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俺と私  作者: 大仏さん
30/50

8月14日 日曜日 海と言ったら? スイカ割り だとよ

涼子の運転する車に揺られて約1時間半。

まだ海は見えて来ないが、おそらく俺たちと同じ目的であろう車が多数見られた。

サーフボードを積んでる車が結構ある。


俺はどっちかと言うとサーフィンよりもスノボがしたい・・・冬休みは北海道でも行ってみるか?


バイトを続けてれば金は問題なく貯まるだろうしな。


「おっと」


考え事をしていると隣で寝ている真奈が倒れ込んできた。

何とか受け止めたが、この体勢はきついな・・・。


と言うわけで頭を膝に運んだ。


クーラーが効いてるからくっついていても暑くはないし。


ちなみにワゴンカーで席順は、


  美奈 涼子

 

 由香 葵 麻里


  妹 桐野 安藤


鈴野 赤坂 俺 真奈


こんな感じだ。


とまあ、それは動でもいいとして、何故麻里が葵たちと座るのかが少し疑問なんだが・・・仲良さそうだからいいか。


安藤達とも菓子の交換やらなんやらしてるし。


妹も馴染んでる。


鈴野は車、というか乗り物に弱いのか乗ってからずっと気持ち悪そうにしている。


酔い止めはちゃんと飲んだみたいだがそれすらも跳ね返すか・・・。


こんなんで海が楽しめるのか?


赤坂は最近俺のヘッドフォンで音楽を聴いていることが多い。


今は寝ているんだがな?


乗ってすぐは聴きながら本を読んでいたみたいだが、いつの間にか眠っていた。



そして、赤坂も俺の方に倒れてきたが、なんとか耐えて肩に収まった。


「魅沙がそんなに・・・う・・・気持ちよさそうに・・・寝てるの・・・初めて・・・・見たわ」


「そうか・・・とりあえずお前はもっと風に当たってろ」


「うん・・・そうする・・・」


移動に車を使うことも多いと思うが、大丈夫だったのか?




それから約30分後。


海に到着した。


真奈と赤坂を起こして車から降りて、まだ酔いが覚めていない鈴野を俺がおぶることになり民宿に連れて行くことになった。


赤坂が眠そうに目を擦っていたのは・・・こう、なんというか母性本能をくすぐられた。


皆には俺がいない間に着替えをすませておくように言って、民宿に向かった。

赤坂もとてとてと着いてきた。


部屋に布団を敷いて鈴野を寝かせたが、どうにも顔色が悪いな・・・俺は酔ったことが無いから分からないが、すぐに覚めると思うんだが。


「亜紀は車から降りても1時間はそのまま」


「・・・大変だな・・・俺はもう少し残ってるから、お前はあいつらの所に戻ってろ」


「わたしも残ってる」


「そうか」


約10分ご、少しは良くなった鈴野に大丈夫だから行ってこいと言われて、俺たちは海に向かった。


「いや!離して!」


そこで真奈の声が聞こえ、俺は駆けだした。


「裏央!」


「お前はそこで待ってろ!」


浜に向かうと変な男2人に絡まれている真奈を見つけた。


その内の1人が真奈の手を掴んでいた。

由香達はまだ着替えているのかどこかに行っているのか周りにはいなかった。


「おい・・・」


「あ!裏央!」


「あ?なんだお前?」


「さっさと手を離せ」


「はあ?なに?正義のヒーロー気取り?おい」


真奈の手を掴んでいる方がもう1人に指示を出してそいつが俺の方に向かってきた。


なんか運動でもしているのか体格は良いが、どうでも良いことだな。

そいつは指を鳴らしているが全然強そうに見えない・・・。


そいつは俺の胸ぐらを掴んで殴りかかろうとしてきた。


「裏央!」


「屑が」


「っ!が・・・」


殴られる前に腹に拳をめり込ませるとそいつはそれだけで沈んだ。


おまけにあごを蹴り抜いて気絶させもう1人に近づき真奈の手を掴んでいる手を叩き離させて、真奈を抱き寄せる。


「ぁ」


「さっさと消えろよ?」


自分でも今までこんな声は出したことは無いんじゃないかと思うほど低い声でそう言えば、


「ひっ・・・」


と喉を引きつらせて倒れている奴を抱えてどこかに行った。


「悪い・・・全員で一緒にいるべきだった」


謝ると真奈はそんなことは無いと言ってくれたが、どう考えても俺が悪い。

もっと気を付けておかなければいけなかった・・・只でさえ、こいつらは周りの奴らよりも美人だからな。


「お前、なんで1人でいたんだ?他の奴らはどうした?」


俺が聞いていると後から赤坂が歩いてきた。


「えっとね?海って久し振りだったから、はしゃいじゃって・・・」


「それはいいが、気を付けておけよ?お前結構可愛いんだからな?」


「・・・・・・ふえ!//////」


笛?


まあ、いいか。


「赤坂、お前も着替えてこい。まだ中にあいつらいるだろうからな?」


「・・・・・・うん」


赤坂は更衣室へ向かった。


「あ、あの・・・裏央?」


「ん?」


「そろそろ、離して///」


「ああ・・・悪い」


それから皆が来るのを待っている間にパラソルなんかを立てたりして、全員揃った所でビーチバレーやら、競泳やら色々やっり、途中で鈴野も加わってわいわいやった。


昼頃には海の家で飯を食って、その後はのんびりとしていたが桐野が


「スイカ割りしませんか?」


と提案を出してきた。


「スイカなんか持ってきてないぞ?」


そんなことする予定無かったしな・・・。


「それは心配しなくていいわ!持ってきてるから!」


と麻里が言ってどこからかスイカを取り出した。


「お前、いまどっから出した?」


「細かいことは気にしないの!はい、裏央くん!これ付けて!」


言いながら出してきたのは白い布。

俺が割るみたいだ・・・面倒だな。


と思いながら布を受け取り巻いて目を隠す。


棒を持って立ち後から聞こえる真奈たちのアドバイスで進んでいくが


「もっと右!ああ!い「左!左!」きすぎ「後だ!後!違うもう半歩前!」」


せめて1人ずつしゃべってくれ・・・。


その後はもう聞かずに自分の勘だけで適当な所で棒を振り下ろした。


『おお~~』


皆の声と感触からしてどうやら当たったみたいだ。

目隠しを取るとスイカは綺麗に割れていた。


全員で食べて夕方になった頃、今日はここまでにして民宿へと向かう。


部屋は女性陣は真奈・鈴野・涼子・麻里・美奈と妹・桐野・由香・葵・安藤がそれぞれ分かれて部屋を取り、俺は1人部屋。


荷物を片付けて露天風呂に入り、晩飯は全員で食ってから、何故か俺の部屋で全員集まりトランプや人生ゲームやら結構遅くまで騒いだ。


「ふわぁ・・・りお~・・・眠い」


「ん?そういや、もう遅いな・・・今日はここまでにするか」


本当に眠そうな目をしながら俺に寄りかかってくる真奈を見て言うと、皆も頷き、片付けを始めた。


で、


「すぅ~・・・すぅ~・・・」


真奈はその間に寝てしまった。


確かにずっとはしゃいでたからな・・・疲れるのも無理はないか。


部屋まで俺がおぶって運び布団を敷いてもらってからそこに寝かせた。


そして離れようとしたら


「ん?」


手を掴まれていた。


「りお・・・」


「どうしたもんか・・・」


「仕方ない。お前も今日はここで寝ろ」


「お前らはいいのか?」


「いいわよ?」


「ワタシも」


と結局誰も反対しなかったから俺もこの部屋で寝ることになった。



電気を消すと、皆はすぐに眠った様で規則正しい寝息が聞こえてきた。




外から入ってくる月の光が部屋を照らす。



その所為だろうか?



月の光を受けている真奈が綺麗に見えたのは。




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