休みはもうすぐ終わって、2学期が始まるけど、亜紀ちゃんたちはあまり学校に来ることができないかも知れないな・・・それが当たり前なのかも知れないけど・・・。
気にしても仕方ないか。
今度帰ってきた時にその分も一緒にいられたら、それでいい・・・けど、やっぱり早く帰ってきて欲しいなぁ~って思ってしまうのは仕方ないかな?
「・・・・・・」
思えばたった4ヶ月間でいろんなことがあったな・・・裏央と出会って、一緒のアパートで、恵理ちゃんや先生たちとも一緒で、バイトを始めて、そこで由香さん、葵さんと出会って、ピクニックに行って、亜紀ちゃん達と出会って、転校してきて、アパートに来て・・・そして海に行って。
「ホント・・・いろんなことがあったな・・・」
これからは何が起こるんだろう?
楽しみだな。




